大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ネックの曲がったギター vs. 姿勢の悪いヴォーカリスト

   

姿勢やフォームが悪いヴォーカリストは、
ネックの曲がったギターに例えるのがもっともわかりやすいでしょう。

弦の張りが出ないから、よく鳴らない。
よく鳴らないから、ムキになって弾く。
ビビっとノイズが乗ったり、弦がすぐ切れたりする。

音程が合わない。
指が滑らかに動かせないから、早弾きもできない。

どんなに弦を磨いたって、ボディを整えたって、
なんなら、フレットを打ち直したって、
いい音が出るはずがありません。

 

希に、どんなコンディションでも、
そこそこの音がする楽器というのはあるものですが、
 
コンディションが悪くてもいい音がするような優れた楽器なら、
ベストコンディションにするのが持ち主の義務。

 

練習とは、自分のカラダという楽器のポテンシャルを最大限に引き出すためにするのです。

 

ヴォーカリストだけではありません。

プレイヤーもおなじです。

 

どんなにがむしゃらに練習しても、
姿勢やフォームが悪ければ、
自分のカラダのポテンシャルを最大限生かすことはできません。

 

 

アイドルチームのリハーサルや、
ダンサーのパフォーマンスなどに立ち合うと、
パフォーマンスは姿勢なのだということが、よくわかります。
 
どれだけ運動能力が高くても、
どれだけがむしゃらに練習しても、
姿勢の悪い子は、踊りがどうしても冴えません。
 
軸がぶれているから、
ターンをしても、足を高く上げても、どうにもバランスが悪い。
カラダが真っ直ぐ立てられないのです。
 
人間がカラダをつかってすることは、
スポーツでも、
ダンスでも、
音楽でも、みな同じです。

 

デザインされたようにカラダをつかう。

 

 

精巧な機械には、正しい使い方があるように、
神様が完璧につくってくれた私たちのカラダにも正しい使い方がある。
 
私は、そう考えています。

 

誤差や個性はもちろんあってもいい。
 
フォームだって、杓子定規に、
「こうでなければいけない」などと、言うつもりもありません。

 

しかし、
 
どこか突き抜けられないと感じるなら、
 
伸び悩んだり、
故障が続いたり、
自分のパフォーマンスにストレスを感じたりするようなら、
 
一度、徹底的に自分の姿勢やフォームを見直してみる。
 
よくわかる人に、意見を聞いてみる。
 
ちょっとフォームを見直しただけで、
一瞬で声が変わった人を何人も見て来ました。

 

まぁ、そもそも、
姿勢やフォームの悪い人に
イケてるプレイヤーやヴォーカリストって、
滅多にいないものですから。

今週末発行予定のヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』では、語りはじめたら止まらない、姿勢とフォームに関するお話をいたします。バックナンバーも読めますので、ご興味のある方は登録してくださいね。購読はこちらから。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, カラダとノドのお話

  関連記事

プロフェッショナルの歌は、「リズム」が違う!

プロフェッショナルと、一般の人の歌の、何が違うと言われたら、筆頭にあげるのは、間 …

カラダを楽器に「最適化」する。

「タマゴが手の中にあるように、 そーっと鍵盤の上に指を乗せるのよ。」 中学になっ …

「送り手」になりたかったら、「受け手」と同じことをしていたのではダメです。

「歌が好きだから、毎日歌っているんですよ」という人は、たくさんいます。 毎週のよ …

「いい音を出すには、ある程度の音量が必要だ!」とかって言いますけどね・・・。

「いい音を出すには、ある程度の音量が必要だ」 ロックギターリストが口をそろえて言 …

「歌われているように書く」で英語の歌は劇的にうまくなる

ちょっと怪しいタイトルですが、 今日はタイトルだけ読んでいただければいいくらい、 …

勘違いか?わかってないのか?はたまた、なめてるのか?

ライブでもレコーディングでも、 いや、リハーサル、または実技の授業などであっても …

ゆっくりやってもできないことは、速くやったらなおさらできない。

「速くて難しい曲」、どうやって練習していますか?   学生などの練習で …

リモートはコミュニケーションのハードルを上げた。

最近、連日のように受ける側として、 オンラインセミナーに参加しています。 学ぶと …

本気でうまくなりたいなら、まず、黙って聴く。~Singer’s Tips #20~

シンガーを志しているという人に、 どんな練習をしているのかと聞くと、 多くの人が …

安定させる!~Singer’s Tips#30~

高いところに行くと、やたら声が大きくなる。 低いところに来ると、こもってしまう。 …