大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

理屈は後付け。

   

先日の『イケてないロック・ヴォーカルは、なぜイケてないのか?』
たくさんの方に反響をいただきました。
ありがとうございました。
 

さて、その中で書いた、

「特に70年代頃のロックの曲にはブルーノートのような、ピアノの鍵盤にない音がたくさん登場します。なので、フラット気味に歌うことが「ロックっぽい」、「ブルースっぽい」と勘違いしてしまうヴォーカリストが、うんざりするほどたくさんいます。・・・」

 

という箇所を受けて、下記のような質問が寄せられました。
 
「ブルー・ノート・スケール(ブルース・スケール、blue note scale)は、ジャズやブルースなどで使われる、メジャー・スケール(長音階)に、その第3音、第5音、第7音を半音下げた音を加えて用いるもの、もしくはマイナー・ペンタトニック・スケールに♭5の音を加えたものである。特に、♭5の音をブルー・ノートと呼ぶ。近代対斜の一種でもある。

と、ウィキぺディアではなっており、その他のサイトでも、ググった限りでは、「ブルーノートとは、ピアノの鍵盤にない音」を定義する記述は、発見出てきませんでした。手元のジャズ理論を記した本も同様です。
よらしかったら、「ブルーノートはピアノの鍵盤にない音」を裏付ける出典を教えてくださると後学のためになるのでありがたいです。」

また、上記のように「ギター教室でも習った」という方もいらっしゃいました。

 

実はこれまで、私周辺のミュージシャンたちの間で、
このことばの解釈で行き違いがあったことはなかったので、
この質問を受け、今度は逆に私が、いろいろと調べたり、
人に質問したりしなければいけなくなりました。

私自身は、正直、ジャズ理論は、ほとんどと言っていいほど知りません。
スケールの勉強をしたこともありません。

ハッキリとした理由があるわけではありませんが、

たとえばクラシックの声楽家はシャウトをしないとか、
ハードロックのギターリストがフラメンコの弾き方を学ばないとか、
まぁ、おそらくそんな類の理由からでしょう。
 

そんなわけで、私の書くものに、
スケールの話や、理論の話が登場したことはないはずですし、
これからもないと思います。

 

ここで言う、「ブルーノート」というのは、
黒人音楽がルーツにあるロックやブルースなどに登場する音のこと。

R&Bやロックの曲を、
私自身が、何百曲も完コピすることで、体験的に学んだ音です。

 

うまく説明できないので、少し調べたら、
とてもわかりやすく説明している、
オーサカ=モノレールさんという方のブログに行き当たりましたので、
よろしかったら、こちらをごらんになっていただけるといいかもしれません。

 

また、非常に身近に、ロックの生き字引的存在のギターリストがおりますので、
どのように説明すると、わかってもらえるか投げかけたところ、

「ロックンロール、ブルース、R&B、ファンクなんかの
黒人音楽ルーツの名曲と言われている曲を最低でも100曲ぐらい聞けばわかるんじゃない?
そのヴォーカルや、サックス、ギターの、ソロのメロディラインをなぞってみると、
どんなことを言っているのか、わかるはずだけど。」

とのことでした。

所詮、理屈は後付け。

結局、文字や譜面でなんだかんだ言うよりも、聴く。やってみる。検証する。

これなんですね。

まだまだ学ぶべきことは尽きません。

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 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Comment

  1. さちこ より:

    ブルーノートについて取り上げてくださり、ありがとうございます。
    オーサカ=モノレールさんのブログを拝見しました。
    確かに
    『特にボーカル・ギターなどの平均律12音階にしばられない楽器では、少し低いミや、少し低いソや、少し低いbシが好んで使われます。』
    と書かれていますが、オーサカ=モノレールさんはそれがブルーノートだと言われている訳ではない気がします。
    実際に楽譜1でブルーノートを五線譜で表記されていますので。。

    大槻さんの言われる
     『フラット気味に歌うことが「ロックっぽい」、「ブルースっぽい」と勘違いしてしまうヴォーカリストが、うんざりするほどたくさんいます。・・・』
    という点は私もかなり深く共感できる部分です。

    ただ、
    「ブルーノート=フラット気味の音(ピアノの鍵盤や譜面などで、きっちりと定義できないもの)」という解釈については少し疑問に思ったので質問させて頂きました。

    『理論は所詮後付け』とおっしゃるのはごもっともですし理解できますが、後付けするにしても今一般的に知られている、

    「ブルー・ノート[blue note]とは
    「ブルースの音階上の特徴となっている音。3度と7度と5度を半音ずつ下げたもの」

    という定義とは意味がだいぶ違っていますので、どうして2つの全く違った解釈が存在するのか大変興味深いですし不思議に思いました。
    この謎について詳しい方がいらっしゃったら教えて頂きたいと思いました。
    ひょっとしたら、人によっては他にも別の解釈の仕方があるのかもしれませんね。
    黒人音楽の歴史や、ブルースフィーリングの解釈の歴史などが関係しているかもしれませんね。

    ブルーノートについて勉強したいという人がいたら色んな角度で詳しく説明してあげられるようになりたいと思いました。
    周りにいるミュージシャンの方々にもブルーノートについて色々と尋ねてみたいと思います。
    今回、ブルーノートについて色々と考える機会を与えて頂き、ありがとうございました。

    長文失礼致しました。

  2. さちこ より:

    誤って
    『理論は所詮後付け』と記してしまいましたが、
    正しくは
    『理屈は所詮後付け』でしたね。
    失礼しました。

  3. otsukimisumi より:

    興味が芽生えたことは、素晴らしいと思います。
    がんばって勉強してください。

  4. 匿名 より:

    ブルーノートについて検索してここに辿り着きました。一方的にですがコメント書かせて頂きます。
    記事を読んで、「後付けの理屈」ばかりが跋扈している状況に問題があるのかなと思いました。
    なにか美しさを感じるというのは、何かその背後の因子がある筈で、それを教典化された後付けの理屈で補うのは無理があると思いますし、それでは作曲もそれこそ後付け的なものになるでしょう。大切なのは音楽がなにによりどう成り立っているかの関係性ですが、そこを見ずに、形骸的なことに囚われるなら「経験したほうが早い」という結論になるのだと思われますが、「音楽理論という体系」か「感覚」かしか選べるものがなく、美しさの成り立ちから逆算的に音楽を構築するというフォーマットや方法論がとても無下に扱われているのが基本的な問題なのではないでしょうか。

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