大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「自分じゃなくなりたい」?

   

「自分が、○○だったらよかったな。。。」

 

こんな風に思ったことのある人、
いや、思ったことのない人は世の中にどのくらいいるのでしょう?

 
こども時代の「○○だったらよかったな」には、3つのパターンがあります。

 

1つは、「おかあさん」や「おとうさん」
「おとな」と言った、「自分の延長線上にあるものにあこがれる」。

2つめは、スーパーヒーローや、スーパースター、
スポーツ選手などのように、「自分を越えた存在にあこがれる」。
 

そして、3つめのパターンは、「自分以外の誰かにあこがれる」です。

 

人にもよるでしょうが、
個人的には、自分以外の誰かへのあこがれは、
おそらく一番根深く、一番長く続くと考えています。

 

 

お金持ちのこどもに生まれたかった。

家族の仲がいい家に生まれたかった。

見とれられるような美人に生まれたかった。

身長が高い、スタイルのいいこどもに生まれたかった。

スポーツ万能に生まれたかった。

チヤホヤされる華やかな子に生まれたかった。

天才、秀才、と呼ばれる、頭のいい子に生まれたかった。

欧米人に生まれたかった。

帰国子女になりたかった。

絶対音感があるこどもに生まれたかった。

芸能人や有名人のこどもに生まれたかった。

都会に生まれたかった。

緑に囲まれて育ちたかった。

・・・etc.etc.

 

自分が大嫌いだった頃、友達に、

「整形なんて生やさしいもんじゃなくって、
脳だけ残してカラダ全取っ替えしたい」と言ったことがあります。

友達は言いました。

「それって、自分じゃなくなりたい、って言ってるのと同じことだよね?」

 

自分じゃない自分になりたいと思うことは、
不幸であると同時に、とても不毛なことです。

 

自分でない自分になったとき、
最早、「自分でなくなった」ことに意味はなくなるわけですから。

 

 

以前、若い女子に超人気の雑誌のモデルさんがボイトレに来ていたことがあります。

レッスンをしていても、見とれてしまうような美しい顔。

ホントに、コブシくらいの小さな顔に、
大きな目とつんととがった形のいい鼻がぎゅっと詰め込まれているのです。

それでいて、気さくな性格の彼女に、

「しっかし、一体全体、どうやるとそんなに可愛い顔に生まれられるのかしらね〜?」

と冗談めかして言うと、彼女は、

「モデルなんて、み〜んな自分のことが大っ嫌いで、
私も、自分の太すぎる腿とか、超コンプレックスで・・・」

と、別に謙遜しているという風もなく言うのです。

「でもね。これも私の一部なんで。」

 

 

結局、今の自分を愛しきれる人が一番強い。

自分が自分である意味を、
ちゃんと理解して、その役割を存分に果たせる人が一番すごい。

 

自分を愛せる人にしか、できないことがあるのだと、
ここへ来て、やっとわかった気がしています。

 

25716750_s

 - Life

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

だから、嫌いなものは嫌い!

人の価値観はそれぞれです。 高くても、無理しても、 お気に入りのバッグを買いたい …

「ウソ」と「おしゃれ」と「身だしなみ」

「俺って正直だから、ごめんね。」と言い訳しながら、 言いたいこと言い放題という人 …

もらったもの

小学校の高学年になったばかりのこと。 教室で男の子たちが真剣な面持ちで将棋を指し …

自分の名前をGoogleで検索する?

今日は著者なかま&朋友、デザイナーのウジトモコさんの新刊『SNS xDESIGN …

200個の骨。600の筋肉。

人間のカラダには、およそ200個の骨があると言われています。 その上に乗っている …

生きるって、信じることなんだ。

何年くらい前のことでしょうか。 世界の舞台で活躍した、某有名シンガーとお話をする …

直感に突き動かされて、崖から飛び降りる

行動のきっかけは、いつだって、 ちょっとした思いつき、衝動、閃き、出来心。 即断 …

仕事中毒=「超人病」が、カラダと心を破壊する

ワーカホリック。 日本語で言うと、仕事中毒。 常に仕事をしていないと、または、そ …

音楽を「職業」にしないという選択

若い頃から音楽を志して、寝る間も惜しんで練習や創作、 ライブ活動に打ち込んで来た …

「あたり前」を極める

「自分があたり前にやっていることで、 他の人が絶対にマネできないことに注目しなさ …