まず、自分の出音(でおと)をちゃんとせい。
トレーナーズ・メソッド、リズム編のテキスト制作中にて、
古今東西のドラマーの名演や、
レクチャー映像の数々をサーフィンしています。
数枚の写真以外、顔も見たことがなかった伝説のプレイヤーたちが、
あんな曲や、こんな曲を叩いているようすや、
その曲について解説しているビデオを見つけては、
感動したり、興奮したり。
本当に、いい時代になったものです。
調べ方さえ正しければ、
たいがいの情報は手に入ります。
ネットサーフィンのおもしろさは、
どーでもいい情報も、
素晴らしい情報も、
分け隔てなく表示されること。
名だたる名ドラマーの名演が、
ぽろぽろ転がっているかと思えば、
プロによる、その名演の解説&レクチャー映像があって、
器用にマネをしているYoutuberたちがいて、
音楽を楽しんでいる愛好家たちの映像があって。
さて。
興味深いのはここからです。
超有名曲ですし、
攻略法みたいのもたくさん出回っています。
ギターなどと違いドラムの場合、
やっていることがすべて見えるということもあって、
プロでもアマチュアでも、巧みにマネして、
それなりの雰囲気で叩いている人はたくさんいます。
しかしね。
さんざん、レクチャー系、叩いてみた系映像を見た後に、
再びご本家の映像を見ると、
もうね、音が出た瞬間に、決定的に違うんです。
問答無用。
一瞬で、すっげぇ〜〜、と持って行かれる。
とにもかくにも、音です。
出音が全然違うんです。
本物のプレイヤーって、
自分の音に、ものすごくこだわります。
ドラマーしかり。ギターリストしかり。
もちろん、ヴォーカリストも同じです。
自分の「音」を極めるのに、
ものすごく時間とお金と労力をかけるものなのです。
いや。
高いセットを買えとか、
ビンテージギターを買えとか、
そういうことじゃない。
今、ここにある機材で、
どうやったらいい音を出せるか。
ドラマーならチューニングや、
スティックをあてる角度や、
そんなことで、自分にとってベストな音はなにかを
徹底的に追求します。
昔、スティーブ・ガッドが来日して、
スタジオにふらりとやってきた、という話を友人から聞きました。
機材どうしますか?セットは変えますか?と、
大騒ぎするスタッフを尻目に、
スティーブガッドは、
スタジオにあった、とてもいい状態とは言えないドラムを
ポンポンポンとチューニングしたかと思うと、
いきなり叩き始めたそうです。
「いやー。そしたらね。もう、ばっちり、ガッドの音なわけよ。」
やっぱり、一流はすごいよ。とその人が、
ひどく感動していたのを覚えています。
ヴォーカリストも同じです。
やれ、ここは、なんちゃらボイスだとか、
ここはこんなテクニックつかって、
こっちはこんな声出して…などと、
小手先のテクニックや、
My マイクにこだわる前に、
まず、自分の出音をちゃんとせい、と。
いい音しない楽器で何弾いたって、
やっぱりいい音しないんですね。
出音がグルーヴの基礎です。
出音がいいかどうかって、
音楽家のスピリッツだと思うわけです。
なんか、久々に、音楽家魂にメラメラと来ている、
今日この頃です。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
◆毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。
関連記事
-
-
ダメな時はダメ。それでいいのだ。
一昨日から、 書いても書いても仕上がらない記事がありまして。 どうやってもアップ …
-
-
未体験ゾーンの扉を開く!〜生配信ライブを体験しました〜
長いことひとつの世界で仕事をしていると、 「未経験」なことと縁遠くなります。 特 …
-
-
スタジオ・ミュージシャンって何するの?
私のプロフィールには、 「500曲以上のレコーディングに参加した」と書いてありま …
-
-
慣れない。飽きない。手懐ける。
先日、母と出かけた、とあるテーマパークでは、 野外で、一日中フリーコンサートを聞 …
-
-
「空気読め」とか、違くないか?
生まれて初めてアルバイト情報雑誌を買って、 バイトを探した時は、 一体みんな、何 …
-
-
成長する人。
成長する人は、心の素直な人が多い。 なんでも無反省に、 他人の言うことを聞けばい …
-
-
うまいからプロになれるのか?プロになるからうまくなるのか?
うまいからプロになれるのか? プロになるからうまくなるのか? ニワトリとタマゴの …
-
-
「努力」なんか好きじゃないっ!
「あなたみたいに、努力するのが好きな人のマネはできないわ。」 一緒にお仕事をやっ …
-
-
イケてないプレイヤーは弾きすぎる。
イケてないプレイヤーは弾きすぎる。 よく言われることばです。 例えば、 ソロを弾 …
-
-
「それは、MISUMIさんが無理だって思っているからです」
後に圧倒的な成功を手にすることになる、 ある若き女性と、 食事をしていた時のこと …
- PREV
- 苦しさも音楽の一部だから。
- NEXT
- バンド仲間という特殊な人間関係。
