自分自身のフィードバックシステムを磨く
オープンレッスン12、全6日間の3日目が終了しました。
発声と歌のノウハウのすべてを6日間で
あますところなく学んでいただくためのセミナー。
受講者のみなさんに、最も学んでいただきたいと考えているのは、
「自分自身のフィードバックシステムを磨く」ためのノウハウです。
ここで言う「フィードバック」とは、
つまり、自分が出している声を聴いたり、
自分のカラダが起こしている反応を感じたりすることで、
その都度、
発声の仕方や、カラダのつかいかたに微調整を加えていくこと。
もう少し詳しく言えば・・・
目差している声やカラダの状態を明確に意識する。
→そのゴールを目差して、声を出す。歌う。
→自分が歌っている声を聴く。カラダの状態を目で見る。感じ取る。
→目差している状態との違いを詳細に分析する。
→発声法や筋肉の状態に微調整を加えて、再度声を出す。歌う。
というサイクルを繰り返すことです。
具体的には、
1.こんな風に歌いたい、というゴールを設定する。
「歌手の○○のように歌いたい」のように、
具体的なお手本を持つのがベストです。
さまざまなシンガーの歌を聴いて、自分の感性を磨くことが、
ゴール設定の近道になります。
2.ゴールを目差して歌ってみる。
自分の理想とするパフォーマンスを目差して丁寧に歌います。
お手本として設定した人の歌があれば、この先の段階に進むのが楽になります。
3.自分のパフォーマンスをチェックする。
慣れないうちは、ビデオに撮ったり、録音したりして、
じっくり観察、チェックします。
慣れてくれば、いちいち録音をしなくても、
歌いながら自分のパフォーマンスに微調整が加えられるようになりますが、
まずは、その前段階です。
4.設定したゴールと、自分自身のパフォーマンスの違いを分析する。
声や歌のどこがどう違うのか、
表情や姿勢、呼吸、カラダの使い方はどう違うのか、
細部にわたるまで、徹底的に分析します。
この、「違い」がわかるかどうかが、
フィードバックの精度に大きく関わってきます。
5.微調整を加えて、再度歌ってみる。
分析結果に基づいて、微調整を加えます。
分析が正しくても、調整がうまく行かなければ、
望む結果は得られません。
フィードバックを繰り返すことで、
自分のパフォーマンスを瞬時に分析し、
修正を加えることが可能になります。
その結果、パフォーマンスの精度が上がるのです。
いかがでしょう?
フィードバックシステムを磨くことの大切さは、
すべての学習に共通します。
努力しているにもかかわらず、
いまひとつ結果が出せないという人は、
この過程のどこかがうまくいっていないと考えられます。
今一度、日々の学習を見直してみてくださいね。
関連記事
-
-
「音楽」という流れをつかむ~Singer’s Tips #15~
一音にこだわる。 1ポーズにこだわる。 歌も踊りも、 重箱の隅をつつき倒すように …
-
-
「どう記録するか」より、「どう記憶するか」
スマホの時代になって間もなくのこと。 こちらが、それはもう夢中で、 なかなかいい …
-
-
本気でやりたいなら、「なんか」やれ。
アーティストやタレント、声優の、 新人育成を担当させていただく機会が多々あります …
-
-
「歌うことをはじめる」はじめの一歩をどう踏み出すか。
「ずっと歌をやりたかった。」 そんな風に思っている人は、数え切れないほどいるよう …
-
-
「能書きが多いヤツ」は上達しない。
「歌って何才までうまくなるんですか?」 実によくされる質問ですが、 こればかりは …
-
-
「正しい演奏」と「いい演奏」とは、全然違うことなんだ
こどもの頃、「音大生」というものに、 本気で憧れていました。 少女漫画の読み過ぎ …
-
-
歌がうまくなりたいなら、そろえるべきアプリ10選!
今日はヴォーカリストやトレーナー、歌がうまくなりたい人が持っていると便利なお勧め …
-
-
いい歌は左脳を麻痺させる。
ものすごくうまいのに、ものすごく退屈な歌、というのを、 たくさんたくさん聞いてき …
-
-
うまくなる人。ダメな人。
「歌は、誰だってうまくなる。」 20年にわたるヴォーカル・トレーニングを通じて確 …
-
-
「初めて」が「自分の基準」になる!
オーディションなどの審査をするとき、 最初に出てきたパフォーマーが、まずは採点の …
- PREV
- やりたいことを、「はじめるコツ」
- NEXT
- 自分が自分であることの奇跡
Comment
車の運転中に歌う事が主なんでんすが、座席の角度、ハンドルからの距離、車が変わればシートの種類がありその都度声の音圧、音質が変わるように思います。
>マツダ ミツトシさん
音圧は呼吸の呼吸の圧力、そのときつかわれている声帯の筋力によって変わります。
シートが変わって姿勢が変われば、呼吸の状態が変わるので、音圧も変わりますし、
車の中の音響によって聞こえ方が違うので、声を大きく出してしまうこともあるでしょう。
声質が変わる主な理由は、車の中の音響環境が変わるせいです。
また姿勢が変わることで、首の角度が変わるという可能性も考えられますね。