大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

心のブレーキをぶっ壊せ。

   

初めてシーケンサーを手に入れて、
ひとりで音楽をつくりはじめたのは、
22〜23才くらいのことだったと思います。

「バンド・メンバーと一緒に曲を仕上げる」
という、ビートルズの映画で見た風景を想像しながら、
オリジナルの曲をバンドの練習に持ち込んだものの、
誰からも、なんのアイディアも出てこない。

「俺がアレンジしてくるよ」と、
親切にも申し出てくれる子たちにまかせても、
できてくるアレンジは、
頭の中で鳴っている音とはほど遠い。

音楽というコミュニケーションの壁にぶつかり、
途方に暮れていた頃、
ユニットに誘ってくれた先輩ミュージシャンの家で、
シーケンサーというものを、初めて見ました。

家庭用パソコン登場以前のお話です。
シーケンサーというのは、
ティッシュケースを2つ並べたくらいの白い箱。

これね↓

先輩がこの小さな小窓を見ながら、
コマンドや数字をパタパタと打ち込むと、
あら、不思議、
ドラムの音やベースの音が出てきます。

すごい!と思いました。
これがあれば、自分の頭の中にある音を形にして、
みんなに聞いてもらえるかも知れない!

同時に、猛烈な心のブレーキもかかります。

こんなもん、つかえるようになるわけないじゃない。
そもそも、アレンジなんて、できるわけないじゃん。
機械なんて、なんにもわかんないのに、
どうやって覚えるつもり?
ぜんぶ買いそろえたら、一体いくらになるんだろう・・・?

できない理由、やらない理由というのは、
実に都合よく、ぽんぽん出てくるものです。

誰だって、未知なる分野に飛び込むのは怖い。
できるかできないかわからないことにチャレンジするのは恐ろしい。
損はしたくない。
「だから、やらない」を選択したいんですね。

残念ながら、こんな時は必ず、
「本気で音楽やりたいの?
死ぬ気でやればなんだってできるでしょ!」という、
自分自身への激しい檄が飛んできて、
買いそろえる以外の選択肢が見つからなくなります。

かくして、
ろくに音も出せないMIDIキーボードと、
うんともすんとも言わない白い箱、
そして、外国語の辞書で埋め尽くされたような分厚いマニュアルを前に、
孤軍奮闘する日々がやってきたのでした。

やりたい!というパッション、衝動は、
どんなときも、
頭であれこれ考えたり、計算したりするよりも、
確実に正しい答えをくれます。

苦しい方を選択することでしか、
切り開けない道がある。

人間、歩き出せば、なんとか最後までたどり着けるもの。
たどり着いてみれば、必ず、その「先」が見えるもの。

このときに手に入れた音楽的な自由が、
やがて新たな景色を見せてくれることになるのですが、
そんなお話は、また少しずつ。

毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Life, My History, クリエイト, 音楽 , ,

  関連記事

no image
やる気が出ないときは、やっちゃダメ!

「なんか、どうもやる気がでなくって。 これじゃいけないと思うんですけど。。。」 …

インスピレーション

いい曲書こうと思って、何時間ピアノの前に座っても、何フレーズ書いても、ちっともし …

情報か?経験か?

生まれて初めて弾いたギターは、 姉が持っていたクラシックギターでした。 中学入学 …

多感なこどもたちにジョークは通用しない

小学生の音楽の授業のときの話です。 「ではこの曲を、誰かに歌ってもらいましょう。 …

ロック?メタル?ハードロック? (1)

ニューヨーク時代、久々にダイアナ・ロスが聴きたくなって、 タワーレコードへ出かけ …

努力賞はない。そんなものはいらない。

「努力賞はないからね。」 音楽業界で仕事をするようになって、 一体何回このことば …

「なに、夢みたいなこと言ってるの!?」

何年か前。 知人の家に幾人かの人と集い、 他愛もない話をしていたときのこと。 誰 …

テクノロジーから逃げない

機械音痴だというつもりはありませんが、 性格的に緻密なことが無理なようで、 &n …

ネガティブな面にばかり焦点があうのは、あなたの思考のクセです。

物事には、いい面があれば、必ず悪い面があります。 フォーカスする角度やポイントが …

「うまくいかないとき」のことを一生覚えていよう

ときどき、うまく行かなかったときのことを数え上げてみたりします。   …