歌に必要なことは、歌の中から学びとる!
人にものを教えるときは、まず真っ先に、
その人が、ゼロ地点にいて、もっと上を目指しているのか、
それとも、マイナス地点にいて、まずはゼロ地点を目指しているのか、
見極めるべしと言われています。
もっと歌がうまくなって、
カラオケや発表会でみんなに誉められたいという人と、
10分も話していると声が枯れてしまう、
会議やミーティングで話す時、何度も聞き返されるという人は、
そもそものスタート地点、ゴール地点が全く違う。
そこを見誤ってしまうと、
レッスンの結果が出せなかったり、
受講生の満足度が下がったりという、
不幸なことが起きるからです。
これ、実は、自分で練習をするときも同じです。
ストレスなく、順調にいい声が出ている、
歌いたい歌は、とりあえずひととおり歌える、という、
プラスに向かう状態なら、
より高い声、大きい声を育てたり、細かいテクニックを身につけたり、
伝わる表現力を研究したり、ということに時間を割くのが正解ですが、
ちゃんと届く声を出したい、
枯れないように話したい、という、
いわばマイナス地点から出発する人なら、
やはりまずは、姿勢や呼吸、
声の鳴らし方などの基礎にフォーカスして練習を進める方が、
効果は上がりやすいと言えます。
では、ゼロからプラスを目指すときと、
マイナスからゼロを目指すときとは、
練習課題や教材を変えるべきかというと、
そうとは限りません。
歌に必要な基礎力やスキル、テクニック、表現力は、
フォーカスの仕方を変えるだけで、
すべて歌の中から学びとることができます。
最もお勧めしたいのは、
「この曲をいつか絶対カッコよく歌いたい!」と心から思う、
大好きな曲を選んで、
その1曲を、とにかく徹底的に練習し倒すこと。
最初は1音1音、姿勢や呼吸、
声の安定感などに最新の注意を払いながら練習し、
じょじょにじょじょにハードルを上げていくのです。
「とにかく完璧に歌うまであきらめない」と目標を立てて、
徹底的にこだわり倒すのが正解。
1年かかっても、モノにしようという気合があれば、歌は必ず上達します。
こんなことを言うと、
「あーあ、MISUMIさんって、ほんっとマニアック・・・」
と言われそうですが、
私に言わせれば、「あーあーあーあーあ(ドミソミドー)なんていう練習を、
何年も何年もやり続けられる人の方が、
ず〜っと真面目でマニアック。
どんな大曲も、子供の歌も、
1音1音に因数分解すれば、最小単位はみな同じです。
いずれにしても、
練習の正解は人の数だけあります。
最も自分にしっくりくる、
楽しんで続けられる方法をみつけるのも、
上達するための修行の一部ですね。
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