大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「気になる人」。

      2019/08/16

これから有名になろうという人、
活躍する人に共通の資質は、
「気になる人」であるということだと考えています。

これは、MTLをはじめてから、
多くのアーティストたちの育成レッスンを担当させていただいて、
しみじみ感じることです。

 

大手事務所の育成アーティストたちですから、
声やルックス、作品づくりの能力が秀でていることは当然です。
楽器がめちゃくちゃうまい子や、
音楽以外にも才能がある人もいます。

しかし、そんな人たちがひしめく業界で、
目立っていく人、活躍する人は、それだけではない。
なんか、「気になる」のです。

 

会う度に、ポジティブなパワーをくれる。
なんか、魅力的で、目が離せない。
レッスン中も、話していても、楽しい。
明るい気分になれる。
疲れが吹っ飛ぶ。
また会いたくなる・・・。

そんなポジティブ系も多い中、
実は、もっとたくさんいるのは、
ネガティブ系の「気になる人」たち。

 

驚くほどKYな子や、マイペースな子、
時に、カンに触るタイプもいます。

いつもふさぎ込んでいるような子がいるかと思えば、
おとなはみんな敵と考えている子もいる。

毒に当てられて、彼らが帰ってから、
ぐったりと疲れが出てしまうこともありますし、

レッスンの前になると、
よっしゃと覚悟を決めなくちゃいけないほど、
いろんな意味でパワーやエネルギーを必要なこともあります。

 

それでも、なんでも、彼らが「気になる」。

今、彼らは何を見て、
何に痛みを覚え、
何を表現しようとし、
どうしてうまくいかないのか。

彼らの苦しみを少しでも軽減するために、
今、何ができるのか。

そんなことを一日中考えてしまうこともあります。

仕事だから、というだけの理由ではありません。

彼らが「気になる」からです。

 

では何故、彼らがそんなに「気になる」のか。

 

「気になる人」たちは、
自分が人に、どう見られているか、
どう思われるかなどというところに、基準を持っていません。

美意識と自意識、
自分とそれ以外の世界のあり方。関わり合い方。
理想と現実との折り合いの付け方。

心の中で、常に戦い、常に苦しみ続ける戦士たちです。

 

人が何をしてくれるかではなく、
自分に何ができるかを、
自分は何をすべきかを、
考えて考えて、考え抜いて。

人に認められようが、られまいが、
ただひたすら、走り続けて。

 

人は、そんな、
高潔な戦いに勇気を持って挑み続ける人に、
魅力を感じるのかもしれません。

弱虫でも、泣き虫でも、
与えられた才能を持てあましながらも、
ただ、前進するしかない人に、
勇気とエネルギーをもらうのかもしれません。

 

彼らのような「気になる人」に出会うと、
自らの純粋さを試されているような気持ちになります。

自らの美意識。

自らの基準。

自らの生き方・・・

 

彼らの射るような視線に恥じない、
パワフルな人間であり続けなければと、思わず姿勢を正します。

 

今日も「気になる」彼らに、全力でぶつかるのみです。

 

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