大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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バンドのメンバーに歌をけなされたら、真っ先に確認すべきこと。

      2022/03/02

リハやライブでバンドのメンバーに歌をけなされた、
という悩みを相談されて真っ先に確認するのが、
「ちゃんと自分の声は聞こえていたか?」ということです。

そもそも、バンドの人って、音が大きい人が多い。
いや、ほんとに多い。
そして、
「ヴォーカリストには、爆音に負けない音量で歌って欲しい」的な、
暗黙の期待があったりする。

ヴォーカリストは、
バンドの音が大きすぎて、自分の声がよく聞こえない。
聞こえるように歌わなくちゃと気張る。
気張るほどに、ピッチは下がるし、リズムもずれる。
おまけに高い声が抜けなくなる。
抜けなくなるから、ますます聞こえない。
だから、ますます気張って、ますますフラットして、ますます声がこもって、
あげく、枯れてしまう…。

だめだめだめ。
それ、あかんのです。

人間は、自分の声を聞きながら、
話したり、歌ったりすることで、
声の大きさや音色、高さに微調整を加えています。

自分の声が全く聞こえない状態で歌えば、
どんなに歌のうまい人だって、
音痴になったり、一本調子になったりします。

いや、どんな楽器だって、
自分の音がちゃんと聞こえない状態じゃ、
ちゃんと弾けないのは当たり前ですよね?

だから、バンドのみなさん。
ヴォーカルがうまく歌えてないなって、思ったら、
「フラットしてるね〜」とか
「声が全然聞こえないんだけど」などと言う前に、
「自分の声、聞こえてる?」って優しく聞いてみてあげて欲しいんです。
そして、調整のお手伝いをしてあげて欲しいのです。

多くの(奥ゆかしい)ヴォーカリストは、
「自分の声が聞こえない」なんて、
言っちゃいけないと思ってます。

「自分の声が聞こえないのは、自分が声量ないからだ」とか思ってるし、
「声がデカくないと、バンドやっちゃいけないんだ」などと思い込んでいる。

家で歌う時はもっとうまく歌えるのになぁ…
なんでバンド練習や本番は全然うまく歌えないんだろう?

そんな風に思ったら、落ち込む前に、
「自分以外」の要因を洗ってみましょう。

ちなみに、私は、
モニターから自分の声がし〜っかり聞こえてこないと、
歌いにくいと感じるタイプです。

鉄のノドと言われるくらいですから、声はデカいです。
聞こえないということは、めったにありません。

それでも、声を張らない状態で、
くっきりはっきり聞こえる音量で歌いたい。
しっかり聞こえるから、音色や音量のニュアンスがつけられるし、
いろんなフレーズが気持ちよく歌えるんです。

なので、モニターはすご〜く大事に考えています。
調整にも時間をかけさせてもらいます。

ヴォーカリストのみなさんは、
自分の声がよく聞こえないと思ったら、
大きい声で歌おうとがんばる前に、

ヴォーカルヴォリュームを上げてもらう、
もしくは他の楽器の音量を下げてもらう、
マイクに口を近づける、
モニタースピーカーの位置を聞こえやすい角度、高さに変える、
ギターアンプやベースアンプの真っ正面に立たないよう、立ち位置を変える、
…などをやってみてくださいね。

ただし、日々の練習で、しっかり声をつくっていくことも
もちろん、大事だということは、お忘れなく。


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