「飲みニケーション」は死んだのか?
2015/12/20
ここ数年、若手バンドマンたちの「クリーン」ぶりに、
驚かされるシーンに何度も出会いました。
メンバー全員、タバコを吸わないのはもちろんのこと、
お酒も一切飲まないというのです。
だからといって、全然飲めないのかと聞けば、そうでもない。
「メンバーで話して、飲まないことに決めたんです」と言います。
理由は、健康上の問題だったり、
お酒など飲んで無駄にしている時間はない、ということだったり、
金銭的な問題だったり、
ときに、願掛けだったりするようで、
立派だな、と思う一方、
じゃあ、みんなで一緒にいるときは、
どんな風に過ごしているんだろうという疑問が浮かびます。
日本全国津々浦々、ツアーといえば、打ち上げ。
夜の10時にホテルのロビーで集合して、おもてなしの酒宴。
そのまま、2次会はクラブのVIPルーム、3次会はカラオケ、
などと、元気な人は、毎日のようにお店をはしごしていたバブルの時代。
毎夜毎夜、一緒に時間を過ごすうち、どんどん関係が密になり、
ツアーが終わると、お互い会えなくてなんだか淋しいから、
何かあると仕事に誘い合うようになって。。。
「一緒にいると楽しいやつ」はやっぱり、よく仕事に誘われました。
ライブにも打ち上げがつきものでした。
初めて一緒に演奏した人と、その日のお互いの演奏の感想を述べ合ったり、
連絡先を交換したり。
やたら意気投合して、そのまま「バンドをやろう!」なんて
ノリになったこともしばしば。
飲み会の席で構築された人間関係もたくさんありました。
その日の演奏の話、音楽の話、機材の話、
業界の裏話、ご当地話、家族の話、おねえちゃんの話・・・
飲み会に行くたびに、それはそれは、新鮮な、
さまざまな話を聞けて、ものすごく楽しかった時期もあります。
お酒を飲むと、めちゃくちゃ面白くなる人もたくさんいて、
毎晩お腹を抱えて笑っていた時期もあります。
一方で、おもしろくないこともたくさん起こりました。
セクハラ、パワハラ、モラハラもあったし、
酒乱気味で人に絡む人や、
後輩などに向かって、お説教をはじめる人、
女性を次々くどく人(まぁ、おもしろい人もいたんですが)、
その場限り、大きいことや美味しいことを言って、
それきり何にも覚えていない、なんて人もたくさんいました。
言われた方は期待して待っているのに、
「そんなこと言ったっけ?」などと、突き放されたり。
先輩やエライ人と飲めば、
疲れていても、眠くても、先に帰らせてもらえず、
ボロボロになっても付き合わなければいけなかったり。
お酒の席で起きたことを、後からくどくど蒸し返して、
文句を言うような人もいました。
飲み会が原因で、不仲になった人もたくさんいますし、
長年にわたる飲み過ぎで体調不良になった人もいます。
お酒を飲まない、タバコを吸わない、言い合いもしない若者たちの、
お互いの関係性が希薄だなんて言うつもりはありません。
時代には、その時代の気分がある。
飲みニケーションが当たり前だった時代に生きた人間の価値観と、
ただ違うだけ。
大切にしていることが他にあるのでしょう。
どちらがいいとか、悪いとかではなく、時代。
そんなことを、いつもフラットに理解できる人間でいること。
もしくは、知らない価値観に好奇心を持ったり、
理解しようと努力できる人間でいることが、
一番大切なのですよね。
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