苦しさも音楽の一部だから。
歌がうまくなりたい!という強い衝動は、
一体どこから湧いてくるのか?
歌に、音楽に、心をつかまれて、
逃げ出せなくなってしまうと、
喜びや充実感よりも、
苦しさや焦燥感が勝るようになります。
練習しても、練習しても、思うように歌えない。
はるか先を行く人たちは、その背中さえ見せてくれない。
もっとうまくなりたいけれど、
一体、それがなんだというのか。
所詮どんなにがんばってもできないこと、
一生かかっても、いや、来世になっても、
叶えられないかもしれない夢を
あきらめられない自分と向き合うことは、
死んでしまいたくなるほど恐ろしいことです。
どうせできないことなら、いっそやめた方がマシ。
もっと自分に向いていることがあるかも知れない。
音楽への思いなんかただの執着なのかも知れない。
そんな風に何度自分を説得しようとしても、
やめられない、あきらめられないことが、
どんなに苦しいことか。
「音楽なんて、好きなことをやってて羨ましい」と、
人に言われるほどに、苦しさは増します。
やめてやるっ!と固く決意をかためて眠りについて、
朝起きると、やっぱり歌っている自分がいる。
自分でもどうにもなりません。
理由なんか、きっとない。
理由なんか、どうでもいい。
どうせやめられないことなら、
ずぶずぶに、ドロドロに、自分を沈めて、
やれるとこまで、もがくしかありません。
やめることは決意かもしれないけれど、
やめないことに決意はいらない。
「やりたい」というエネルギーが底なしに湧いてくるには、
理由はなくても、意味はある。
自分の中のどこかにくすぶる、
「できない気がしない」という感覚を追いかけて、
やれることは全部やる。
最早これまでと、自分が納得するまで、
徹底的に、やり抜く。
きっと、それしか選択肢はないんです。
抑えられないエネルギーと苦しさ、
そして、追いかけていくプロセスそのものも、
音楽の一部なのかもしれません。
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