大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「うまい」ってのは、ほめ言葉じゃない。

      2022/12/25

「うまいね」って言われたら、まだまだだと思え。
常日頃、人に、自分に言いきかせています。

ピッチがいい、リズムがいい、高い声が出る、はもちろん、
表現力があるとか、ニュアンスがいいとか・・・
そんな風に判断するのは左脳の仕事。

うまいということばが出てくるのは、
感動していないからです。

本気で感動している時は、
「カッコいい!」「すごい!」「涙出る」という感嘆のことばや、
「いいねぇ〜」「めっちゃ好き!」「いい声だなぁ」というような、
感動の表現が飛び出すもの。

感動に明確な理由はいりません。

上達するために自分の歌や演奏を聞くときは、
左脳で分析することは必要不可欠ですが、
それはあくまでも、練習段階。

「うまい」を越えた演奏ができるか。
人を感動させられるかどうか。

音楽だから、そこが一番大事なわけです。
自分が感動しない歌や演奏で、人を感動させることはできません。

 

練習熱心な人、研究熱心な人ほど、この大切なポイントを置き去りにしがちです。

評論癖、分析癖が身につくと、
素直に感動する気持ちが活躍できなくなります。

まずは人の歌、自分の歌を、あれこれ考えたり、分析したり、
なにかの片手間で聞くだけじゃなく、
じっと心で聴く習慣をつけること。

ことばを探さず、ただ感情のあふれるに身をまかせてみること。

自分の感情に敏感になれるから、
それを取り出すこともうまくなっていくのです。

「うまい」ってのは、ほめ言葉じゃないんですよね。

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