大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「もっと心をこめて歌ってよ」!?

   

「歌は心」的な話は苦手です。

心をこめて歌おう、
情感たっぷりに歌おうとがんばるほどに、
表現がわざとらしく、
「がんばって歌っている」印象になってしまう。

歌に心をこめようと、がんばる必要はないんです。

歌は心が歌うもの。
心がない歌なんて、人間に歌えるわけがありません。

それでも、なんでも、世の中には、
「もっと心をこめて歌ってよ」とか、
「うまいばっかりで、感情がこもってないんだよ」とか、
言っちゃう人がいるからややこしい。

心をこめて歌っていないように聞こえるのは、
表現方法がわからないから、

つまり、いわゆる「表現力」がないからです。

表現力がないのに、やたら感情的に歌おうとすれば、
歌はただくさ〜く、くど〜くなってしまう。

これは、文章で言うとわかりやすいでしょう。

表現力というのはボキャブラリー。
ことばの選び方のセンスやテクニック。

心をこめないからつたわらないんじゃなくって、
伝える手段を持たないから伝わらないのです。

それなのに、
「心をこめて書けば伝わるのだ」とばかり、
手書きで筆圧を上げて書いたり、
同じ文章を何度も繰り返し書いたりすれば、
ただ、くどいだけ。くさいだけ。

だから、
「感情が伝わらない」と言われたら、
やるべきことは、感情的に歌うことではなく、
伝わる表現を学ぶこと。

今の自分の感情を伝えるのに、
最もしっくりくる表現を選び取ること。

では、そのために何をするか?

「この人の歌を聴くと感動する」と、
自分が(これ、重要)心から思う人を選び、
その人の歌の表現を徹底的に研究すること。

「このフレーズ、悲しい」と思ったら、
なぜ、悲しいと感じるのか?
メロディの歌い方か?ことばの置き方か?声か?
・・・と、
考える。感じ取る。真似てみる。

これに尽きます。

どんなに描きたい風景があっても、
引き出しの中に
自分の表現に必要な絵の具が入っていなければ、
思うような絵が描けるわけはありません。

表現力を磨く努力をしなければ、
どんな思いも伝わりません。

自分の心はどんな音を奏でたいのか、
心に聴きながら、
徹底的に表現力を磨いてくださいね!

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