大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

当たり前に続けることが、「特別な力」になる。

   

中学、高校と、
6年間も練習をしまくったにも関わらず、
ピアノもギターも「残念」の域を出ることなく、
気付けば、歌でばかりバンドに誘われるようになっていました。

音楽のプロになるには、歌でがんばるしかないのか。。。
そんな「でもしか」スタートを切ったのは大学3年の頃です。

だから、それまでは、
ごく当たり前の、音楽好きな子がするように、
歌を楽しんでいました。

学校から帰ると、すぐに部屋に向かって、
持っている数枚のレコードから、
今日は何から聞こうかと考える。

レコードに針を落とすと、
歌詞カードを片手に、
スピーカーとスピーカーのど真ん中に座って、
大音量で曲をかけながら、
ひたすら、歌う。

気持ちいい曲は、リピートするし、
数枚しか持ってないので、
とにかく、毎日のようにおなじ曲を聴いては歌う。

歌詞カードを見ながら歌って、
口がまわらなければ、何度でも練習するし、
発音がわからなければ、辞書を引くし、
歌詞がカッコいいなって思えばノートに書き写したり、
意味がおかしいなって思えば、自分で訳をつけたりする。

ひとしきりレコードで盛り上がると、
そこからピアノの練習や、ギターの練習にとりかかる。

なにか特別なことをしていた気は全然なくて。

ただ、自分は「いつか、絶対ビートルズになる」とか、
「女ジミーペイジと呼ばれてみせる」とか、
完全に妄想に取り憑かれて、
ただただ、毎日音楽漬けの生活をすることで、
めっちゃくちゃ「音楽やってる」気になっていました。

歌を志す気は全くなかったんです。

少なくとも、私自身は、
「音楽を志す人間なら、ごく当たり前のことをしている」と、
思っていました。

時は流れ、
音楽学校や、音楽大学で、歌を志す子たちに教えるようになって、
一番驚いたのは、
そんな「音楽好きなら当たり前にしているはず」と思っていたことさえ、
やっていた子が、ほんの一握りしかいなかったことです。

ネットで音楽を聴く時代。
タダで、いくらでも音楽が聴ける、
「ながら」で音楽を聞き流す時代。

時代といえばそれまでだけど、
それでも、好きで、好きでたまらない人たちは、
やっぱり他の人が聞いたら、
「え〜!?そんなことまでやってるの?」
みたいなことを、
当たり前のようにやっている。

いや、やらずにいられない。

やらずにいられないことだから、
気付けば、何年も続けていて、
それがやがて、
周りを圧倒する「特別な力」になる。

逆に言えば、
そんな「当たり前」、
他の人にしたら、「そこまでやるの?」がないと、
なかなか「モノ」にはならないということなのでしょう。

そして、
誰にでも、そんな、「当たり前」がある。

自分にとっては「当たり前」すぎて、
「特別な力」と気付けていないことが、
いやもう、100%、誰にでもある。

そこに気づけたとき、
そこを極めたとき、
はじめて、自分の道が開けるのですよね。

あなたの「当たり前」はなんですか?

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