後悔とは違う。 後ろめたさとも違う・・・ライブのイントロは前夜から始まるのだ。
ライブやツアーの前夜。
ワクワクとはほど遠い気持ちで過ぎていきます。
後悔とは違う。
後ろめたさとも違う。
胃の真ん中くらいになんだかぐりっとした感覚のものが居着いているくせに、
頭の中は妙にクリアで、
演奏曲目の資料を聴きながら、
構成や歌詞を無意識にざっくり確認しながら、
衣装は持ったかとか、チケット大丈夫か、とか、
そんな現実的な準備を進めたり、
普段放置しているようなところを、
なんだか一所懸命掃除してみたり。。。
それでも、一人のライブのときは、
ある程度、家の中は日常の空気が流れていますが、
これが2人セット売りの時は、家の中の空気がきーんとします。
仕事部屋からは、ギターを調整する音や、
弦を取り替える音などが延々と響いてきて、
普段なんだかんだ交わされる会話も、
全くといってないまま、
お互いが、長年続けてきた、自分自身の準備に没頭します。
「前夜って練習しないんですか?」
と、よく聞かれますが、
この時点でしゃかりきになって練習してたり、
歌詞を覚えようとしてたりするときは、
完全な準備不足。
まぁ、いい結果にはなりません。
ゼロとはいいませんが、
そんなことは、ないように心がけています。
このときから、長い、ライブへのイントロがはじまっているのかもしれません。
しーんとした空気の中で、
ちょっとずつ集中が高まっていくのを感じます。
そして、
持ち物や、パフォーマンス、進行などなど、
さまざまなシミュレーションを繰り返し、
繰り返し、していくうちに、
あるポイントで、
それはたいがい、パッキングを終える頃なのですが、
ふっと腑に落ちるというか、
はい。準備OKと感じる瞬間が訪れます。
そうなれば、もう大丈夫。
「なにひとつ、まずく行くわけはない。」
という、予感めいたもので心が満たされるとともに、
さっきまであった、胃の中のぐりっが溶けていくようです。
ここまで来たら、ライブ前夜の儀式は最終段階。
頭の中を空っぽにすべく、
なんの関係もない洋画を眺めながら、
ネイルをしたり、ストレッチしたり、お手入れしたり・・・
後はぐっすり、
まぁ、たいがいは、寝不足気味のスケジュールにはなりますが、
眠るだけ。
明日から鹿児島。
やっと腑に落ちました。
いざ。
購読はこちらから。
関連記事
-
-
歌う人は「聞こえ方」が命!
ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、 ほんっとにたくさんいます。 …
-
-
「テキトー」を「見る価値のある演奏」にする達人の技
音楽は実に奥が深いもの。 クラシックのように、 きっちりとフルにアレンジされた曲 …
-
-
練習するのは、全てを忘れるため
「テクニックなんかどうでもいいんですよ、歌は。」 ピッチだ、リズムだ、表現力だと …
-
-
ロックは毛穴で聴くんである。
誤解なきように言っておくと、 私自身はそれほどラウドな音楽が 好きだというわけで …
-
-
譜面台を立てる時のチェックポイント〜本編〜
さて、お約束どおり、 今日は、自分のための記録の意味も込めて、 「譜面台を立てる …
-
-
歌っている自分を直視できますか?
自分が歌っている姿を鏡で見ながら、 練習やリハーサルをしたことはありますか? こ …
-
-
「本番に弱い自分」を払拭する。
さんざんレッスンして、 万全の体制で現場に乗り込んだのに、 「MISUMIさぁ〜 …
-
-
「歌って」と言われた時の”危機管理マニュアル”
歌をやっていると、 知り合いのライブやパーティーで、 いきなり、「ちょっと歌って …
-
-
「自然体」を演出する。
「自然体でステージに立っているようすがカッコいい」 などと評されるアーティストが …
-
-
聞く人を黙らせる、圧倒的な歌を歌う
大学を卒業してフリーターをしながら、 あちこちのセッションで歌わせてもらっていた …
- PREV
- とにかく歌う。毎日歌う。それを続ける。
- NEXT
- アドリブ上達の唯一の方法