なんにも終わってないのに、終わった気持ちにならない。
昨日、10数年前まで教えていた学校の卒業生たちのライブを見に行ってきました。
学生時代から15年以上一緒にやっているという仲間たちのステージは、
生き生きとしたエネルギーがあふれていて、
当時の学校の楽しい雰囲気も蘇り、
実に愉快な、よき時間を過ごしました。
え?ちょっと待てよ。
15年って・・・?
目をこらしてよく見れば、
当時10代だった学生たちは、すっかり立派なおとな。
こども連れの子もいたりして、
いやいや、もう「子」じゃないか。
思えば、あたしが音楽学校で教えはじめた年頃と同じじゃないの…。
自意識の内側では、
自分自身、あの頃と何にも変わっていないわけだけど、
いや、もう、あの頃とは全然違うんだよなと、
まわりを見回して、しみじみ思ってしまいました。
年を重ねるほどに、
新しい出会いやチャレンジより、
失ったり、再会したり、メインテナンスすることが多くなります。
攻めるより、守ること、
持ってないものを追いかけるより、
持っているものを大事にすることに気持ちや時間を割くことが多くなるし、
もっとこうありたいと願うより、
こんなもんかとあきらめることも多くなる。
手の平からこぼれるように失われて行く
時間や若さ、大切な人や物を思い、
みんなイーブン。みんな公平。
などと、自分に言いきかせてみたり…。
いや。しかし、それではあまりに後ろ向きではないか。
若者相手に「負けないぜ」などと、息巻くのも痛々しいけれど、
なんにも終わってないのに、
なんだか終わっていく気持ちになるのは、
勝負を途中であきらめて敗退していくチームみたいなもんではないか。
そう思い直して、再び振り返れば、
美化できるほどの過去なんかないし、
ずっとがむしゃらで、ずっとどこ行っても浮いてて、
ずっと満足できなくて、ずっと「もっともっと」って思ってて…
なんだ、今と何にも変わらない。
そして、どんな瞬間も、
これが「最後のチャンス」とか「もう後がない」とかって、
ずっと焦ったり、吠えたり、悔しい思いをしたりするのも、
ふん、一緒じゃないの。
結局、なにひとつ「最後」じゃなかったし、
残念ながら、そう簡単に、なんにも終わっちゃくれないし。
というか、自分を終わることは、死ぬまでできないわけで。
ほんの3年前、5年前の自分の写真を見ても、
わぁ、若かったなぁ、などと感動するのも人の常。
あと何年かしたら、今、この瞬間の自分の写真を見て、
きゃぁ、若いっ!と懐かしむのも目に見えている。
結局、なにごとも、どこにフォーカスするか、です。
コップの中の半分の水を、
「後半分しかない」と思うか、
「まだ半分ある」と思うか?
コップの中に数滴残っている水を舐めながら、
「なんだ、まだ水の味するじゃない」とハッピーになれる人もいれば、
コップからあふれる水を手で受けとめては舐め、
「まだまだ、これっぽっちじゃダメだ」と息巻く人もいる。
意識ってのは、オートフォーカスにまかせてちゃダメなんだ。
今、自分が見たいものにフォーカスする。
それ以外は、存在しないも同じ。
それでいいのだ。
いつかもっともっとおとなになる若者たちが、
年を重ねるって面白れぇって思えるような、
おとなの先輩になっておきたいものです。

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