自分の声。
「自分の声に興味のある人なんているんですか?」
これまで、何度か、
そんな質問をされてきました。
長年、自分の声と向き合い続けてきた私にとって、
これほど意外な質問はありません。
質問されて、逆に、
「え?自分の声に興味のない人なんているの??」
と、ひっくり返りそうになったものです。
ビジネスパーソンを対象に、
声のお話をするようになって知ったのは、
「多くの人は、
声に興味があるとか、ないとかいう以前に、
そもそも、自分の声の存在に気付いていないのだ」
という驚愕の事実。
存在に気付けないものに、
興味を持てるわけがありません。
さらに残念なことには、
そんな人たちが、
自分の声の存在に気づくのは、
ノドに不調を感じたり、
声が出にくくなったりと、
不調や不具合を感じるとき。
おまけに、会議の録音を聞いたり、
誰かに批判されたりして、
はじめて自分の声と向き合うときは、
こもっている、暗い、
かすれている、小さい、
キンキンしている、
ことばが聞き取りにくい・・・などなどと、
ネガティブな感情ばかりがリンクする。
ひどくないですか?
こどもなら、ぐれますね。
レッスン・カルテのアーカイブを整理していると、
声と出会ったことで自信を育み、
人生を好転させたり、
キャリアシフトに成功したりした人たちの、
さまざまな顔、さまざまな声が思い出されます。
多くの人が、
その存在にさえ気付かない「声」には、
人生を変えるほどのパワーがあるのです。
ブログではあんまり語ってこなかった、
そんな「声」のお話を、
カルテのアーカイブをひっくり返しながら、
少しずつ語って行こうと思います。
まずは、自分の声の存在に気付く。
いい声とか、悪い声とか、
そんなジャッジはいりません。
「そこにいたのね」と気付いてあげる。
「いつもありがとう」と、感謝する。
ばかばかしいですか?
声は、私たちが生まれ落ちた瞬間から、
生涯にわたって、
私たちを守り、支え、
エネルギーとパワーをくれる、
唯一無二のパートナーです。
その素晴らしさに気付いた人だけが、
本当の自由とパワーを手にすることができる。
まずは「ふーん」っていう程度の、
軽いインプットで結構です。
ちっちゃい風穴が空くだけでも、
空気の流れは変わるのですから。

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。
関連記事
-
-
人は「エネルギー」なのだ。
昨日、70日ぶりに、 レッスン室にクライアントさんをお招きしました。 10週間。 …
-
-
“トレーナー”というものの役割を思う。
音楽の世界ってゴールはないんだよな。 ワクチンの軽い副反応で、 なかばサボりなが …
-
-
なんだ、カラオケって、楽しいじゃんっ!
あたくし、今さら言うのもなんですが、 実は、カラオケが大の苦手でした。 これ、ミ …
-
-
ヴォーカリストは「声」が命
歌に関することを、ずいぶんいろいろと書いてきました。 姿勢、呼吸な …
-
-
ピッチをよくする練習。
「ピッチ悪いね」 歌を志す人が投げ掛けられる苦言で、 これほど辛く、 途方に暮れ …
-
-
接客が嫌いなら客商売はやめたまえ。
「接客が嫌いなのに客商売をやっている」という、 意味不明な人に、時々出会います。 …
-
-
たったひとつの正解を探す~Singer’s Tips #34~
キーは、 どんな表現をしたいか、 どんな効果を狙うか、 自分のどんな表情を切り取 …
-
-
「髪の毛一本」レベルで、音の長さにこだわる。~Singer’s Tips #18~
歌の印象を大きく変えるポイントのひとつに、 「音の長さ」があります。 歌い出しの …
-
-
歌う人は「聞こえ方」が命!
ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、 ほんっとにたくさんいます。 …
-
-
「ストリートミュージシャン」というお仕事
欧米では、 街角や地下鉄の通路などで、 音楽を演奏するミュージシャンに、 しばし …
- PREV
- 行き詰まりを感じたら、まず「行動」。
- NEXT
- 「声」はエネルギー。
