「心」じゃなくって、「耳」で聞くのだよ。
こんなことを書くと、また誤解されそうですが・・・
音楽ファンや愛好家はともかく、
送り手を目指す人は、
「なんかカッコいい」や、
「なんとなく好き」を
「なんか」や「なんとなく」のまま放置していてはダメなんです。
自分も、その「なんか」をつくり出したい。
「なんとなく」を醸し出したい。
でも、その「なんか」を「なんとなく」真似すると、
単なる「なんちゃって」に陥ります。
いや、9割が、「なんちゃって」になっちゃってて、
その「なんちゃって」で満足しちゃう。
で、いつまでも、「なーんか」な演奏で終わっちゃう。
ものすごく極論になりますが。
演奏のよさやカッコよさは、9割が数値化できると考えています。
例えば、「なんかグルーヴがカッコいい」も、
セント単位で見た場合、
クリックに対して、どの位置に、
ビートが来ているかで、
グルーヴィーと感じる、そうでもない、がある。
「ニュアンスがなんとなく気持ちいい」なら、
ピッチが1音の中でどんな感じでゆれているとか、
声の周波数帯がどの辺が出ているとか、
息と声のブレンド具合が何パーセントくらいかとか・・・
ことばの発音でも、
子音の長さはどのくらいかとか、
母音の周波数はどうかとか。
いや。
そんな風に、いい歌や音楽を分析する人はいません。
というか、その数字が明確になったところで、
選ぶのは人間の感性、センスですから、
数字が整えばいいということではもちろんない。
ここで言いたいのは、
だから、マインド論や雰囲気論だけで、
プレイしていたのでは、
いつまでたっても「なんちゃって」から、
脱することはできないのではないか、ということです。
そのくらい、「微差」がものを言う。
「なんとなく」「なんか」を、明確に表現できるかどうか。
自分自身の「なんとなく」「なんか」を
かもし出せるかどうか。
ただ、「心をこめて」「雰囲気出して」「熱くなって」
歌っているだけでは、
ダメなんだよなぁ、ということです。
時には、
「心」ではなくて、「耳」で聞く。
冷静に音楽と向き合う。
徹底的に分析する。
こだわる。
それこそが、送り手のあり方ではないか。
感情を揺さぶる音楽は、
その先に生まれるのです。
◆6日間であたなの声と歌を劇的に変える【MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】、第9期のお申込み受付中。
◆ワンランク上を目指すシンガーのためのスーパー・ワークショップ“MTLネクスト”。
関連記事
-
-
腰が硬い人はリズムが悪い!
以前教えていた音楽学校で、 「演奏中の動きがぎこちない学生が多い」という話になっ …
-
-
高揚感を抱えて眠れ〜LIVEの夜の過ごし方〜
演奏者がLIVE終了後にどんな気分でステージを降りるかは、 ミュージシャンの性格 …
-
-
夏の価値を高める「8月いっぴっ!」の習慣
こどもの頃から、 月初めの日記には、 今月やったるで!なことを書き並べ、 最後に …
-
-
歌の学校やレッスンに通う 5つのメリット
「そもそも、音楽やるのに、 なんで学校なんか行く必要があるわけ? 自分の問題なん …
-
-
成長に痛みが伴うのは、 本気度を試されているから。
高校1年の夏だったと記憶しています。 手足が痛くて、眠れない夜が続きました。 筋 …
-
-
とにかく歌う。毎日歌う。それを続ける。
生まれて初めて包丁を持つときは誰だって、 なんのことはない作業、 例えば、単に「 …
-
-
バンドのメンバーに歌をけなされたら、真っ先に確認すべきこと。
リハやライブでバンドのメンバーに歌をけなされた、 という悩みを相談されて真っ先に …
-
-
想像力は人の痛みを知るためにある。
2002年、 ふらっと訪れた旧友たちの住むニューヨーク。 以前住んでいたアパート …
-
-
「想像力の限界」を認める
「ある程度、想像がつくこと」と「想像を越えること」の間には、 「経験」という決定 …
-
-
「本番に弱い自分」を払拭する。
さんざんレッスンして、 万全の体制で現場に乗り込んだのに、 「MISUMIさぁ〜 …
- PREV
- 歌を学ぶ人の3つのステージ
- NEXT
- 「売れないアーティスト」の回顧録
