アドリブ上達の唯一の方法
「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、
素直にストレートメロディだけ歌っていた方がいい。」
学生に口が酸っぱくなるほど言っていることばです。
以前、『アドリブは「テキトーに演る」ということとは全然違う。』
というポストでも書いたように、
アドリブのそもそもの目的は、
パフォーマーが自分のアイデンティティや感情を表現したり、
演奏をより華やかにしたりするためのもので、
わざわざメロディを崩すことでも、
とりあえず音の間を埋めることでもありません。
アドリブが苦手という人に、
「アドリブってどうやったらいいんですか?」、
という質問を受けることがあります。
私自身は、スケールやコードプログレッションなどのような、
理論はさっぱりです。
そういうアプローチでアドリブをする人は、
楽器の人などにはいるかも知れませんが、
ロックやポップス、R&B系のヴォーカリストには希でしょう。
だからといって、
「楽器の音をよく聞いて、気持ちよく、自由に歌えばいいのよ」
などというような、
「だからぁ・・・それって、どうやるんですか〜?」的な、答えでは先生失格。
それで、
「とにかく、フレーズを貯金すること。」とお答えしています。
つまり、まぁ、なんと言っても、
さまざまな人のアドリブをコピーするのに尽きるわけですが、
それだけでは、なかなか実践につなげられないかもしれません。
では、コピー以外、具体的に、なにをしたらいいのでしょう。
ポイントは、「作曲をするように歌うこと」。
コード進行があって、そこに自由にメロディを乗せる、
という方法で曲をつくったことがあるでしょうか?
今までやったことがないという人は、
これを機会に、挑戦してみましょう。
例えば、コードがひとつだけの、「ワンコード」でも、
乗せられるメロディは無数にあります。
リズムが変われば、ハマるフレーズも変わります。
ゆったりのテンポでも、
ビートを刻んで、音やことばを詰め込んでみたり、
反対に速いテンポでも、
白玉で大きく乗ってみたり。
演奏されている楽器の弾き方によっても、
ハマるメロディーは変わってきます。
その時ギターはなにをやっているか?
ベースはどうか?
キーボードは?
ドラムは?
楽器の奏でるフレーズにインスピレーションをもらって、
新たなアプローチが思い浮かぶことも多々あります。
まずはワンコードのバッキングに乗せて、
自由に歌ってみる練習からはじめましょう。
ありもののワンコードの曲の一部をリピートしてつかってもいいですし、
バンド仲間に頼んで演奏してもらってもいいでしょう。
ミディアム、アップ、スローと、さまざまなテンポに挑戦します。
リズムも、8ビート、16ビート、3連などなど、
さまざまなバリエーションを試します。
そうして、何度も録音し、それらをプレイバックして、
使えそうなフレーズがあったら、
その精度をひとつひとつ、丁寧に上げていくのです。
ピアノでちゃんと音を確認して、
ピッチがあたっていないものは、当たるまで練習します。
ビートもしっかりハマるまで、練習を繰り返します。
そうした「つかえるフレーズ」をいくつも持つことこそが、
アドリブ上達の唯一の方法です。
堅苦しいルールはありません。
どんなメロディでいいのです。
ワンコードに慣れたら、
次はシンプルなコード進行のバッキングで。
さらに、複雑なコード進行で。
やりはじめれば、こんなに楽しい練習はありません。
やがて、そうしたフレーズがたまってきた頃に、
どんな演奏にも自由に乗れる感覚がつかめてくるものです。
「自由」を手に入れるには、いつだって代価が必要。
恐れず、挑戦するのみです。
バックナンバーも読めますので、ご興味のある方は登録してくださいね。購読はこちらから。
関連記事
-
-
がんばれないのは「ご褒美設定」がうまく行っていないから。
誰だって、がんばってもがんばっても、なんのご褒美のない、 不毛な努力はできないも …
-
-
そんなこと、 何年やってても、絶対にうまくなりません。
プレイヤー目指して、 日夜がんばっていたにもかかわらず、 てんで上達しなかった自 …
-
-
その時間を「練習」と感じるか、感じないか。問題はそこです。
「毎日、何時間勉強してる?」 「なにやってるの?問題集?」 試験前になると、 成 …
-
-
リズムの「点」に意識を向ける
リズムのある音楽には、必ず「点」がある。 これが、私の解釈です。 …
-
-
とにかく歌う。毎日歌う。それを続ける。
生まれて初めて包丁を持つときは誰だって、 なんのことはない作業、 例えば、単に「 …
-
-
「歌われているように書く」で英語の歌は劇的にうまくなる
ちょっと怪しいタイトルですが、 今日はタイトルだけ読んでいただければいいくらい、 …
-
-
「切り際」で、歌は素晴らしくも、へったくそにもなる。
昨日、「音の立ち上がり」は、 歌い手の声の印象を大きく左右する、 というお話をし …
-
-
結果が出るまで、やる。~SInger’s Tips #14~
高い声が定着しない。 声量がいまひとつ上がらない。 ピッチがなかなか安定しない。 …
-
-
うまくならない子の思考
「うーん。先週とちっとも変わってないんだけど、練習したの?」 前の週に指摘した間 …
-
-
「ツボ」をはずした練習は、単なる自己満足であり、時間の無駄。
実は私、とっても足が遅いのです。 いきなり、しかもB面で何を言い出 …

