音楽家なら必ず鍛えたい「耳」のお話
耳を鍛えることは、
曲を理解する上でも、楽器や歌の技術や表現力を磨くためにも、
必要不可欠なことです。
とはいえ、プロの音楽家でも、
耳が本当にいい人から、そうでもない人まで、実にさまざま。
今日はそんな「耳」のお話をしてみたいと思います。
プロの中でも「本当に耳がいい」と言われる人は、絶対音感を持っている人。
なかでも、楽器の助けを借りることなく、
音源を聞いただけで、その曲のスコアが書けてしまったり、
譜面上だけでアレンジができてしまったりする、超人レベルの人です。
そこまでいかなくても、
譜面を見ただけで、自分が歌うべき音が即座に出せたりします。
私も、この絶対音感に非常に興味と羨望を持っていた時期があるのですが、
この能力は生まれてから7才くらいまでの間しか身につけることができないと知り、
やむなく、あきらめました。
しかし、実際には、この絶対音感、音楽家、とくにシンガーにとって、
いいことばかりではないようです。
詳しくはまた別の機会に書きましょう。
「絶対音感」に興味のある方は
第4回(1997年) 小学館ノンフィクション大賞受賞した、『絶対音感』を、
ぜひ読んでくださいね。
絶対音感は無理でも、
努力次第で耳はどんどん鍛えられます。
基本は、せ〜ので鳴っている楽器の音のひとつひとつを
くっきりと聞き分けることができること。
ドラムの音、ベースの音、ギターの音、キーボードの音、
それぞれが、なにを弾いているか、しっかりと聞こえるかどうかは、
ヴォーカリストでも、プレイヤーでも、そのパフォーマンスに大きく影響します。
演奏しているときに、他の楽器がきちんと聞けなければ、
演奏の精度はあがりません。
コーラスのそれぞれの音、
楽器の音と歌の関係、
複数のギター同士、ベースとその他の楽器、
複数のキーボード、キーボードとその他の楽器などなどの、
ボイシングやリズム・・・
そうした要素を聞き分けられる耳を鍛えることは音楽家としてMUSTです。
そのためには、徹底的に音源を聞くこと。
まずはひとつひとつの楽器に焦点を当てて、
その音のひとつひとつを聞き分ける練習です。
最初はダンゴにしか聞こえないコードトーンや、コーラスの声も、
何度も何度も繰り返し、集中して聞くうちに、
だんだんと、ひとつひとつの音に聞こえるようになります。
ひとつひとつの音を聞き取って、マルチレコーディングなどで再現してみるのも、
アレンジなどの勉強にもなり、オススメです。
何事も練習。
とにかく、取り組むしかないのです。
ちなみに、
自分の楽器のチューニングができていることは基本中の基本のはずなのですが、
チューニングが甘いアマチュア・プレイヤーは、
びっくりするほどたくさんいます。
特にギターやベースなどの楽器は、調整や弾き方でチューニングが変わってしまうもの。
チューナーに頼ってばかりではダメなのです。
また、ドラマーのチューニングも気になります。
「いい音」はチューニングから。
たとえリハスタの古いドラムセットでも、叩く人が叩けばめちゃくちゃいい音がします。
そして、そんな人たちは必ずチューニングに時間をかけています。
洋楽を歌うシンガーならば、「ことばを聞き取る耳」も必須です。
プロでもアマチュアでも、
英語の歌を歌っているはずなのに、英語に聞こえない人のなんと多いことか。
それは、発音するのが苦手というだけでなく、
ことばがきちんと聞き取れていないことが大きな原因です。
聞き取れていないから、歌えているのか、いないのかもわからない。
こちらも、努力次第でかなりのところまで身につくので、
しっかり鍛えたいチカラです。
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