大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

基本中の基本!「コーラス3原則」

   

コーラスということばに抱いている印象は、
その人の音楽経験によって違うでしょう。

 

中学生、高校生なら音楽の授業や、
「コーラス部」を思い浮かべるかもしれませんし、

主婦の方なら「ママさんコーラス」、

近年では、アメリカの黒人音楽である、
「ゴスペル」を思い浮かべる人もいるでしょうか。

 

ちなみに欧米では、
教会などで大勢集まって歌う人たちのことをchoir(クワイア)、
歌手などの後ろで歌う人たちのことをBacking vocalists(バッキングボーカリスト)、
Background singers(BGs/バックグラウンドシンガー)などと言います。

 

音楽業界での初仕事は「コーラスさん」でしたが、
友人に「コーラスの仕事やらない?」と誘ってもらった時は、
正直、頭の中に「ママさんコーラス」の映像しか思い浮かばなくて、
途方に暮れたものです。

 

形態や呼び方はどうあれ、
コーラスとは、複数の人間が声を合わせて歌うこと。

 

人間は、一度にひとつの声、ひとつの音しか出せません。

これは人間のカラダの構造上、
(ホーミーのような例外的なサウンドは別として)
どんなに訓練を積んでも絶対に不可能なことです。

だからリアルタイムで和音というものを奏でるためには、
複数の人間が同時に声を出すしかないのです。

 

人間の声というものは、
唯一、人間が自由に演奏できる、神様がつくった楽器です。

1人1人の持つ声の深みや奥行きは、
その可能性を追求するほどに驚くばかりです。

 

そんな、素晴らしい、
しかも1度に1音しか演奏できない楽器を持った人たちが、
心を合わせて、和音を奏でる。リズムを刻む。ことばを紡ぐ。

 

コーラスがハマったときの心地よさは、
体験した人でなければけしてわからない、何ともいえない快感があります。

 

しかし、この「快感」を体験するまでには、
いくつかのハードルを越えなくてはいけません。

今日は数あるコーラスのポイントの中でも、
『基本中の基本!「コーラス3原則」』をお届けします。

 

まずは「ハモること」

人間の声が心地よいハーモニーを奏でるには、
それぞれが出す音の波形が調和している必要があります。

簡単に言うなら、それぞれがいいピッチで歌ってくれなくちゃダメ、
ということです。

波形が調和しないハーモニーは、
耳のいい人には「快感」どころか、「気持ち悪い」と感じられます。
 

次は、「タイミングをあわせること」

 

せっかく気持ちいいはずのハーモニーも、
音が出てくるタイミングや切れるタイミング、
ことばの発音などのタイミングが合わなければ、
バラバラに聞こえるだけです。

タイミングをぴたりとそろえることの大切さは、
どんな楽器にも共通です。

 

そして、「音色を整えること」

ドの音がピアノ、ミの音がエレキギター、ソの音が三味線・・・
というように、まったく音色の違う楽器で和音を奏でるよりも、

ピアノならピアノ、ギターならギターで、
ドミソと和音を奏でた方が、圧倒的な調和感が生まれるものです。

人間の声はそれぞれのキャラクターこそあるものの、
音色、すなわち含まれる周波数は、
その出し方によって、さまざまに変化させられるものです。

複数の人が声を合わせるときに、
ついつい、この「音色をあわせる」ことを怠りがちですが、

ここまでしっかりこだわるかどうかで、
コーラス全体の精度は大きく変わってきます。

 

 

いかがでしょうか?

コーラスには実にたくさんの課題がたくさんありますが、
まずは基本中の基本。
3つのポイントをしっかり押さえましょうね!

 

*下記の記事も参考にしてください。

コーラス上達法①『まずは、歌う音を探す』

「じゃ、”ハモる”って、どうするの?」コーラス上達法②

『コーラスをするときにこだわる10のこと』

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 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

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