大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自分の声。

   

「自分の声に興味のある人なんているんですか?」

これまで、何度か、
そんな質問をされてきました。

長年、自分の声と向き合い続けてきた私にとって、
これほど意外な質問はありません。

質問されて、逆に、
「え?自分の声に興味のない人なんているの??」
と、ひっくり返りそうになったものです。

ビジネスパーソンを対象に、
声のお話をするようになって知ったのは、

「多くの人は、
声に興味があるとか、ないとかいう以前に、
そもそも、自分の声の存在に気付いていないのだ」
という驚愕の事実。

存在に気付けないものに、
興味を持てるわけがありません。

さらに残念なことには、

そんな人たちが、
自分の声の存在に気づくのは、
ノドに不調を感じたり、
声が出にくくなったりと、
不調や不具合を感じるとき。

おまけに、会議の録音を聞いたり、
誰かに批判されたりして、
はじめて自分の声と向き合うときは、

こもっている、暗い、
かすれている、小さい、
キンキンしている、
ことばが聞き取りにくい・・・などなどと、
ネガティブな感情ばかりがリンクする。

ひどくないですか?
こどもなら、ぐれますね。

レッスン・カルテのアーカイブを整理していると、
声と出会ったことで自信を育み、
人生を好転させたり、
キャリアシフトに成功したりした人たちの、
さまざまな顔、さまざまな声が思い出されます。

多くの人が、
その存在にさえ気付かない「声」には、
人生を変えるほどのパワーがあるのです。

ブログではあんまり語ってこなかった、
そんな「声」のお話を、
カルテのアーカイブをひっくり返しながら、
少しずつ語って行こうと思います。

まずは、自分の声の存在に気付く。

いい声とか、悪い声とか、
そんなジャッジはいりません。

「そこにいたのね」と気付いてあげる。

「いつもありがとう」と、感謝する。

ばかばかしいですか?

声は、私たちが生まれ落ちた瞬間から、
生涯にわたって、
私たちを守り、支え、
エネルギーとパワーをくれる、
唯一無二のパートナーです。

その素晴らしさに気付いた人だけが、
本当の自由とパワーを手にすることができる。

まずは「ふーん」っていう程度の、
軽いインプットで結構です。

ちっちゃい風穴が空くだけでも、
空気の流れは変わるのですから。


◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, ビジネスヴォイス, 声のはなし

  関連記事

人は「エネルギー」なのだ。

昨日、70日ぶりに、 レッスン室にクライアントさんをお招きしました。 10週間。 …

“トレーナー”というものの役割を思う。

音楽の世界ってゴールはないんだよな。 ワクチンの軽い副反応で、 なかばサボりなが …

なんだ、カラオケって、楽しいじゃんっ!

あたくし、今さら言うのもなんですが、 実は、カラオケが大の苦手でした。 これ、ミ …

ヴォーカリストは「声」が命

歌に関することを、ずいぶんいろいろと書いてきました。   姿勢、呼吸な …

ピッチをよくする練習。

「ピッチ悪いね」 歌を志す人が投げ掛けられる苦言で、 これほど辛く、 途方に暮れ …

接客が嫌いなら客商売はやめたまえ。

「接客が嫌いなのに客商売をやっている」という、 意味不明な人に、時々出会います。 …

たったひとつの正解を探す~Singer’s Tips #34~

キーは、 どんな表現をしたいか、 どんな効果を狙うか、 自分のどんな表情を切り取 …

「髪の毛一本」レベルで、音の長さにこだわる。~Singer’s Tips #18~

歌の印象を大きく変えるポイントのひとつに、 「音の長さ」があります。 歌い出しの …

歌う人は「聞こえ方」が命!

ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、 ほんっとにたくさんいます。 …

「ストリートミュージシャン」というお仕事

欧米では、 街角や地下鉄の通路などで、 音楽を演奏するミュージシャンに、 しばし …