うまくならない子の思考
「うーん。先週とちっとも変わってないんだけど、練習したの?」
前の週に指摘した間違いがちっとも直っていない。
教えたことがさっぱりできていない。
「先生」を始めて数年目の若かりし私。
そんなことが何週か続いて、
さすがにイラッとしてしまったのでした。
「しましたよ。もちろん。
毎日、スタジオ入って1時間以上練習してます!」
私の口調に、なんだかムッとしてそう返事する彼。
そんな風に言われちゃったら、わたくし、
ちょっとテンション上がってしまいます。
「結果が出せないことを何時間やっても、練習とは言わないの。
それは時間の無駄というの。」
思えば学生に対して、キツいひとことですが、
うーーん。。。今でも同じシチュエーションだったら、
きっと同じことを言うかなぁ。。。
その時の彼の返しが、もう前代未聞でした。
「じゃ、先生。ボクの練習の録音聞いてもらって、
何が悪いのか、言ってもらっていいですか?」
「練習」とは工夫です。
「学習」とは学ぶほどに生まれてくる疑問を解決していく力です。
何のためにやっているのか、
問題意識を明らかにせず、
「言われたからやっている」ようでは、
どんな練習も、結果が出るわけはありません。
集中して、一所懸命練習して、
結果が出ていないと言われたら、
そこで立ち止まって考えるべきことは山ほどあります。
・同じ練習をしているはずなのに、何故自分だけ上達しないのか?
・説明をきちんと捉えられていないのではないか?
・自分にはできているかどうかが判断できないのではないか?
・この練習方法は自分には合わないのではないか・・・?
言われたことを違った方向から解釈してみたり、
自分自身の歌を客観的にチェックする方法を考えたり、
さまざまな練習方法を調べ、試してみたり・・・
そういう工夫をする人が上達するのです。
練習を繰り返すほどに、
わからないことや不安が生まれてくるのはごく自然なこと。
ひとつ解決して前に進むと、
すぐさま別の疑問や不安が自分を襲ってくる。
なにひとつ疑問が生まれないなら、
それは学習しているのではなく、
ただ反復しているだけです。
練習方法に正解も不正解もありません。
発声方法に正解も不正解もないのと同じ。
結果を出せる方法が、
自分にとっての「正しい方法」です。
自分の頭で考える。
自分の耳で聞く。
自分の感性でジャッジする。
そんな力が、最後の最後まで、
自分自身を助け、前に進めてくれるのです。
今頃、どこかで立派な社会人になってくれていることを、
心から願っていますよ。
きみ。
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