ロックへの反逆
「お前なんかロックじゃねぇよ。オレは認めね〜ぜ。」
少し前のこと。
ロック的なサポートのお仕事をたくさんしているらしきプレイヤーの某氏に、
ほぼ初対面で、いきなり、そんな風に言われました。
ご挨拶程度しかおしゃべりしていないし、
もちろん、大先輩に囲まれていた私が、偉そーにしていたはずもない。
ちょこっとセッション、やったくらいで、
別に、私の歌をちゃんと聴いたわけでもない。
・・・この人、なに言っちゃってんのかしら?
私のルックスが気に入らなかったのか、
周囲の大先輩方が、私のことを誉めてくださってるのが気に入らなかったのか、
それとも、単に、アホほど飲んでいたからか、
その全部なのか,知りませんが、
まぁ、そういうお方は、一度絡みはじめると、蛇よりもしつこい。
そして、自分はどんだけすごいかとか、
自分はどんだけロックをわかっているかとか、
そんなことをやんわりほのめかしながら、
いかに、私が自分よりも格下で、
いかに、私がロックじゃないか、ということを、ネチネチ言い続け、
あげく、「悔しかったら売れてみろ」と、
80年代の業界人みたいなことを賜ったあげく、
回りの先輩に叱られて、すごすごと帰っていった某氏。
交通事故に遭ったようなものとは思いながらも、
一体全体、なんであんなに、
初対面の人に人格否定的なことを言われなくちゃいけないのよ、と、
しばらく気分が落ち込んだものです。
さて。
ごく最近、とある本を読んでいて、
ふとその時のことを思い出しました。
マーケティングの本ですが、その中では、
ロックが生まれた背景についても触れられています。
階層社会の地位システムに嫌気がさした若者たちの反逆心がつくりだした、
新しい価値観が「クール」であり「ロック」。
少々、翻訳が難解ですが、
要は、「ロックって、既成の価値観への反逆が生み出したカルチャーだ。」
ということ。
だから、頭の硬いおとなたちから非難されるほど、
気分は高揚するし、仲間からも尊敬される。
反逆心こそが、ロックという音楽を支えていたエネルギーであったわけです。
しかしです。
どんなカルチャーも現状を維持しようとすれば、
当然、反逆のエネルギーは失われて行きます。
新しい社会が生まれれば、そこでも新しい格付けがはじまります。
うまいとか、
ルックスがロックっぽいとか、
売れてるとか、
プロだとか、
いい楽器持ってるとか、
ライフスタイルがロックだとか、
稼いでるとか、
人気があるとか・・・
どの基準を取っても単なる幻想に過ぎないわけで、
そんな幻想にしがみつきたくなるのは、
自分が終わっている証拠なんじゃないか。
反逆者はいつだって、既存の価値観に抵抗し続ける。
ステレオタイプな生き方を追いかけていたのでは、
反逆のエネルギーはどんどん失われていきます。
誰に何を言われようと、自分の生き方と美学を貫く。
私にとっては、それが一番ロックっぽい。
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Comment
そのプレーヤーの某氏さんは、劣等感を抱いていたってことですね。
医者でもいますよ。「自分は東大病院にいたことがあるから凄い」って自分から言う人とか。
たまたま、日本が世界に誇る超一流のプロミュージシャンと面識があるので、ライヴ会場なんかでお話しさせてもらう際に様子を観察するわけですが・・・・・まず、自分から自己アピールをすることはありません!!
もっと言えば、その方を知らない人がいても、「え?俺を知らないの?」的な反応をすることは皆無で、嫌な顔をすることもなく、常に謙虚です。
「本物」は、まわりが勝手に盛り上げてくれるのですね。
反対に、本物じゃなくて劣等感のある人は、自分でアピールします。
「名刺」で書かれていた話と通じるんじゃないかと思います。
「本物」なら、まわりの人が勝手に寄ってくる。一生懸命情報を得ようとする。だから名刺をせっせと配る必要はない。
「お前なんかダメだ。俺は凄いけどな」みたいなことを言ってくる人は、二流、三流以下ってことで、気にする価値もないと思いますね。