「好きになれない課題曲」から徹底的に学ぶ方法
2015/12/20
自分が心から感動し、お手本にし、研究した、いい音楽を、後進にシェアしたい。
自分が学んだテクニックや表現方法、作品の味わい方を、
実例を挙げることで、できる限りリアルに伝えたい。
学ぶべきことが多かった、自分を成長させてくれた曲を題材に、
若者にさまざまなことを教えたい。
インストラクターたちは、そんな思いで、レッスンの課題曲を選んでいます。
これが、学校などで使われる課題曲に「古くさい洋楽」が多い理由です。
若者たちにとって、
自分が興味ない曲をありがたそうに学ばされるのは苦痛かもしれません。
私もかつて、そんな風に考えてばかりいる生意気な生徒だったので、よくわかります。
しかし、音楽や歌は、時代時代のスタイルの違いこそあれ、
その本質は少しも変わりません。
どんな時代のどんな楽曲から学ぼうと、歌というものの本質が変わらない以上、
学ぶべきことも変わりません。
どうせ同じことを教わるのなら、
自分たちが好む、聞き慣れた音楽で習う方が楽しい、
という考え方もあるでしょう。
しかし、教えてくれる人たちがかつて感銘を受け、研究し尽くした課題曲には、
彼らの思い入れと共に、好きな人でなければ持ち得ない、
圧倒的な情報量が詰まっています。
細かいフレージング、音色の妙、ちょっとしたタイミングや、
アドリブ、アレンジ、ときにミュージシャンのバックボーンまで・・・
好きだからこそ、夢中になったからこそ得られる情報。
そんな情報の数々をシェアしてもらえることは、
教わる側にとって圧倒的にメリットがあるはずです。
自分たちが好きな音楽は、自分たちのこだわりをもって、
好きなだけ聞いて、好きなだけ研究したらよろしい。
やがて、オトナになったときに、
自分がたくさんのものを受け取った曲を後進に伝えようと、必死になるほどに、
うざがられる体験をするのもいいでしょう。
与えられた課題曲の表面だけを見て、
これはおもしろいとか、つまらないとかジャッジし、
努力を回避し、情報を遮断しようとするなら、
そもそも人からものを習う資格はありません。
なぜ、この曲が選ばれたのか?
この曲に託された課題はなにか?
学ぶべき本質はなにか?
自分はこの曲とどう向き合い、付き合っていったらいいか?
目差す音楽に生かして行かれることはなにか?
そんなことを考えられる人だけがぐんぐん伸びます。
そうしてわからないなり、好きになれないなりにも、
どんどん理解していけば、少なくとも歌う意味は理解できるし、
取り組んで行く意欲もわくはずです。
課題を与えた側が感銘を受けるほど、
楽曲の本質をくみ取れるようになってはじめて、
その楽曲を学ぶ意味があるのかどうか、ジャッジできるのではないか?
そして、もちろん、課題を与える側も、1回1回気合いを入れて、心を込めて、
曲を選んで行きたいものです。

<Day-to-day>
大学終わりで駆けつけたスタジオで、アーティストの卵、兵庫県からの高校3年生のレッスンをしてきました。
「毎日どのくらい練習しているの?」と質問したときの答えは、「う〜ん。わからないです。学校とバイトと寝ている時間以外はとにかくず〜っと練習しているんで」。
実に気に入りました。これが本当のポテンシャルっていうものじゃないのかな。。
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