大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「変」なのか?才能なのか?

   

先日、とある会社にお勤めの、
才能あふれる、知的な若者とごはんしていた時のこと。

「MISUMIさんは、ホントに才能のある方ですよね。
ボクなんか、なんにもないから、羨ましい・・・」

はぁ?何言っちゃってるの?
キミこそ、こんなことも、あんなことも、
そんなことも、できるじゃない?
私から見たら、羨ましいことばっかりだわ。

「いやいやいやいや。
ボクができることなんか、当たり前のことばっかりですから。
ちょっと勉強すれば、誰でもできますから。」

そこからいろいろ彼のバックボーンを聞いていると、
いやはや、なにが「普通」なものですか。

「ちょっと勉強すれば誰でもできる」というけれど、
みんなその「ちょっと」ががんばれないから困っているわけです。

 

「自分の常識は他人の非常識。
自分自身が「当たり前」と思うことにお宝が眠っているんだ。」
とは、出版の師匠のおことば。

胸に手をあてて自分の過去を振り返れば、
誰にだって、ユニークなバックボーンがあって、
他の誰もしていないような経験をしているわけです。

どんな人にとっても、
自分くらい当たり前の存在はいないのですから。

 

たとえば、

現在メルマガで大展開中の私の完コピヒストリーですが・・・

私自身は、歌を志している人なら、
完コピなんて、絶対にやっていることだと思っていました。

みんな、きっと、もっとがんばってる。
こんなんじゃダメだ。
まだまだだ。

そんな風に思って、完コピに完コピを重ね、気づいたら300曲。

自分にとって「普通」すぎて、
それが、人様に語りぐさになるような「特別な」ことだなんて、
数年前まで思ったこともありませんでした。

 

出版の勉強をするようになって、

「寝ても覚めてもそのことばかりを考えてしまうくらい大好きで、
誰よりも得意で、
他の人にできないことを探せ」

というお題をもらって、

そういえば、完コピ、好きだったなぁ。
何曲くらいやったのかなぁと、

ボロボロになった歌詞カードの山を引っ張り出して、
曲数を数えたら300曲は優にあった。

まわりのヴォーカリストたちで、
私ほどのしつこさで完コピをしたという人は、
滅多に出会わないし、

学生たちを見ていると、
その完コピ精度の低さにがっかりするばかり。

それではじめて、
「あたしって、もしかしたら、オタクなのかもしれない」と、
気づいた訳です。

 

メルマガでも、ブログを書くこともそうなのですが、
私は、一度決めたことはやり通せる体質です。

それは、誰にとっても、普通のことだとばかり思っていました。

でも、どうやらその辺も「オタク」と呼ばれるゆえんらしい。

 

さて。

「この人、変な人」と、私のことを指さしている場合ではありません。

みんな、自分の「変さ」に気づいていないだけなんです。

そして、その「変さ」の中に才能の種がきっと眠っている。

普通の人なんか、ひとりもいないのです。

 

自分の中の「変な人」と向き合う。

それが自分を変える大きな一歩になるんですね。

◆【メルマガ365】。大好評だった「音域が広がるプロセス」もバックナンバーからまとめ読みできます。ご登録はこちらから。

 - Life, 夢を叶える

  関連記事

音楽は進化を続けている

「最近どんなの聞いてるの?」 若いアーティストたちのカウンセリングで、 彼らの好 …

握手。ハグ。キス。

音楽業界の常識と一般の常識とは、 あらゆる面で、大きなずれがあります。 起業して …

「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」

週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …

一瞬一瞬を大切に、大切に生きる。

ブログを書くようになって、 日々、自分の過去の記憶をたどっています。 ところが、 …

「私はドジでのろまなカメです」

「私はドジでのろまなカメです」   これは、『スチュワーデス物語』とい …

MTLは12周年を迎えました。

2008年8月8日に起業して、今日で丸12年が経ちました。 ちんぷんかんぷんで八 …

「歌なんて習うもんじゃない」? うまくなる人は、何が違うのか

「歌なんか習うもんじゃないだろ?」 歌の学校に通いはじめたころ、昭和のおじさまた …

自分のリソースを「棚卸し」してみる

前か、後ろか、はたまた上か・・・ 先が見えなくて、身動きが取れないときは、 自分 …

答えなんかない。そもそも問題が存在しないのだから。

大好きなアーティスト、マルセル・デュシャンの名言に、 “There …

「失敗しても、それでいいんだ」

「失敗しても、それでいいんだよ」   ここぞと言うときに、人は、さまざ …