大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

焦燥感や無力感が、 明日の自分をつくるエネルギー

   

もしも、人間のカラダに、
「歌がうまくなるスイッチ」というものがついているなら、

セミナーに来てくれるお客さんがいなくなろうが、
学生が2回目以降一切授業に出てこなかろうが、
MTLが商売あがったりになろうが、

私は迷わず、喜んでそれを押してさしあげたい。

 

もう、長いこと、ずぅ〜〜っと、そんなことを考えて来ました。

 

さまざまなメソッドを考えて来たのも、
すべてを細分化し、わかりやすく、シンプルにしたのも、
 
歌を志す人たちの一人でも多くが、
せめて、自分自身で、そのスイッチ(的なもの)をみつけ、
押すことができるようになったら、という思いからです。

 

しかしね。

残念ながら、そんなスイッチはどこにもない。

 

シンプルに、シンプルにと考えているメソッドも、
ぱっちん、で事足りる「スイッチ」にはほど遠い。

それぞれの腑に落ち、消化できるまで、
結局、みんなの心を混乱させ、不安にさせ、
焦燥感や無力感でいっぱいにしてしまっている。。。
 
 
そんな風に感じるたびに、
あぁ、まだまだだ。
もっともっとわかりやすくするには、どうしたらいいんだろう。
と、今度は私が焦燥感と無力感に苛まれるのです。

 

しか〜〜し!!!!!

 

そんな焦燥感や無力感が、
明日の自分をつくるエネルギー。
 
苦しければ苦しいほど、
絶対に突破してやろうという気持ちがわき起こる。
 
前に進むエネルギーが充ち満ちてきます。

 

そして、そして、そして、

必ず、ぱぁ〜っと扉が開く瞬間はやってきます。

 

その瞬間は突然訪れるのです。

トレーニングをシンプルにしているのは、
その成功体験を積み重ねて欲しいから。

ひとつできれば、次もできる、という自信になるからです。

 

最初は重たい鉛を足につけて、
カメのように地面を這っている感覚かもしれません。
 

一体全体自分は前に進めているのか、
それとも1ミリも進めていないのか、
わからないように感じるときもあるかもしれません。

しかし。

苦しい時こそ、
絶対に、確実に、前進しています。

 

あるとき、突然、

「あれ?私、こんなところまで昇れていた・・・」

と、気づくのです。

 

 

だからね、

苦しい時こそ、前進している自分を信じて、
自分を誉め倒して、進みましょう。

 

 

 

まだまだ行くぜ。

行こうぜ〜っ!

 

当分、負けるわけにはまいりませんのよ。
わたくしたち。

57683434 - side view of female boxer with fighting stance against black background

 

コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』
購読はこちらから。

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, プロへの突破口

  関連記事

条件が不利な人ほど、熱意がある

優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …

練習の結果が出ない3つの理由

「毎日練習してるんですけどね・・・」 結果の出ない人ほど、 自分がいかに練習に時 …

デモをつくれ!

「音楽の世界で認められたいなら、 とにもかくにもデモをつくれ」と、 音楽学校でも …

苦手な「リズム感」や「タイム感」を徹底的に磨く3つのポイント

「リズムが悪い」「タイム感が悪い」と自覚している人や、 「自覚はないけど、人にそ …

記憶に残る「デキるやつら」は一体何が違ったのか?

かつて、教えていた音楽学校では、ヴォーカルの授業を 定期的にインスト科の生徒たち …

「宝物」と呼べる情報、いくつ持っていますか?

「この写真は19〇×年の△△コンサートのやつだね。 持ってるギターが○○で、ピッ …

1つの曲に含まれる驚くべき情報量

「普段、どんな音楽を聴いているんですか? やっぱり、レコードとか、CDとか、たく …

「誰に学ぶか?」vs.「誰が学ぶか?」

中学1年でやっとの思いでピアノを買ってもらって、通い始めた近所のピアノ教室。 2 …

人はアウトプットすることで成長する

「学ぶ」といえば、本を読んだり、音楽を聴いたり、人の話を聞いたりと、 インプット …

「限界ギリギリの定番曲」をいきなり歌う。

練習はルーティンからはじめる、というのは、 どんなスポーツでもおなじではないでし …