日本語の発音とリズム感の関係
2016/06/05
歌のリズムがよくならない。
どうも、ビートが気持ちよく出てこない・・・
どんなに練習しても、リズムがしゃきっとしない原因のひとつに、
日本人独特の発音のクセがあります。
歌のビート感を出すためには、
ことばをくっきりと発音してビートを表現することが必要なのですが、
日本人は、この「くっきりと」発音することが苦手なのです。
最大の原因は日本語のことばの特性にあります。
日本語の場合、ほとんどのことばが母音単独、
または子音と母音のワンセットで発音されます。
ことばをはっきり発音しようというときに、
よく「口を大きく開いて」と言われますが、
そこで、矯正できるのは母音の発音でしかありません。
ところが、歌のビートは歌い出し、一瞬の瞬発力が勝負。
母音は子音の後に出てくる音ですから、
母音を意識してもビート感は改善されないのです。
子音は出ようとする空気の流れを一瞬妨げることで作り出される音。
舌や、歯、軟口蓋、喉などで、
一瞬空気が止められた後に解放される音や、
摩擦によって作られる音などが子音です。
この子音をくっきりと発音できるように練習するしか、
歌のビート感を改善する方法はありません。
この場合、注意しなくてはいけないのは、
子音の発音練習をしているつもりで、どんなに一所懸命、
「かけきくけこかこ」とやっていても、
強く発音できているのは母音である場合がほとんどであるという点です。
練習すべきなのは「K」であり「G」。つまり純粋な子音の部分です。
強く発音するためには、話す時に日常的に使っている舌の位置を
見直す必要があるかもしれません。
特に、KやG、TやDなどの発音がうまく行かない人は、
舌が軟口蓋に近づいているポイントや、
歯の後ろについているポイントを見直してみましょう。
最も硬質な、鮮明な音になるところを探して、徹底的に鍛えましょう。
また子音の発音は「強く言おう」と意識するよりも、
「子音に時間をかけよう」という意識をする方が有効です。
「か」をKAと意識するときに、Kにかける時間を一瞬だけ長くするイメージなのです。
これらを意識するだけで、ずいぶんビートが立ってくるはずですよ。
関連記事
-
-
“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、 ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、 今も昔 …
-
-
センスは鍛えられる!フォーカスで変わる“聴こえ方”と“見え方”
目の前にドラムを叩いている人がいます。 あなたは、どこに意識が向きますか? ドラ …
-
-
毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない
「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか? おそらく、ほとんどの人は、 …
-
-
アドリブ上達の唯一の方法
「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、 素直にストレートメロディだけ歌って …
-
-
批評家目線を捨てる
「Aさんって、うまいんですか?」 生徒の口からは、いわゆる本格派といわれる歌手で …
-
-
条件が不利な人ほど、熱意がある
優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …
-
-
「やる気はあるのにできない症候群」の処方箋
「練習しなくちゃいけないってわかってるでしょ? やらないと、できなかった自分に落 …
-
-
「一音」にこだわる
「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …
-
-
「なに聞いて歌ってんの?」
「なに聞いて歌ってんの?」 ワークショップや授業で生徒たちの歌を聞いた後、 よく …
-
-
自分の「サイズ」に合った声を出す
管楽器ほど、 一目見ただけで音色の想像がつく楽器もないでしょう。 大きさ通り、見 …
- PREV
- 脱・質問マニア〜自分の頭で考える!〜
- NEXT
- 出音=声にこだわるべ〜し!

