安定させる!~Singer’s Tips#30~
2021/05/17
高いところに行くと、やたら声が大きくなる。
低いところに来ると、こもってしまう。
よく鳴る、気持ちいい音があるかと思えば、
急にガラッととした声になる。
震え出す。かすれる。
チェンジして裏声になると、
いきなり、声量がガクッと下がる。
「あ段」はいい響きなのに、
「い段」になるとキンキンする、
「う段」はこもるし、
「お段」になるとピッチが下がる、
「え段」は平べったくなる・・・。
人間のカラダという楽器は、実に表情豊か。
そして、とても気まぐれです。
安定しないのです。
そして、残念なことに、
多くのヴォーカリストは、
このことを仕方のないことだとあきらめている。
いや、そんな自分という楽器の不安定さに、
気づいていない人さえいます。
これでは、自由に表現できているとは言えません。
オーバーサイズのギターを抱えたこどもと同じ。
カラダという楽器を扱いきれず、
振り回されている状態です。
まずは、自分の音域の最低音から最高音まで。
同じ音色、同じ音量で、
チェンジの継ぎ目も意識させずに、
母音や子音に左右されずに、
滑らかに歌えるようになることが理想です。
音階練習をする必要はありません。
自分が普段歌うレパートリーを、
歌い出しから、エンディングまで、
すべて、同じ音量、同じ音色で歌いきる練習をするのです。
ただし、こう言うと、
いきなり、しょぼしょぼの声で歌い出す人がいるんですが、
よく鳴る、よく響く、心地よい声で歌うことが大事です。
どんなに低いところも、どんなに高いところも、同じです。
言うほど簡単なことではありません。
まずはワンコーラスでいいので、
時間をかけて、じっくり取り組んでみてください。
驚くほどたくさんの発見があるはずです。
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