大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「限界ギリギリの定番曲」をいきなり歌う。

   

練習はルーティンからはじめる、というのは、
どんなスポーツでもおなじではないでしょうか。

カラダのコンディションは、
毎日、いや、一瞬一瞬違うので、
自分の状態を把握するためにも、
微差に加えるためにも、
ルーティンワークは必要不可欠。

歌の練習でもおなじです。

ただね、このルーティンワーク、
あーあーあーあーあ(ドレミレド−)と、
定番中の定番をやるのもいいんですが、

それだと、中上級以上のレベルの人には、
バロメーターとして、いかにも弱い。

ウォーミングアップ目的ならともかく、
真剣な練習に使うには、
物足りないし、第一退屈です。

そこで、声の立ち上がりが不安で、
やっぱり定番のボイトレをやりたい、という人以外は、
いきなりバキッと、曲を歌っちゃうというのが、オススメです。

 

誰にでも、これを歌うと自分の声の調子がわかるというくらい、
毎回必ず歌う曲というのがあるでしょう。

そんな曲たちをプレイリストにいれておく。
そして、いきなり歌い出す。

あ、もちろん、
ノドの弱い方や、立ち上がりの悪い方は、
いきなり、乱暴に歌っちゃダメですよ。

でもね、例えば、起き抜けに歌うと、
朝のコンディションのひどさというのが、
もう、手に取るようにわかる。

音域が狭い、
呼吸が浅い、
ピッチが当たらない、
ガラガラしている、
音量が出ない、などなど。

で、だんだんと歌っているうちに、
霧が晴れるように、
そんな不具合がひとつひとつ、
解消されていきます。

ウォーミングアップ段階では、
1曲にこだわっても精度があがるわけもないんで、
ずるーっと10曲くらい歌って、
コンディションの変化を見ます。

 

午後など、すでに声が立ち上がっている状態なら、
いきなりバキッと、
自分の限界ギリギリぐらいの技術を要求される歌を選んで歌う。

自分の最高音、最低音が出てくるような曲、
難解なアドリブが出てくる曲、
声のいろんな表現が出てくる曲、
思いきりダイナミクスが広い曲・・・。

そんな限界ギリギリの、ハードルの高い曲を、
練習の定番として必ず歌う。
これ、めちゃくちゃよいバロメーターになります。

できたはずのことができなかったり、
出たはずの音が出なかったり、
なんか、イケてない歌になったり、

あれ〜?
おっかしいなぁ。
こんなはずじゃないよなぁ。

・・・なんてことが出てきたら、
フォームが乱れている証拠。

そこを集中的に練習したり、
基本を思い出して、ゆっくり歌ってみたりすることで、
ふっと、よかったときの状態が戻ってきたりするものです。

反対に、何年も歌い続けることで、
苦手だったことが、
突然、何の苦もなくできるようになることもあります。

ちゃんとつきあってあげれば、
カラダはちゃんと応えてくれるもの。

不調をいちいち年のせいにするのは、
もうちょっと後にしようと思います。

ちなみに、私の定番練習曲は、
チャカのアルバム”What Cha Gonna Do For Me?”
Heartのアルバム”Bad Animals”。

いきなり上のGとかAとか出てきますから、
朝っぱらから歌うとエラいことになりますが、
バキッ歌えた時は、
今日はもう練習いいか、って気分にさせてくれます。

あなたの定番練習曲はなんですか?

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にする唯一無二のメソッドMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。よろしかったらチャンネル登録をぜひ!
さらにディープに学べるメルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。 https://bit.ly/3ilnz46

 

 

 - B面Blog, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 歌を極める

  関連記事

「この歌、いいなぁ」には必ず理由がある!

「売れる曲には、必ず理由がある」 あるヒットメーカーが教えてくれたことばです。 …

「ボイストレーナーなんかいらない人」になるための3つのポイント

昨日、『MTL ヴォイス&ヴォーカル オープンレッスン12』初日、 Unit1と …

歌の学校やレッスンに通う 5つのメリット

「そもそも、音楽やるのに、 なんで学校なんか行く必要があるわけ? 自分の問題なん …

「じっくり聴けない人」の3つの言い訳

歌の上達のポイントは、音源をじっくり聴いて、 そこから可能な限り、たくさんの情報 …

「バンド、やりたいんですけど・・・」

「バンドやりたいんですけど・・・」 学生から、そんな相談を、よく受けました。 え …

「左脳で感じる」練習法

「おとなは左脳で感じる」。 私の持論です。 ある程度成長すると、 こどものように …

生(リアル)な音、ください。

溝が浅くなるまで、繰り返し聞いたレコード。 ぼろっぼろになるまで、使い込んだ歌詞 …

Proud.〜第2期MTLネクストが終了しました〜

昨日、第2期MTLネクストの最終プレゼンテーション、 発表会が終了しました。 2 …

上澄みをすくい取って「わかった気」にならない。~Singer’s Tips#21~

ちょっと昨日のブログの続編的なお話です。 ひとつの曲が生まれて、 受け手の手元に …

「誰に学ぶか?」vs.「誰が学ぶか?」

中学1年でやっとの思いでピアノを買ってもらって、通い始めた近所のピアノ教室。 2 …