当たり前に続けることが、「特別な力」になる。
中学、高校と、
6年間も練習をしまくったにも関わらず、
ピアノもギターも「残念」の域を出ることなく、
気付けば、歌でばかりバンドに誘われるようになっていました。
音楽のプロになるには、歌でがんばるしかないのか。。。
そんな「でもしか」スタートを切ったのは大学3年の頃です。
だから、それまでは、
ごく当たり前の、音楽好きな子がするように、
歌を楽しんでいました。
学校から帰ると、すぐに部屋に向かって、
持っている数枚のレコードから、
今日は何から聞こうかと考える。
レコードに針を落とすと、
歌詞カードを片手に、
スピーカーとスピーカーのど真ん中に座って、
大音量で曲をかけながら、
ひたすら、歌う。
気持ちいい曲は、リピートするし、
数枚しか持ってないので、
とにかく、毎日のようにおなじ曲を聴いては歌う。
歌詞カードを見ながら歌って、
口がまわらなければ、何度でも練習するし、
発音がわからなければ、辞書を引くし、
歌詞がカッコいいなって思えばノートに書き写したり、
意味がおかしいなって思えば、自分で訳をつけたりする。
ひとしきりレコードで盛り上がると、
そこからピアノの練習や、ギターの練習にとりかかる。
なにか特別なことをしていた気は全然なくて。
ただ、自分は「いつか、絶対ビートルズになる」とか、
「女ジミーペイジと呼ばれてみせる」とか、
完全に妄想に取り憑かれて、
ただただ、毎日音楽漬けの生活をすることで、
めっちゃくちゃ「音楽やってる」気になっていました。
歌を志す気は全くなかったんです。
少なくとも、私自身は、
「音楽を志す人間なら、ごく当たり前のことをしている」と、
思っていました。
時は流れ、
音楽学校や、音楽大学で、歌を志す子たちに教えるようになって、
一番驚いたのは、
そんな「音楽好きなら当たり前にしているはず」と思っていたことさえ、
やっていた子が、ほんの一握りしかいなかったことです。
ネットで音楽を聴く時代。
タダで、いくらでも音楽が聴ける、
「ながら」で音楽を聞き流す時代。
時代といえばそれまでだけど、
それでも、好きで、好きでたまらない人たちは、
やっぱり他の人が聞いたら、
「え〜!?そんなことまでやってるの?」
みたいなことを、
当たり前のようにやっている。
いや、やらずにいられない。
やらずにいられないことだから、
気付けば、何年も続けていて、
それがやがて、
周りを圧倒する「特別な力」になる。
逆に言えば、
そんな「当たり前」、
他の人にしたら、「そこまでやるの?」がないと、
なかなか「モノ」にはならないということなのでしょう。
そして、
誰にでも、そんな、「当たり前」がある。
自分にとっては「当たり前」すぎて、
「特別な力」と気付けていないことが、
いやもう、100%、誰にでもある。
そこに気づけたとき、
そこを極めたとき、
はじめて、自分の道が開けるのですよね。
あなたの「当たり前」はなんですか?

◆さらにディープに学べるメルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。 https://bit.ly/3ilnz46
関連記事
-
-
バンドやりたい。
若者の頃に出会ったメンバーと、 生涯バンドを続けて行く。 これって、初恋の恋人と …
-
-
臨界点を突破する
「どんなに練習しても、高い声が出ない」 「毎日ボイトレしているのに、声量が上がっ …
-
-
やりたいことは、「今」はじめる。 10年続ける。
無条件に何かを「楽しい」と感じられるようになるまで、 人は何かしらの学習を積み重 …
-
-
「ケツカッチン」で、劇的に成果を上げる
延ばせないデッドライン(締め切り)のことを、 業界用語で「ケツカッチン」と言いま …
-
-
自分の名前をGoogleで検索する?
今日は著者なかま&朋友、デザイナーのウジトモコさんの新刊『SNS xDESIGN …
-
-
パッションこそが推進力
「ボーカル、どうしてやりたいの?」 かつて教えていた音楽学校で、こんな質問をした …
-
-
“トレーナー”というものの役割を思う。
音楽の世界ってゴールはないんだよな。 ワクチンの軽い副反応で、 なかばサボりなが …
-
-
歌をはじめる黄金期?
歌をはじめるのに、 早すぎることも、遅すぎることもない。 これは私の持論でありま …
-
-
憧れを現実に変える力
中学に入学して、 生まれて初めて部活動というものをはじめた時、 同じ部活の高校生 …
-
-
ベストを尽くす。ベストを尊重する。
週末の久っびさのリアルセミナーの準備に追われています。 レジメやプロット、オケや …
