人間の記憶は消えない?
「人間の記憶は消えない」という話を
何かの本で読んだことがあります。
実は、脳は経験したことのすべてを記憶していて、
単にその記憶を取り出せないだけ。
古い記憶も、新しい経験や学習によって、
上書きされるわけじゃなく、
すべてが、ディテールもふくめて、
バームクーヘンのように、脳に蓄積されていくというのです。
だからなにか引き金になるできごとがあると、
その記憶がわ〜っとあふれ出すのだというような話でした。
真偽のほどはわかりませんが、
自分の中に、自分が通過してきた世界のすべてが完全な形で眠っているって、
なんだか脳の未知の可能性を感じてワクワクしませんか?
10年日記というのを25年近くつけています。
10年日記は、
1ページに同じ月同じ日のできごとを
10年分書けるようになっている日記で、
昨年…5年前…10年前の今日、
自分が何をしていたかが一目でわかります。
書くのはほんの5~6行ですが、
毎晩ベッドに入って、寝入る直前に、
その日の朝から起きたことを振り返るのも楽しければ、
え!?あれからもう3年!?
あぁ、あれって、5年前の今日だったんだ!などと、
古い記憶を取り出すのは実に興味深くて、
ほぼ毎晩、欠かさずつけ続けています。
びっくりするのは、
完全に忘れていたようなことも、
古い日記に書き殴られた短い文章を読むだけで、
その時の感情だけでなく、
その場の空気感や匂い、肌触りと一緒に、鮮明に蘇ることです。
もう会えない人。
失われてしまった場所。
そんな世界で必死に生きている、
遠い昔の、若くて馬鹿くて必死な自分。
大木が年輪を刻むように、
そんな遠い記憶のひとつひとつが、
今の自分をつくっている。
楽しかったことや嬉しかったこと、幸せだったことはもちろん、
苦しかった、つらかった、腹の立った経験さえもが、
すべて今の自分の一部だと感じると、
なんだか感謝の気持ちがあふれてきます。
やがてそれは、自らの大きな自信とエネルギーに変わるのです。
無駄な経験なんて、ひとつもない。
全部が「今」をつくっている。
遠い場所、遠い人たちに思いを馳せる、静かな朝です。
ありがとう。

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