大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「そこにいること」の大切さを語りすぎることは、たぶんない。

   

長年、音楽の仕事をしていると、
「そこにいること」の大切さが、しみじみわかります。

 

たまたま一緒に飲んでいたミュージシャンに、バンドに誘われる。

たまたま出演したライブを見に来ていた業界の人の耳にとまる。

たまたまボランティアで参加した作品が、突然仕事につながる。

 

その時、そこにいなければ、
絶対に出会なかった人がいて、
けして恵まれることのなかった仕事があって、

そんなことの積み重ねが、
やがて「キャリア」をつくっていくのです。

もちろん、いつでもどこでも顔さえ出せばいいということではないし、

やはり、自分自身の実力を上げる努力や、
相手になにかしら印象を残す努力は必要ではあるのだけれど。

 

初めて出会って、
あぁ、いいやつだな、と感じて、
プレイを聞いたら、なかなかよくて、
「また誘うよ」と言い合って、別れて・・・

心の中のリストに、その人の名前が刻まれたとしても、
毎日が、そんな繰り返しの音楽業界。
日々、リストは更新され、記憶は上書きされていくものです。

 

その時そこにいない人は、存在していないも同じ。

 

1度か2度、会ったことのある、
才能あふれる、よく知らない人よりも、
今、目の前でご機嫌に飲んでいる相手に、
人は声をかけるものです。

 

アクセス不能な人を、あの手この手で探し出して、
連絡をくれるような奇特な人は滅多にいません。
 

だから、定期的に人に会いに出かけたり、
作品を発表したり、ライブをしたり、
自分を発信したりすることが、
駆け出しのミュージシャンはもちろんのこと、
何年ミュージシャンをやっていても大切なのです。

 

さて。

 

「たまたま居合わせること」よりも、
もっともっと大切なのは、
「いるべき場所には必ず現れること」。

 

病気や他の仕事との兼ね合いで、
1度トラを入れたら(代役を立てたら)、
その人の方が気に入られて、
自分には二度と仕事がこなくなった、などという話は、
当たり前のように聞かれます。

 

 

 

どんな事情であれ、
大きな仕事で一度でもすっぽかしや大遅刻などの粗相をすれば、
向こう数年、業界を悪い噂が駆け回ってエライ目にあうことになります。

 

大きなイベントで大役を終えて、
次の現場があるからと、打ち上げに参加しなかったおかげで、
別のアーティストが主催者にすり寄って、
翌年のイベントの主役の座を奪われたという人もいました。
 

リハや、打ち合わせにいなかったせいで、
大事なことを聞き逃し、関係者の怒りをかったり、
やるべきことの情報が入ってこなくて、恥をかいたり。。。

「そこにいなかったこと」を問題と考える世代は、
まだまだ健在です。

 

体調管理には万全を期し、
けしてスケジュールには、穴を開けないこと。

約束した現場には、確実に現れること。

約束が果たせないかも知れない、どんなリスクも回避すること。

 

打ち合わせや打ち上げには、可能な限り出席すること。

出席できなかった場合には、確実に情報を受け取れる状況をつくること。
カラダに刻んでおきたい業界の流儀です。

26652991 - business people meeting with laptop in cafe

 

 - Life, プロへの突破口, 音楽人キャリア・サバイバル

  関連記事

「何言ってやがんでぇ」と吠えてみる。

かれこれ10年近く前のこと。 さる著名な文筆家が主催する食事会に参加させていただ …

「なぜ創るか」、「何を造るか」と同じくらい、「どう魅せるか」にこだわる

名曲といわれる歌は、 それを演じていた歌手たちのイメージやパフォーマンスと共に蘇 …

「自分の常識は他人の非常識」

「私なんて、ごく普通だから・・・」 という風に言う人は、本当にたくさんいますが、 …

「本気で好き」ということ。

「歌が好きなんです。 本気でシンガーになりたいんです。」 そんなことばを聞くたび …

「がんばるのが好き」なんてヤツが世の中にいるのか?

私に関するひどい誤解のひとつに、 「MISUMIはがんばるのが好きだから」という …

「自信」に根拠なんか、いらない。

ヴォーカルのプロとしてさまざまなお仕事をしながらも、自分に全然自信が持てなかった …

「自分らしさ」ってなんだ?

らしくあれ。 女子校時代、嫌と言うほど聞かされた言葉です。 本校の生徒らしく、 …

この歌、どうして知らないの?

MTL定番の、 (そして、私自身が「ドS」と認定されるきっかけのひとつとなった) …

どうせ見えない未来なら、明るい側面だけを期待して生きる。

「MISUMI、そんなことしてて、将来どうするつもりなの?」 思春期の頃から、ア …

作業量の多さにひるまない

英語を勉強しはじめたとき。 英語の辞書の重さをずっしり感じながら、 「こんなにた …