大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

この歌、どうして知らないの?

   

MTL定番の、
(そして、私自身が「ドS」と認定されるきっかけのひとつとなった)
トレーニングのひとつに、
「足上げ腹筋をしながら歌う」というのがあります。

足上げだけでもきついのに、歌まで歌わせるので、
できるだけシンプルで、
誰でも知っている曲がいいなぁと、
その時、その時の思いつきで、

「もしもしカメよ、歌って〜っ!」
「はい、ぽっぽっぽぉ〜〜っ、はとぽっぽぉ〜〜!」

などとやらせるわけですが、

若者たちが「あ・・・知らないです」などと言い出すことしばしば。

その度に、がっかりしたり、ずっこけたりしています。

 

あ〜そうね〜。
選曲、昭和っぽいかなぁ。。。。

じゃあ、「シャボン玉」は?
ん?「海は広いな」は??

足を上げっぱなしにさせながら、
そんな会話をしている間に、
生徒たちは、力尽きて、足を下ろしてしまいます。

 

いやいや、ちょっと待て。
なんで知らないの??

私たちの世代だけが知っているような、
歌謡曲でも、アニソンでもない、
時代と共に忘れられるCMソングってわけでもない、
 
老若男女、誰でも当たり前に歌えるはずの小学生唱歌、
もしくは童謡、
一体全体なんで知らないわけ??
 
そこで歌詞をたどってみると、
少々古くさい日本語であることは確かですが。。。

たとえば、「歩みのノロい」とか、
「マメが欲しいか そら、やるぞ」とか、
ちょっと教えればわかるレベルです。

 

それとも、もう滅多にシャボン玉では遊ばないとか、
海外行くのに、海にお船を浮かばせたりしないとか、
そういう文化レベルで古くさいのでしょうか?
 
世代を越えた共通言語とも言うべき歌が、
どんどん忘れ去られて、失われていくのは、
淋しい限りです。
 

こどもの頃、母がよく歌ってくれた、

「おどまぼんぎりぼんぎり ぼんからさきゃおらんど」

という子守歌だって、
歌詞の意味を学んだ今でも、
なんだか意味不明な呪文のようにしか感じませんが、
 
それでも「日本」という国の、
静かなにおいや、ぬくもりが感じられて、
あぁ、いい歌だったなぁと、
思い出すたびに懐かしさがこみ上げるわけです。

 

テレビ映えする派手な「こどもの歌」もいいでしょう。
海外のこども番組を追いかけるような、
ダンスビートに乗っかった、激しい歌もいいでしょう。
 
でもね、「日本の心」は、
サブカルチャーじゃないし、
アニメでも、カワイイでも、オタクでもなくって、
 
長い長い歴史の中で育まれた、
詫び詫びあふれた旋律であり、
俳句のように選び抜かれた、
ことば少ない歌詞であり・・・
 
そんなことを大切にできるから、
新しいものが生まれるのではないか?
 
「日本の心」を失ったら、
日本人は一体どこに行くのだろうか?
 
そんなことを考えながら、
若者たちとの共通言語を模索する日々です。

◆コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』。限定公開のレッスン映像もごらんいただけます。購読はこちらから。◆自宅で繰り返し、何度でも。ヴォイス&ヴォーカルのすべてが学べる【MTL Online Lesson12】。次期受付開始は10月末の予定です。

 - Life, 音楽

  関連記事

「99人が同じ方向に行っても、お前は自分の頭で動け。」

『小学校の時、クラス全員でいたずらをして、大問題になったことがある。父に「なぜや …

何ごとにも終わりはくる。絶対の絶対に、くる。

好きなことしかやりたくない。 こうと決めたら即断即決即行。 私自身は、いわゆる「 …

「あ、あれ、まだ書いてない」

「MISUMIさんのブログって、声や歌の話、ほとんどないですよね。」 そんな風に …

エゴイストで行こうっ!

「ポジティブで前向き」というのが、 自他共に認める私の思考の傾向。 しかし、ここ …

年齢は、ただの数字。

先日、外国人の友人家族とスキー旅行に出かけた時のこと。 「ホテルに泊まるのに、な …

「どうやったらできるか」じゃなくて、「どうやったらなれるか」。

「どうやったらできるか」が知りたいのは、 真面目に学ぶ気のある人のお話です。 た …

胸の痛みを抱きしめて進め

やっとの思いでミュージシャンの端くれになって、 少しでも一流といわれる人たちに近 …

誉められたら嬉しい。喜んでもらえたら、もっと嬉しい。

誰かに誉められたら嬉しい。 髪が素敵、でも、 歌がじょうずだね、でも、 おしゃれ …

欲しい情報は、ありとあらゆるところにみつかる

「カラーバス効果」ということばをご存じでしょうか?   心理学用語で、 …

多感なこどもたちにジョークは通用しない

小学生の音楽の授業のときの話です。 「ではこの曲を、誰かに歌ってもらいましょう。 …