大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

うまくならない子の思考

   

「うーん。先週とちっとも変わってないんだけど、練習したの?」

前の週に指摘した間違いがちっとも直っていない。
教えたことがさっぱりできていない。

「先生」を始めて数年目の若かりし私。
そんなことが何週か続いて、
さすがにイラッとしてしまったのでした。

「しましたよ。もちろん。
毎日、スタジオ入って1時間以上練習してます!」

私の口調に、なんだかムッとしてそう返事する彼。

そんな風に言われちゃったら、わたくし、
ちょっとテンション上がってしまいます。

「結果が出せないことを何時間やっても、練習とは言わないの。
それは時間の無駄というの。」

思えば学生に対して、キツいひとことですが、
うーーん。。。今でも同じシチュエーションだったら、
きっと同じことを言うかなぁ。。。

その時の彼の返しが、もう前代未聞でした。

「じゃ、先生。ボクの練習の録音聞いてもらって、
何が悪いのか、言ってもらっていいですか?」

 

「練習」とは工夫です。

「学習」とは学ぶほどに生まれてくる疑問を解決していく力です。

 

何のためにやっているのか、
問題意識を明らかにせず、
「言われたからやっている」ようでは、
どんな練習も、結果が出るわけはありません。

集中して、一所懸命練習して、
結果が出ていないと言われたら、
そこで立ち止まって考えるべきことは山ほどあります。

・同じ練習をしているはずなのに、何故自分だけ上達しないのか?

・説明をきちんと捉えられていないのではないか?

・自分にはできているかどうかが判断できないのではないか?

・この練習方法は自分には合わないのではないか・・・?

 

言われたことを違った方向から解釈してみたり、
自分自身の歌を客観的にチェックする方法を考えたり、
さまざまな練習方法を調べ、試してみたり・・・

そういう工夫をする人が上達するのです。

 

練習を繰り返すほどに、
わからないことや不安が生まれてくるのはごく自然なこと。

ひとつ解決して前に進むと、
すぐさま別の疑問や不安が自分を襲ってくる。

なにひとつ疑問が生まれないなら、
それは学習しているのではなく、
ただ反復しているだけです。

 

練習方法に正解も不正解もありません。
発声方法に正解も不正解もないのと同じ。
結果を出せる方法が、
自分にとっての「正しい方法」です。

 

自分の頭で考える。
自分の耳で聞く。
自分の感性でジャッジする。

 

そんな力が、最後の最後まで、
自分自身を助け、前に進めてくれるのです。

 

今頃、どこかで立派な社会人になってくれていることを、
心から願っていますよ。
きみ。

【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 メルマガ読者さんだけの早割受付スタート!詳しくはメルマガにて。
メルマガ
ご登録はこちらから。

◆ 3月10日(土)【第6回ダイジェスト版 MTL voice & vocal レッスン12】キャンセル待ち受付中。

 

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, イケてないシリーズ

  関連記事

「慣れる」と「油断しない」の塩梅がムツカシイ。

今日、久しぶりにひとりで買い物に出かけました。 買い物に出たのは文具なのですが、 …

「ツボ」をはずした練習は、単なる自己満足であり、時間の無駄。

実は私、とっても足が遅いのです。   いきなり、しかもB面で何を言い出 …

最後は「自分の声」を聞くのだ。

「MISUMIサンはね、 もっと、自分じゃ恥ずかしくって赤面するくらい、 下世話 …

「曖昧なこと」「わからないこと」を放置しない

歌や楽器の上達のために必要不可欠なことは、 「曖昧なこと、わからないことを排除し …

「コピー」を卒業したいなら、徹底的に「コピー」する

楽曲のパフォーマンスには、 「オリジナル」と「カバー」と「コピー」の3種類があり …

習慣化するための3つのコツとくふう

自主ロックダウンスタート以来、 新しい習慣がいくつかできました。 毎朝のヨガ(3 …

作業量の多さにひるまない

英語を勉強しはじめたとき。 英語の辞書の重さをずっしり感じながら、 「こんなにた …

意味もわからないまま歌わないっ!

歌詞の意味をわからずに歌うということは、 意味のわからないことばを声高に叫んでい …

「自分らしさ」、一回置いておきません?

どんなヴォーカルスタイルが「自分らしい」んだろう? 「自分らしい声」って、どんな …

カラダに染みこませたものは裏切らない。

若かりし頃から、使った「歌詞カード」を 大切に取っておく習慣があります。 「ネッ …