基本中の基本!「コーラス3原則」
コーラスということばに抱いている印象は、
その人の音楽経験によって違うでしょう。
中学生、高校生なら音楽の授業や、
「コーラス部」を思い浮かべるかもしれませんし、
主婦の方なら「ママさんコーラス」、
近年では、アメリカの黒人音楽である、
「ゴスペル」を思い浮かべる人もいるでしょうか。
ちなみに欧米では、
教会などで大勢集まって歌う人たちのことをchoir(クワイア)、
歌手などの後ろで歌う人たちのことをBacking vocalists(バッキングボーカリスト)、
Background singers(BGs/バックグラウンドシンガー)などと言います。
音楽業界での初仕事は「コーラスさん」でしたが、
友人に「コーラスの仕事やらない?」と誘ってもらった時は、
正直、頭の中に「ママさんコーラス」の映像しか思い浮かばなくて、
途方に暮れたものです。
形態や呼び方はどうあれ、
コーラスとは、複数の人間が声を合わせて歌うこと。
人間は、一度にひとつの声、ひとつの音しか出せません。
これは人間のカラダの構造上、
(ホーミーのような例外的なサウンドは別として)
どんなに訓練を積んでも絶対に不可能なことです。
だからリアルタイムで和音というものを奏でるためには、
複数の人間が同時に声を出すしかないのです。
人間の声というものは、
唯一、人間が自由に演奏できる、神様がつくった楽器です。
1人1人の持つ声の深みや奥行きは、
その可能性を追求するほどに驚くばかりです。
そんな、素晴らしい、
しかも1度に1音しか演奏できない楽器を持った人たちが、
心を合わせて、和音を奏でる。リズムを刻む。ことばを紡ぐ。
コーラスがハマったときの心地よさは、
体験した人でなければけしてわからない、何ともいえない快感があります。
しかし、この「快感」を体験するまでには、
いくつかのハードルを越えなくてはいけません。
今日は数あるコーラスのポイントの中でも、
『基本中の基本!「コーラス3原則」』をお届けします。
まずは「ハモること」。
人間の声が心地よいハーモニーを奏でるには、
それぞれが出す音の波形が調和している必要があります。
簡単に言うなら、それぞれがいいピッチで歌ってくれなくちゃダメ、
ということです。
波形が調和しないハーモニーは、
耳のいい人には「快感」どころか、「気持ち悪い」と感じられます。
次は、「タイミングをあわせること」。
せっかく気持ちいいはずのハーモニーも、
音が出てくるタイミングや切れるタイミング、
ことばの発音などのタイミングが合わなければ、
バラバラに聞こえるだけです。
タイミングをぴたりとそろえることの大切さは、
どんな楽器にも共通です。
そして、「音色を整えること」。
ドの音がピアノ、ミの音がエレキギター、ソの音が三味線・・・
というように、まったく音色の違う楽器で和音を奏でるよりも、
ピアノならピアノ、ギターならギターで、
ドミソと和音を奏でた方が、圧倒的な調和感が生まれるものです。
人間の声はそれぞれのキャラクターこそあるものの、
音色、すなわち含まれる周波数は、
その出し方によって、さまざまに変化させられるものです。
複数の人が声を合わせるときに、
ついつい、この「音色をあわせる」ことを怠りがちですが、
ここまでしっかりこだわるかどうかで、
コーラス全体の精度は大きく変わってきます。
いかがでしょうか?
コーラスには実にたくさんの課題がたくさんありますが、
まずは基本中の基本。
3つのポイントをしっかり押さえましょうね!
*下記の記事も参考にしてください。
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