歌を学ぶ人の3つのステージ
私は歌を学ぶ人には、
3つのステージがあると考えています。
ひとつめは楽器としてのカラダを完成させるステージ。
どんな楽器をはじめるときも、
最初に学ぶのはその楽器の扱い方。
楽器の持つ「音」を、
きちんと出してあげること。
サックスやバイオリンなど、
楽器によってはちゃんとした「音」を出すまでに、
結構な努力が必要な楽器もあります。
ちゃんと音を出すために、
チューニングを学んだり、
フォームを学んだり、
メインテナンスを学んだりするわけです。
そうやって、コツをつかむことで、
やっといい音が出る。
この「いい音」を出せるかどうかが、とにかくキモ。
一流のプレイヤーは、
音が出た瞬間、「だよねーー」って音なんですよね。
これはもう絶対そう。
ピアノという楽器は、
猫が弾いても、犬が弾いても、
ラの音は出た瞬間にラ。
どんな状態で弾いても、
安定した、そこそこいい音が出ます。
ピアノが完成度の高い楽器と言われるゆえんです。
しかし人間のカラダはそうはいきません。
ゆれる。
音が当たらない。
当たるまでにインターバルがある。
出すたびに音色が違う。
かすれる・・・etc.etc.
とにもかくにも、
100回出したら100回、
安定した、ベストな、いい音を出す。
テクニックや表現力をどんなに磨いても、
これができないうちは、
なにをやっても精度が上がりません。
そのために、
リラクゼーションや呼吸、
そして、力の流れを学ぶのです。
2つめが、
基礎的なテクニックを身につけるステージです。
どんなにいい音が出ても、
ドーーーしか弾けないんじゃ演奏はできません。
一定の強さ、一定の速さ、一定の音色で、
粒立ちよく、適確に音をとらえていく。
ダイナミクスや音色のバリエーション、
リズム、発音、ことばの置き方、
フレージングの基礎など。
自分のカラダという楽器を
自由自在に操るテクニックを身につけるフェーズです。
いわゆる基礎練習といわれる反復練習も有効ですし、
手当たり次第の完コピしたり、
1曲とじっくりと向き合ったりすることで、
表現力の基礎を磨きます。
そして3つめ、最後のステージが、
レパートリーをつくる、です。
どんな曲を、どんなアレンジで歌ったらいいか。
キーは?テンポは?
その曲、アレンジと、
自分自身のアイデンティティを100%生かすためには、
どんな音色で、どんな表現で、どんなグルーヴで歌うべきか?
聴く人は、歌のどんなところにぐっとくるのか?
何を押さえて、どんな気持ちで歌えばいいのか?
どんな選曲で、曲順で歌ったらいいのか?
答えは人の数だけあります。
そのとき、そのときによって、
自分に取っての正解も変わります。
その無限の、
果てしない音楽との旅を、
楽しめるようになったら、最高です。
歌のトレーニングは、
この3つのステージを行きつ戻りつしながら、
精度や表現力を上げていくのがベストなのです。
MTL12を受けるべきか、新しく開講するネクストかと、
迷っているという方がいらっしゃるようです。
MTL12では、このステージの1と2を中心に、
理論と練習方法を徹底的にお伝えします。
ネクストは3つめのステージ。
より実践的な内容です。
もちろん、ステージ1,2も取り入れていきますから、
ある程度歌に自信はあるという方は、
思い切ってMTLネクストをどうぞ!
反対に、これまで歌ってきたけど、
基礎をちゃんと知りたいという人は、MTL12がお勧めです。
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