この歌、どうして知らないの?
MTL定番の、
(そして、私自身が「ドS」と認定されるきっかけのひとつとなった)
トレーニングのひとつに、
「足上げ腹筋をしながら歌う」というのがあります。
足上げだけでもきついのに、歌まで歌わせるので、
できるだけシンプルで、
誰でも知っている曲がいいなぁと、
その時、その時の思いつきで、
「もしもしカメよ、歌って〜っ!」
「はい、ぽっぽっぽぉ〜〜っ、はとぽっぽぉ〜〜!」
などとやらせるわけですが、
若者たちが「あ・・・知らないです」などと言い出すことしばしば。
その度に、がっかりしたり、ずっこけたりしています。
あ〜そうね〜。
選曲、昭和っぽいかなぁ。。。。
じゃあ、「シャボン玉」は?
ん?「海は広いな」は??
足を上げっぱなしにさせながら、
そんな会話をしている間に、
生徒たちは、力尽きて、足を下ろしてしまいます。
いやいや、ちょっと待て。
なんで知らないの??
私たちの世代だけが知っているような、
歌謡曲でも、アニソンでもない、
時代と共に忘れられるCMソングってわけでもない、
老若男女、誰でも当たり前に歌えるはずの小学生唱歌、
もしくは童謡、
一体全体なんで知らないわけ??
そこで歌詞をたどってみると、
少々古くさい日本語であることは確かですが。。。
たとえば、「歩みのノロい」とか、
「マメが欲しいか そら、やるぞ」とか、
ちょっと教えればわかるレベルです。
それとも、もう滅多にシャボン玉では遊ばないとか、
海外行くのに、海にお船を浮かばせたりしないとか、
そういう文化レベルで古くさいのでしょうか?
世代を越えた共通言語とも言うべき歌が、
どんどん忘れ去られて、失われていくのは、
淋しい限りです。
こどもの頃、母がよく歌ってくれた、
「おどまぼんぎりぼんぎり ぼんからさきゃおらんど」
という子守歌だって、
歌詞の意味を学んだ今でも、
なんだか意味不明な呪文のようにしか感じませんが、
それでも「日本」という国の、
静かなにおいや、ぬくもりが感じられて、
あぁ、いい歌だったなぁと、
思い出すたびに懐かしさがこみ上げるわけです。
テレビ映えする派手な「こどもの歌」もいいでしょう。
海外のこども番組を追いかけるような、
ダンスビートに乗っかった、激しい歌もいいでしょう。
でもね、「日本の心」は、
サブカルチャーじゃないし、
アニメでも、カワイイでも、オタクでもなくって、
長い長い歴史の中で育まれた、
詫び詫びあふれた旋律であり、
俳句のように選び抜かれた、
ことば少ない歌詞であり・・・
そんなことを大切にできるから、
新しいものが生まれるのではないか?
「日本の心」を失ったら、
日本人は一体どこに行くのだろうか?
そんなことを考えながら、
若者たちとの共通言語を模索する日々です。
◆コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』。限定公開のレッスン映像もごらんいただけます。購読はこちらから。◆自宅で繰り返し、何度でも。ヴォイス&ヴォーカルのすべてが学べる【MTL Online Lesson12】。次期受付開始は10月末の予定です。
関連記事
-
知的に怠惰になった時点でゲームオーバー
PCをつかって仕事をしていると、 日々、知識をアップデートする必要に迫られます。 …
-
人には、人の「道筋」がある。
学生時代、得意だった科目に『論理学』があります。 一般教養の範囲ですし、 正直、 …
-
「もっと遊べ!」という謎のワード
「MISUMIちゃんは、もっと遊ばなくっちゃ。」 来る日も来る日も歌のことばかり …
-
「真っ白な灰」に、なりますか?
リングの上で真っ白な灰になった、『あしたのジョー』。 命を賭けられるほどのものに …
-
何を言われても、自分がぶれなきゃよくないですか?
少し前まで海外には、 「日本人はいまだにちょんまげ結って、着物着ている」 と思っ …
-
うるさぁあああいっ!
数件先に、小さな公園があるせいか、 それとも、徒歩3分ほどのところに小学校がある …
-
鈍才は総合力で勝負なのだ
【生まれてこの方、真面目に練習なんかしたことがない」という天才がいます。 こども …
-
ショートカットでいこうっ!
15年以上前のことになりますか。 買ったばかりの音楽制作ソフト=Logicを勉強 …
-
年齢が気になりますか?〜チャンスはいつもフィフティ、フィフティ〜
なかなか将来の見えなかったアマチュア時代。 周りの友人たちは次から次へとお仕事を …
-
ああ、テクノロジぃい
音楽家ってのは、(いや、ヴォイストレーナーってのもそうか。)ゴールデンウィークと …
- PREV
- 「やる気はあるのにできない症候群」の処方箋
- NEXT
- 自分を好きになるということ。