大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「できないこと」ではなく、 「今できること」に意識を向ける

   

うまく行かないときに、
うまく行かないところにばかりフォーカスすると、
本来できることも、うまく行かなくなっていく。

レッスン時、いつも伝えていることばです。

「ノドがガラガラするなぁ」と気にしていると、
ガラガラが気になって、
ついつい咳払いが多くなったり、
呼吸が乱れたりする。

ガラガラしながらも、
ちゃんと鳴っている部分にフォーカスし、
その「鳴り」を膨らましていくイメージを持つと、
ノドに潤いが増して、
だんだんとガラガラがおさまっていきます。

「高い声が思うように出ないな」と思っていると、
ついついノドまわりに力が入ったり、
呼吸を強く吐いてしまう。

声帯様は高い声を出せるポテンシャルを持っていると信じ、
出したい高い声のイメージに沿わせるように、
リラックスして、
カラダとのコミュニケーションをスムースにしていくと、
「え?これでいいの?」というくらい、
あっさり高い声が出たりします。

うまく行かないことにフォーカスするのをやめる。
よいイメージを磨く。
リラックスして、カラダの細部とのコネクションを築く。

これこそが、よりよい結果を出すための秘訣。

言うほど簡単なことではありません。

人はついつい、
うまく行かないことに、
意識が行ってしまうものだからです。

しかし。

できないことではなく、
今できることに意識を向けることで、
喜びや感謝の念が生まれます。

うまく行っていること、できることを、
どうしたら、
「最高」という状態に引き揚げることができのか。

そのくふうと努力の中に、
うまく行っていないことを補完する、
アイディアやエネルギーが生まれる。

なにより、
下を向いて悩むより、
上を向いて「よっしゃやったるで」、
という時の方が、
人間、エネルギーが湧くものです。

自粛要請が一部解除になっても、
さまざまな職業の人たちにとって、
まだまだ厳しい時間が続きます。

いつからライブを再開できるかわからない。
年内いっぱいスケジュールが飛んだ。
ライブハウスが閉店したらしい。。。などなど、
本当に厳しい話ばかりです。

レッスンも、セミナーも、
いわゆる三密状態をどうやって回避しながらも、
今までと変わらない結果を出していくのか。
いろいろ、試されているな、と感じています。

今、うまく行っていることはなにか。
今、できることは何か。
よいイメージを磨いて、
リラックスして、
くふうと努力を重ねていく。

とにもかくにも、上を向いて、
がんばりたいものです。

◆ 一から歌を学びたいという方にも、基礎を見直したいというプロの方にも。オンラインのお得なBasic3パック
◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Life, カラダとノドのお話

  関連記事

音楽環境が人をつくるのか。 人が音楽環境を選ぶのか。

今はもうすっかりおとなの甥っ子が、幼稚園生だった頃の話です。 アニメ関係の仕事を …

「やった感」はいつだって、ちょっと痛い。

みなさん、明けましておめでとうございます! 2017年がはじまりました。 みなさ …

努力賞はない。そんなものはいらない。

「努力賞はないからね。」 音楽業界で仕事をするようになって、 一体何回このことば …

「やってみたいこと」を「できること」「やったこと」に変える

「やってみたい」と思うことは、いくつくらいありますか?   特定の場所 …

自分の中心を確認する

やらなくちゃいけないことが多すぎる。 会わなくちゃいけない人が多すぎる。 忙し過 …

「長期記憶のゴールデンタイム」にあなたは何を記憶しますか?

「受験生といえば、まずは『でる単』」。 『でる単』、すなわち、『試験に出る英単語 …

自分の意見を口に出すことを恐れない

最近、若者たちがお互いに対して優しすぎる、と感じています。 バンドのリハーサルを …

世界はあきれるほど狭い

むか〜し、 と書きたくなるくらい、遠い昔のこと。 カナダでデビューしないかと持ち …

逆境に感謝を。逆境に陥れようとする「そいつ」にはリベンジを。

「絶対に、あいつの方が、オレより可愛がられてる。」 「なんで、あの子ばっかりチヤ …

音楽家なら、カラダの不調を「職業病」で片付けない 

演奏や歌唱はカラダをつかうお仕事ですから、 ミュージシャンはいわば肉体労働者。 …