音なき音楽をキャッチする
2015/12/20
歌や音楽を学びたい、極めたいと思うとき、
ついつい、音楽のことばかりを考え、
また、音楽にすべての時間を費やしてしまいしがちです。
しかし、音楽は人。
人間の本質に触れることなしに、音楽を語ることはできません。
逆に言えば、人間のすること、生み出すこと、
そのすべてに、音楽のヒントがあると言うことになります。
ヘッドセットをつけて、下を向いて歩いてばかりいたのでは、
どれだけテクニックを身につけても、
中身のない、空虚な音の羅列になりかねません。
心を開いて、世の中を見れば、
驚くほどに、すべてが繋がって見えるものです。
たとえば、
人間のカラダを使うことは、スポーツでも、演劇でも、書でも、
そして、演奏でも、
カラダというものの本質に触れることにはじまり、
カラダとのつきあい方を極めることで習得されていきます。
音楽のグルーブと同じように、
文章や映像にもグルーブがあると考える作家や映像監督は数多くいます。
小説の文章や行間のグルーブに、
映像の色彩感やスピード感が織りなすグルーブに、
音楽のヒントはあるのです。
アート作品にインスピレーションやエネルギーを得て、
素晴らしい作品を残したアーティストも数多く存在します。
余談ですが、欧米のミュージシャンたちと話していると、
「アート」や「文学」に対する関心の高さにびっくりすることがあります。
誰もが、お気に入りの画家や彫刻家について語り、
詩人の詩を暗唱し、映画監督を批評します。
文化的に成熟している、という意味では、
サブカルチャー全盛かつハコモノ文化の日本人は、
少し、置いていかれているかもしれません。
ヒントが眠っているのは、アートや文学ばかりではありません。
お笑いや落語にも、
スピーチやダンスにも、
ファッションにも、
お店の店員さんや、バスの運転手さんの語り口調にも、
街でじゃれ合うこどもたちや、
病院の待合室で会話を交わすお年寄りの動きにも、
アンテナを立てさえすれば、
驚くほどの情報が流れ込んできて、
今まで感じることの出来なかったような感覚をもたらしてくれるでしょう。
世界は音なき音楽であふれています。
それをキャッチできるかどうか、
キャッチした情報を自分の中で消化し、
自分自身の音として表現できるかどうか。
そして、人の心を捕らえるのは、
そんな、人間の本質を捕らえた音楽なのではないでしょうか?
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