大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「うまい」ってのは、ほめ言葉じゃない。

      2022/12/25

「うまいね」って言われたら、まだまだだと思え。
常日頃、人に、自分に言いきかせています。

ピッチがいい、リズムがいい、高い声が出る、はもちろん、
表現力があるとか、ニュアンスがいいとか・・・
そんな風に判断するのは左脳の仕事。

うまいということばが出てくるのは、
感動していないからです。

本気で感動している時は、
「カッコいい!」「すごい!」「涙出る」という感嘆のことばや、
「いいねぇ〜」「めっちゃ好き!」「いい声だなぁ」というような、
感動の表現が飛び出すもの。

感動に明確な理由はいりません。

上達するために自分の歌や演奏を聞くときは、
左脳で分析することは必要不可欠ですが、
それはあくまでも、練習段階。

「うまい」を越えた演奏ができるか。
人を感動させられるかどうか。

音楽だから、そこが一番大事なわけです。
自分が感動しない歌や演奏で、人を感動させることはできません。

 

練習熱心な人、研究熱心な人ほど、この大切なポイントを置き去りにしがちです。

評論癖、分析癖が身につくと、
素直に感動する気持ちが活躍できなくなります。

まずは人の歌、自分の歌を、あれこれ考えたり、分析したり、
なにかの片手間で聞くだけじゃなく、
じっと心で聴く習慣をつけること。

ことばを探さず、ただ感情のあふれるに身をまかせてみること。

自分の感情に敏感になれるから、
それを取り出すこともうまくなっていくのです。

「うまい」ってのは、ほめ言葉じゃないんですよね。

◆歌う心とカラダに活を入れる2日間。MTLサマースクール2022。絶対お勧め!来てみて!
リアルとリモート同時開催。
◆公式LINE、はじめました。ご質問やお悩みにもお答えしていきます。
ご登録はこちらから。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 歌を極める, 音楽

  関連記事

「正しく気づけない」から上達しないのだ

「神は細部に宿る」と言われます。 細部の大切さは誰もがわかっているはずなのに、 …

ちゃんと鳴らす!

ヴォーカルのテクニックのひとつに、 「息混じりに歌う」というのがあります。 基本 …

「歌うことをはじめる」はじめの一歩をどう踏み出すか。

「ずっと歌をやりたかった。」 そんな風に思っている人は、数え切れないほどいるよう …

いい音の楽器と歌うから、いい声になる

子供の頃から生ピアノの音が大好きで、 ピアノ可物件にこだわって引っ越ししてきまし …

「能書きが多いヤツ」は上達しない。

「歌って何才までうまくなるんですか?」 実によくされる質問ですが、 こればかりは …

テクノロジーは「交通手段」のように 付き合う。

歌を志した21〜22才くらいから、 周囲のおとなミュージシャンたちのオススメに素 …

アドリブ上達の唯一の方法

「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、 素直にストレートメロディだけ歌って …

「シャウト」と「ウィスパー」、同じ音量で歌えますか?

「昔ロッド・スチュワートのコンサートでさ、エンジニアやってたって人が、 フェイダ …

ホンモノか?ニセモノか?

「あいつはホンモノだよ」 「なんか、あの子、ウソくさいのよね」 一般の人たちがど …

バンド世代 vs. カラオケ世代

こどもの頃から楽器を練習している人でも、 自分の楽器以外のことはわからないという …