ネックの曲がったギター vs. 姿勢の悪いヴォーカリスト
姿勢やフォームが悪いヴォーカリストは、
ネックの曲がったギターに例えるのがもっともわかりやすいでしょう。
弦の張りが出ないから、よく鳴らない。
よく鳴らないから、ムキになって弾く。
ビビっとノイズが乗ったり、弦がすぐ切れたりする。
音程が合わない。
指が滑らかに動かせないから、早弾きもできない。
どんなに弦を磨いたって、ボディを整えたって、
なんなら、フレットを打ち直したって、
いい音が出るはずがありません。
希に、どんなコンディションでも、
そこそこの音がする楽器というのはあるものですが、
コンディションが悪くてもいい音がするような優れた楽器なら、
ベストコンディションにするのが持ち主の義務。
練習とは、自分のカラダという楽器のポテンシャルを最大限に引き出すためにするのです。
ヴォーカリストだけではありません。
プレイヤーもおなじです。
どんなにがむしゃらに練習しても、
姿勢やフォームが悪ければ、
自分のカラダのポテンシャルを最大限生かすことはできません。
アイドルチームのリハーサルや、
ダンサーのパフォーマンスなどに立ち合うと、
パフォーマンスは姿勢なのだということが、よくわかります。
どれだけ運動能力が高くても、
どれだけがむしゃらに練習しても、
姿勢の悪い子は、踊りがどうしても冴えません。
軸がぶれているから、
ターンをしても、足を高く上げても、どうにもバランスが悪い。
カラダが真っ直ぐ立てられないのです。
人間がカラダをつかってすることは、
スポーツでも、
ダンスでも、
音楽でも、みな同じです。
デザインされたようにカラダをつかう。
精巧な機械には、正しい使い方があるように、
神様が完璧につくってくれた私たちのカラダにも正しい使い方がある。
私は、そう考えています。
誤差や個性はもちろんあってもいい。
フォームだって、杓子定規に、
「こうでなければいけない」などと、言うつもりもありません。
しかし、
どこか突き抜けられないと感じるなら、
伸び悩んだり、
故障が続いたり、
自分のパフォーマンスにストレスを感じたりするようなら、
一度、徹底的に自分の姿勢やフォームを見直してみる。
よくわかる人に、意見を聞いてみる。
ちょっとフォームを見直しただけで、
一瞬で声が変わった人を何人も見て来ました。
まぁ、そもそも、
姿勢やフォームの悪い人に
イケてるプレイヤーやヴォーカリストって、
滅多にいないものですから。
今週末発行予定のヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』では、語りはじめたら止まらない、姿勢とフォームに関するお話をいたします。バックナンバーも読めますので、ご興味のある方は登録してくださいね。購読はこちらから。
関連記事
-
-
ノドを痛めるのは「大きな声を出すから」ではなく「出し方が悪いから」
「大きな声=ノドを痛める」と思っている人が、 あまりに多いことに、いつも驚かされ …
-
-
歌も演奏も一瞬で上達する華麗なる方法
長年にわたり、音楽学校や音楽大学で、 学生のアンサンブル授業を担当してきました。 …
-
-
「歌われているように書く」で英語の歌は劇的にうまくなる
ちょっと怪しいタイトルですが、 今日はタイトルだけ読んでいただければいいくらい、 …
-
-
「原体験」こそが自分を動かす原動力
「どんな音楽が好きなの?」という問いに、 アイドルやV系スターの名前を言うことが …
-
-
人間がカラダをつかってするとことは、 「なんでもおんなじ」。
「パキンっ!って音をとらえるのに大切なのは、 チカラじゃなくて、タイミングなんで …
-
-
「正しい演奏」と「いい演奏」とは、全然違うことなんだ
こどもの頃、「音大生」というものに、 本気で憧れていました。 少女漫画の読み過ぎ …
-
-
とにかく歌う。毎日歌う。それを続ける。
生まれて初めて包丁を持つときは誰だって、 なんのことはない作業、 例えば、単に「 …
-
-
練習を「単なる時間の無駄」で終わらせないための3つのポイント。
歌を志すことになったのは、 私にとって、ある種の「挫折」でした。 そんなことを言 …
-
-
「一音」にこだわる
「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …
-
-
“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、 ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、 今も昔 …
