大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「らしくない」を排除すれば、「らしい」が見つかる

      2015/12/20

情報がどんどん入って来るこの時代に、
自分のアイデンティティ、つまり個性を見出すのは、意外なほど難しいことです。

音楽、歌のスタイルだけでなく、
ファッションやヘアメイク、パフォーマンスからセルフメディアまで、
選択肢は無限大。

何をしても、何を着ても、何を語っても、自由。

「自由」ほど、人をがんじがらめにする概念はありません。

18096096_s

自信がない人は、ついつい他人の感性や価値観に頼ってしまいます。

あげく振り回されて、分けがわからなくなって、ますます自己嫌悪に陥ってしまう。

「私、どんな歌、歌ったらいいんでしょう?」

「こういう服装、私らしくないって言われるんですけど、ダメですか?」

そんな質問を日常的に受けます。

個性は「らしくない」を消去していった形です。

心にしっくり来ない。
居心地が悪い。
どうもピンと来ない。
好きになれない。

そんな風に感じられる物は、日常の中に数限りなくあるはず。

そんな物たちを、ひとつひとつ、自分の生活の中から除去していくと、
やがて、不純物が取り除かれていくように、自分のコアが見えてくる。

「らしくないもの」を徹底的にそぎ落とした先に、個性、「らしさ」が見つかるのです。

他人の価値観を排除して、自分自身の価値観とガチで向き合うこと。

個性は自分の価値観を研ぎ澄ましたものだけが見極めることのできる、
ご褒美のようなものです。

たくさんの人と接し、たくさんの物と出会うこと、
あらゆる人の価値観に耳を澄ますことを怖れてはいけません。

内包している個性を磨き上げるのも、また情報。
そして試行錯誤。

情報の洪水の中でそぎ落とされていく不純物もあるということです。

 - Life

  関連記事

スキマ時間が自分をつくる

大学の新学期がはじまりました。 毎年、新学期がはじまってから数週間、 大学の授業 …

もらったもの

小学校の高学年になったばかりのこと。 教室で男の子たちが真剣な面持ちで将棋を指し …

「私はドジでのろまなカメです」

「私はドジでのろまなカメです」   これは、『スチュワーデス物語』とい …

夏の価値を高める「8月いっぴっ!」の習慣

こどもの頃から、 月初めの日記には、 今月やったるで!なことを書き並べ、 最後に …

「自慢話」してますか?

謙虚な人が好まれるのは、別に日本だけではありません。   欧米でも、 …

キラキラ✨してなんぼ。

最近あんまり聞かなくなりましたが、少し前まで、 SNSで自分の毎日の生活が充実し …

自分を好きになるということ。

こどもの頃から、 自分じゃない人間になりたいと思っていた年月があまりにも長くて、 …

「前提はなにか?」を見極める

どんなことにも、原因があります。 大事なのは、「前提はなにか?」を見極めることで …

「ペンは剣よりも強し」は、死語なのか?

ヴォイトレを担当している若者たちと話していて、 なにが驚くと言って、 物を書く習 …

才能ってなんだ?

こどもの頃から、カラダをつかって表現したり、 スポーツで才能を発揮したりしている …