なにをハンディとするか、 なにをチャンスと考えるか。
「やっぱなぁ〜。東北人は、生まれながらにハンデ背負ってんだなぁ〜」
カツゼツとビートのトレーニングをしていた時の、
とある、東北出身アーティストのぼやきです。
確かに東北出身のヴォーカリストは、
発音や発声を前に出す訓練に時間のかかる子が多いのは事実。
しかし、別の角度から見れば、
明らかに発音が前に出ない子ほど、
ことばを意識しやすく、練習に身も入ります。
当然、結果が出せる子も多くなります。
実は、発音のちょっとした勘違いや、クセを、
よりクリアに聞こえるように、変化させるトレーニングが必要なのは、
東北人に限りません。
出身地を問わず、2~3人に1人の割合で、
そうしたトレーニングが必要になるのです。
中途半端に「できたつもり」の人たちよりも、
コンプレックスと向かい合い、
その克服に早期に取り組める人たちの方が、
反対にアドバンテージがあるという考え方もあります。
私事になりますが、
高校時代、ギターリストを目差していた頃、
自分の手の小ささが、もう、信じられないくらい嫌でした。
あこがれのジミーペイジみたいに、
ギターを腰まで下げて、指を寝かせて、
格好良くギターを弾きたいのに、どうやってもまともな音が出ない。
音楽雑誌でジミーの写真を見つけて、彼の小指の第2関節から上が、
ギターの指板の幅並に長いと知ったときは、
もう死にそうに苦しい思いをしたものです。
それで、私は、自分のギターが上達しないのは、
指の長さのせいだということにしました。
これにて、一件落着。すべてが腑に落ちて、
私は晴れてギターをやめることになるわけです。
ところが、もうお気づきのように、
名プレイヤーと言われる人の中には、
指の短い人、腕の短い人もたくさんいます。
とあるプレイヤーは、
指が短いからこそ、人一番練習した、
だから人一倍うまくなった、と言っていました。
ピンチはチャンス。
麻痺した指のハンディキャップを克服したことで、
伝説のギターリストになった、
ジャンゴ・ラインハルトの例を挙げるまでもありません。
なにをハンディとするか、
なにをチャンスと考えるか。
それは、結局、自分自身が決めること。
身長が低いことを苦にする人もいれば、
競馬の騎手のように、身長が伸びないようにと、
たんすの引き出しや押し入れで眠る人もいます。
俳優を目指しているのに、美男子ではないと落ち込む人もいれば、
美青年過ぎると役の幅が広がらないからと整形手術をして、
頬を膨らませたという俳優さんもいました。
どんな角度から自分自身を見るか。
自分という生き方をどんな形に切り取るか。
そして、結局最後は、
本気でやりたいか、やりたくないか、
それに尽きるのではないか。
どんな困難をも、ハンデをも、
チャンスに変えて、
乗り越えるのが本物の情熱なのではないか。
自分には無理かも・・・と思えるときに、
いつも自分に突きつけることばです。
関連記事
-
-
他の誰かにとっては、 「なんぼのもんじゃい」の人生かもしれない
またひとつ、自分にとっての大きな挑戦が終わり、 静かな気持ちで休日を過ごしていま …
-
-
どんなに優れたアイディアも、 形にならなければ存在しないも同然
昔読んだ本に、「完璧主義のぐず」ということばがありました。 とにか …
-
-
バイブレーション
人は同調し合うもの。 長いこと一緒にいると、しぐさや話し方、果ては声まで似てくる …
-
-
やりたいことを、「はじめるコツ」
人は「はじめられない」生き物です。 何かをはじめるということは、自 …
-
-
変化するチカラ
今日、しばらく近づけなかった眼科に、 検診に行ってきました。 質問表、検温、受付 …
-
-
情熱に心捕まれて。
生まれて初めてバンドの「まねごと」をしたのは中学1年でした。 掃除用具入れから取 …
-
-
スランプに陥ったとき、やってはいけない3つのこと
スランプに陥ることは、誰にでもあります。 なんだか不調で、何をやっても調子が上が …
-
-
起きて見る夢 vs. 寝て見る夢
常日頃、道に迷う若者たちに問いかけていること。 「ぜんぶ可能だったら、なにがした …
-
-
自らの夢想の傍観者でいてはいけない。
「MISUMIちゃんの書くような曲なら、俺、100曲書けるぜ。」 ずいぶん昔のこ …
-
-
「直感」がすべて。
「あ、この人、きらい。」 若い頃から、会った瞬間に、 相手の好き嫌いを決めてしま …
- PREV
- プレイヤーだって、歌わなくちゃダメ〜っ!
- NEXT
- 鈍才は総合力で勝負なのだ

