大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

大きい声を出すのをやめる~Singer’s Tips #5~

      2022/12/25

自分の声が届かない、通らないと思うと、
ついついがんばって、
「大きい声」を出そうと思いがちですが、
これは逆効果となることが多々あります。

声が通らないのは、
よい音色、よい共鳴をつくれていないから。

そして、音色や共鳴をコントロールするのは、
声帯様から上の、声の通り道=声道で、

大きい声を出そうとぐっと息を詰めるほどに、
この、声道部分が緊張して、狭まり、
かえって、よき共鳴が起きにくくなってしまうから。

さらには、大きい声を出そうとがんばると、
多くの人がお腹をぐっとしめて、
息をたくさん吐いてしまいます。

声量を上げるためには、
声帯様がきちんと閉じて、
しっかり振動してくれなければいけないのに、
息をぶおぉおおっと強く吐きかけてしまったのでは、
美しい、力強い振動は阻害されます。

まずは、やさしく、フワリと、
5才のこどもにボールを投げるように声を出す。

大きい声でなくてもかまいません。
力まず、自然に、響く、届く声が出るポイントを探してみてください。

心地よく響くポイントをみつけられたら、
後はそこを増幅していくイメージです。

だんだんと声量があがっていくのを感じられるはずですよ。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - Singer's Tips, カラダとノドのお話, 声のはなし

  関連記事

『ハードスケジュールなときこそ確認したい声のためにできること』

月末から鹿児島でした。 4泊5日の日程で、 ワークショップ、リハーサル5時間、ボ …

自分の声をディスるな!

「自分の声は、好きですか?」 講演会やセミナー会場で、そう質問して、挙手をお願い …

出音=声にこだわるべ〜し!

出た瞬間の「音」が勝負。 いろいろなところで、そう書いてきました。 一流は「音」 …

リズムをカラダで感じるための初歩練習~Singer’s Tips#28~

音楽にあわせて足踏みをする。 手を叩く。 小さなこどもが音楽教室に入って、 一番 …

歌が劇的にうまくなる必勝練習法

昨年から育成に携わっていた新人アーティストたちが、先日レコーディングを終えたと、 …

聞いてもらう。

「とりあえずデモをつくれ!」というのが、 昨日のメッセージでした。 行動しないこ …

「そもそも声って」と考えるだけで、声を出すことが格段に楽になる。

一昨日、BizLab『しっかり届く豊かな声』が終了しました。 ビジネス系のセミナ …

上澄みをすくい取って「わかった気」にならない。~Singer’s Tips#21~

ちょっと昨日のブログの続編的なお話です。 ひとつの曲が生まれて、 受け手の手元に …

「死ぬほどへたに歌う」をやってみる

世界中の人が、来る日も来る日も、 次から次へと流れこんでくるニュースに胸を痛め、 …

「人前で歌うのが怖い」?

人前で歌う事に恐れを感じる人が多いのは、なにも日本人だけの話ではありません。 & …