“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、
ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、
今も昔も、私自身が完コピを通して、
歌を学び続けているからに他なりません。
なぜ完コピにチャレンジするかと言えば、
すっごいカッコいい、と思うシンガーの、
一体全体なにがそんなにカッコいいのか、
自分はどこにシビれているのか、
その秘密を解き明かしたい、
盗み取りたいという衝動と情熱に駆り立てられるからです。
しかし、完コピは諸刃の剣。
一番肝心な、「カッコいいエッセンス」を盗み切れないと、
「似てね〜」と、聞く人の笑いを誘う”なんちゃってコピー”や、
「気持ちはわかる!」の”雰囲気もん”、
芸人さんばりにデフォルメした”モノマネ”に陥ってしまう危険を、
常にはらんでいます。
オリジナル音源と一緒に、どんなに歌い込んでも、
常に、耳元で、本人の完璧なパフォーマンスが、
自分の稚拙なところを補完してくれますし、
人間の脳というのは、都合良く出来ていますから、
多少のまずいところは、
脳内再生されるオリジナルシンガーの声がマスキングしてくれるもの。
これではいつまでたっても、大切なエッセンスを学び取れません。
実際、これだけ長年、
オタクと呼ばれるほどに完コピを繰り返してきても、
時に、自らの耳を「節穴?」と疑いたくなるほど、
ちゃんと聞けていないときが、多々あります。
歌えたはずなのに、歌えない、
オリジナルの歌のエッセンスをどうしても表現できない。
・・・そんな冷や汗をかく場面に直面するたびに、
あぁ、まだまだわかってねぇなと、
反省することしきりです。
神は細部に宿る。
ほんっとの「カッコいいエッセンス」は、
高い声でも、派手なメリスマでも。
太くて豊かな声でもなく、
ふとした音の立ち上がり、
ブレスのタイミング、
切りぎわのニュアンス、
ことばの発音の妙、
微妙なピッチのゆらぎ…
そんな、実に些細な、
ともすると、手癖、歌い癖、で片付けてしまいそうな、
認識のエアポケットみたいなところに潜んでいます。
レコーディング技術が進んだ今、
現代の達人たちの歌には、
どんなささやかなパーツにも
すべて、意図とこだわりがあります。
「なんとなく、こんな感じで歌っちゃった」は、ないんです。
私たちが聞いている音源のパフォーマンスは、
微に入り細に入り、
達人たちが、自らの最高のパフォーマンスと認めた、
極上中の極上の歌。
そこに気付けないまま、
なんとなくカバーしていると、
いつまでたっても、
イマイチな評価しか得られません。
何年も歌いこんできた歌こそ、
あらためてオリジナルの歌とじっくり向き合ってみると、
本当にいろいろな発見があるものです。
今日も修行です。

◆歌う心とカラダに活を入れる2日間。MTLサマースクール2022。リアルとリモート同時開催。
◆公式LINE、はじめました。ご質問やお悩みにもお答えしていきます。ご登録はこちらから。
関連記事
-
-
理屈は後付け。
先日の『イケてないロック・ヴォーカルは、なぜイケてないのか?』、 たくさんの方に …
-
-
ボイトレ七つ道具、公開(^^)
最近、講演やセミナーをするときだけでなく、通常のボイトレをするときにも、 声のし …
-
-
「最後に頼りになるのは自分の耳!」って、言いたい。
世の中には、耳のいい人というのはいるものです。 バンドがどんがらが …
-
-
歌っている自分を直視できない?
歌っているところを動画に撮る。 こんな宿題を出すことが多々あります。 自分を客観 …
-
-
1つの曲に含まれる驚くべき情報量
「普段、どんな音楽を聴いているんですか? やっぱり、レコードとか、CDとか、たく …
-
-
リズム感が悪いと言われたら「発声を見直す」!
「リズムが悪い」と言われたら、 誰もが真っ先に試みるのは・・・ 1.ドンカマやド …
-
-
カラダをつくる~Singer’s Tips #23~
どんなに歌を練習しても、 肝心の楽器であるカラダがへなちょこでは、 いい音、いい …
-
-
慣れたらあかん!
「習うより慣れろ」ということわざがあります。 意味は、 「人や本から教わるよりも …
-
-
批評家目線を捨てる
「Aさんって、うまいんですか?」 生徒の口からは、いわゆる本格派といわれる歌手で …
-
-
音楽家としての「表現の自由」を謳歌する
「テクニックを身につけるのは、選択の余地を増やすためである」 そんなお話をよくし …
- PREV
- 「最高の一瞬」を刻むのだ!
- NEXT
- 「時間」を武器に変える!
