大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「才能」ってなんだ?

   

若かりし頃から、
「恵まれた人」に対する強烈なコンプレックスを抱えて生きて来ました。

 

あと2センチ指が長かったら。
あと10センチ身長が高かったら。
あと5㎏体重が軽かったら。

・・・という数字の戦いからはじまって、

 

もっと美人だったら。
もっといい声だったら。
もっとポップなセンスがあったら。
もっと性格が可愛かったら。
もっといい教育受けていたら。

・・・系の、ほとんど被害妄想的なコンプレックスや、

 

白人だったら。
イギリス人だったら。
男だったら。
60年代に生まれていたら。

・・・などなど、「生まれてすみません」レベルのことまで。

 

よくもまぁ、そこまで自分自身を落とせるというくらい、
どうでもいいことで人と自分を比較しては、
「どうせ、あたしなんか・・・」を、繰り返してきたわけです。

 

さて。

世の中には「恵まれた人」とそうでない人というのは、
確実に存在します。

これは、もう、誰がどう言ったって仕方がない。

生まれながらに美人な人、ハンサムな人、
わかりやすく「いい声」の人、
長身で手足の長い人、
運動能力の高い人、
裕福な家庭に育った人、
I.Qが高い人、
有名人や文化人、有力者の親御さんがいる人、
帰国子女、
一所懸命練習しなくても、なんでも、すぐに上達する人。。。

若くて心がイジケていた頃は、そんな人たちを目にするたびに、
あぁ、どうせ、あたしなんて….
と、打ちひしがれた訳ですが、

長年人間をやっていると、少し視点が変わってきます。

何しろ、30年くらいのタームで見ると、
私の周りで、
わかりやすく恵まれていた人たちの成功した確率は、
そうでもなかった人たちが成功した確率と、
実はそんなに変わらないと思えるからです。

ルックスや若さで人より頭一つ抜けていた人は、
年齢とともにその優位性を失います。

どんなに綺麗にしていても、
20才の若者に勝るピッチピチ感は醸し出せませんし、

ある程度、努力をしていても、
「若くて美しい」にカッコ書きで(年齢にしては)と書かれる頃には
「売り」は別の価値にシフトしています。

年齢に甘えて、どんどん劣化させてしまう人もたくさんいます。

 

身体能力に恵まれていた人が、
みな、プレイヤーやシンガーとして恵まれたかというと、
そうでもない。

そこそこのところまではうまく行っても、
そこでいい気になって終わった人もたくさんいますし、

ガツガツとテクニックを磨き、食らいついてくる人たちに、
能力的に逆転されてしまった人もいます。

 

家庭環境や状況に恵まれて音楽を始めた人たちの中には、
その特別さに気づくことなく、
執着を持てないまま、別の仕事についた人も多くいます。

親の存在が凄すぎて、超えることができないまま、
埋もれてしまった人もいます。

 

若者たちの中にも、
自分自身の持って生まれた才能に気づかず、
もしくは、薄々感づいているのに、その活かし方が分からず、
「持ち腐れ」ている子がたくさんいます。

反対に、客観的に見れば、けして恵まれているわけじゃないのに、
ぐいぐいと前に出てくる「下克上」タイプもいます。

 

「恵まれた」人たちが取りざたされるのは、成功したからで、
恵まれなくて成功している人たちは、特に過去を取りざたされないからで・・・

そんな風に考えれば、
結局最後は、自分次第。

 

恵まれた人しか映画スターになれないなら、
映画はきっと、げに退屈で。

きっとアル・パッシーノも、ダスティン・ホフマンも、ゲイリー・オールドマンも、ジョン・マルコビッチも生まれていなくて。

一方で、トム・クルーズやジョニー・デップになる才能に恵まれているのに、なんの努力もできない子たちに、無性に腹が立ったりもするわけですが。

 

かつて、ジョン・レノンの名言として聞いたことば。

「才能とは、信念があるってことだ。」

恵まれているのに、がんばれていない子も、
がんばってるのに、なんか、今ひとつな子も。

結局は「信念」があるかないかを試されている。

人生は帳尻が合うようにできてるんですなぁ。

 

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