大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

はじめる年齢が若くたって、ダメな人はダメなんです。

   

「なにかをはじめるのに遅すぎると言うことはない。」

さまざまなところに、そんな言葉を書き綴ってきました。

 

楽器だって、歌だって、いや、どんなことだって、
「はじめるには遅すぎる」と思ったらゲームオーバー。

それまでの「人生経験」という貯金を切り崩して、
細々と生きていくしかありません。

 

しかし、そう話すと、必ずと言っていいほど
「今からでも上達しますかね?」
という謎の質問が返ってきます。

 

これほど不思議な質問はありません。

どんなに若い頃はじめたって、
上達しない人はしないからです。

 

3才からピアノを習っていました。
5才からバイオリンを習っていました。

水泳を・・・書道を・・・バレエを・・・。

 

そんな英才教育といわれるものを施されて来た人の、
一体何パーセントが、その習い事をおとなになるまで続け、
それなりに上達したのでしょう?

プロフェッショナルと言われるまで、
なにかに上達した人たちは、
はじめる年齢が早かったからではなく、
それが心底好きで、練習することが苦じゃなくて、
何年も続けられたから、上達したのです。

 

そうなると、大切なのは、時間や年齢ではなく、
「本気でやりたいかどうか」ではないか。

 

もちろん、年齢を重ねるほどに、
気力を保ちにくくなったり、
練習の成果が出にくくなったりするのは確かです。

つまり、同じ努力をしても、
若い頃のような結果は出せない。

同じ練習量をこなすのに、
より多くの体力、気力が必要になるかも知れない。

そういう意味で、
はじめるなら、早いほうがいい、というのも事実でしょう。

 

しかし、おそらくは8割以上の人が、
どんなに若くはじめても、

それをたいして楽しめず、
たいした努力をするほどの気力も、
根気もなく、
体力や時間は、もっと他の楽しいことに使ってしまい、

あぁ、何年経ってもうまくならないわ・・・

と気づけばやめている。

 

年齢じゃないんです。

本気でやりたいなら、だから、
いつだってはじめたらいい。

上達しないなら、それは年齢のせいではなく、

かけている時間が足りないか、
「好き」という情熱が足りないかのどちらかです。

 

どんなに本気で、死にものぐるいでがんばっても、
若い頃ほどめざましい上達はしなかったとしても、

はじめることなく、

あれもやりたかった、これもやってみたかったと、
人を羨んで人生を終えるより、ずっといい。

いつか上達することを信じて、
ただ前を向いて進んでいかれたら、それでいい。

なにもしない自分より、
1ミリでも、1センチでも、成長できたら、
それでいい。

はじめたいと思うことを、
年齢を理由にあきらめるのは、
だから、絶対違うのです。

 

70才になっても、
80才になっても、

年齢を言い訳に、
なにかをはじめるのを諦めるのは、
絶対にやめようと心に誓うのです。

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