ウサギとカメはどっちがすごい?
私の生涯の夢のひとつに、
「徒競走で旗の下に座りたい」というのがあります。
笑えるほど足の遅い私は、
幼稚園時代から、学生時代が終わるまで、
徒競走でテープを切るどころか、
上位の人だけが座ることのできる、
あの「栄光の旗の下」に、
一度として座ったことがありません。
最早はかなき夢。来世に持ち越すしかなさそうです。。。
さて。
イソップの童話を持ち出すまでもなく、
どこの世界にも、ウサギ族とも言うべき、
「恵まれた人」はいるものです。
絶対音感がある。
音楽の名門一家の出である。
こどもの頃から音楽の英才教育を受けていた。
人の目を引くほど可愛い。またはイケメンだ。
長身で小顔である。
神童と呼ばれた。
裕福な家庭で育った。
帰国子女である。
こどもの頃から業界でのお仕事の経験がある。
センスがあって、ちょっと練習するとできてしまう。
音楽業界関係者が周りにたくさんいる環境で育った。
コンテストに応募すると、常に入選以上を果たす。
・・・etc.etc.
書いていてもちょっとムカつく、このウサギ族。
もちろん、ウサギといえども、
ある程度自分で前進する努力をしなくては前には進めないでしょうが、
そもそものポテンシャルの違いや、
ライフスタイルの違いによる有利さは、
どうしたって否定できません。
カメ族は指をくわえて、
そんなウサギ族の、
颯爽と遠ざかっていく背中を眺めることになります。
しかし、です。
のろまの代表格のように言われるカメ族には、
ウサギ族にはない強みがあります。
まず、なんと言っても「歩みののろさ」。
この「歩みののろさ」はウサギ族に対して、
最も劣っているところであると言われているわけですが、
本当にそうでしょうか?
考えてみてください。
家から駅まで、3分で駆け抜けるのと、
15分かけて、ゆっくり歩くのとでは、
その間に入って来る情報量が圧倒的に違います。
目的地にたどり着くのに時間がかかるほど、
そこにはさまざまな思考や試行錯誤があります。
同じ距離を移動しているのに、得た情報量は何倍も違う。
やがて、それらは絶対的なチカラになるのです。
ぴょんと一足飛びで進めるのは、素晴らしいことですが、
そもそもゆっくり進めない、
のろのろ進むとよろけてしまう、体力が保たない、
・・・など、マイナス面もあるということです。
2つ目は「動じない強さ」。
目線が高いウサギ族は、プライドも高い。
ちょっとつまずくだけで、
あれよあれよと言う間に自信を喪失したり、すねたり。
一方で、舐めるように地を這うカメ族は、
ちょっとやそっとのことで動じることはありません。
無敵の重心の低さで、
そう簡単に、ひっくり返されることもありませんし、
さまざまな不遇に耐えて生きているので、
最早これまでと、手足を引っ込めて寝てしまっても、
また朝が来れば、気を取り直して歩き出せる図太さがあるのです。
そして、3つめ。
カメ族最大の強みといえば、「適応力」でしょう。
目差していたゴールが、
いきなり崩壊しても、
道中思いがけない災害に見舞われても、
はたまた、
歩いていた道が、沼地でとぎれていたとしても、
水陸両用、無敵のフレキシビリティで、
必ず生き残っていくのがカメ族です。
ウサギの寿命はせいぜい6〜7年。
カメは100才を越えていきるのも珍しくないと言われています。
1回や2回の失敗で一喜一憂しないのです。
100年も生きるのだから、
生涯で到達できる距離は圧倒的にカメの方が長いとも考えられます。
いかがでしょうか?
長所と短所は表裏一体。
恵まれていると思ったら、
冷静に自分をみつめる。
うまく行かないと思ったら、
よい面にフォーカスする。
自分自身の持ち味をしっかり見極めることが大切ですね。
明日発行予定のメルマガno.129では、リズムをよくするために、発声のタイミングを合わせるのと同じくらい大切な、『ことばの発音』について、お届けします。
バックナンバーも読めますので、興味のある方はぜひ読んでくださいね。
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