「自信」に根拠なんか、いらない。
ヴォーカルのプロとしてさまざまなお仕事をしながらも、自分に全然自信が持てなかった若き頃。
自信というのは、美人で、スタイルがよくて、運もよくて、能力が高くて、まわりに大事にされる人にしか宿らないものだと、勝手に決めていました。
だから、自分のまわりのキラキラ系の人たちと自分を引き比べては、私って、なんてつまらないんだろう、なんて不細工なんだろうと、うじうじ、じめじめしていました。
うじうじ、じめじめしている人に、人は魅力を感じない。
そんなことはわかっていても、どうやって、そのうじうじ、じめじめから、抜け出したらいいのかわかりません。
鏡を見てはため息をつく日々。
自分を好きになるということは、人生の最大の課題なのかもしれません。
そうそう。こんなことがありました。
「美人の法則」とかいう雑誌の特集があって、モデルの顔のあちこちに線が引いてあって、眉毛と眉毛の間は顔の横幅の何パーセントだとか、顔の縦の長さに対して、顔の横幅は何パーセントだとか、そんな基準がまことしやかに書かれていました。
そういうのを真面目にやっちゃうのが私。
物差しを取り出して、顔のあちこちを計って、一つもその基準の中に入っていないと再確認し、泣いたものです。
あほか。
トレーナーになって、生徒たちと感情移入せずに、冷静に向き合うようになってから、自信に根拠はいらないのだと、悟りました。
例えばTちゃん。
レッスンの間中、べた〜っと鏡の真ん前に顔をくつけて、自分の顔をじ〜っと見つめては、まつげを触ったり、瞬きをしたり、髪を直したりしていました。
ものすごく自分が好きなようで、まわりの人も同じくらい、自分を可愛いと思っていると信じているようす。
正直、絶世の美女にはほど遠く、どのポイントに自信を持っているか、私には最後まで理解できませんでしたが、そのナルシストエネルギーのものすごさに胸を打たれたものです。
その後彼女は、テレビに出て、一躍有名になります。
例えば、Nくん。
前衛的な曲を書く若者でしたが、いわば全然ポップじゃない。
「もっと売れそうな曲を書け」と、おそらくまわりには言われていたはず。
それでも、その世界観に、カリスマ的な人気がありました。
歌詞の英語もウソくそで、こんなんで大丈夫?とレコーディング前に聞いたことがあります。
まだ20代前半だったNくんはニヤリと笑って言いました。
「いいんす、いいんす。そういうの、カンケーないんで。」
カッコいい。
自信って、こういうことだ、と思い知らされました。
根拠なんか、いらない。
思い込みと勘違い。
これだけです。
なんだっていい。
とりあえず、勘違いできるネタを探すところから、
はじめてみませんか?
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