大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「歌なんて習うもんじゃない」? うまくなる人は、何が違うのか

   

「歌なんか習うもんじゃないだろ?」

歌の学校に通いはじめたころ、昭和のおじさまたちにそんなことを言われ、ずいぶん悩んだものです。

「歌なんてのは、うまいやつは、最初っからうまい。
習わなくったって、ちゃんと歌えるヤツがプロになるんだ。
声楽でもやろうってわけでもないのに、一体なに習うっての?」

そんな人たちが、「酒とタバコで喉潰さないとロックは歌えない」とか、「歌なんて人生経験だ」などと、わかったようなことを言っては、若者の夢をぶち壊し、ついでに、ノドまでぶっ壊してきたわけです。

一方、「歌を上達するには、ちゃんと勉強しなくちゃいけない」「習わなくちゃいけない」と思い込んでいるのが令和の若者たち。

「我流で練習して、変な癖がつくといけないから、ちゃんと習いたいんです。」

一体全体、どのくらい練習すると、そんな”悟りの境地”に入るのか。
そんな人に限って、ミッドボイスがどうの、ヘッドボイスがどうのと使えない知識ばかり溜め込んで、頭でっかちで身動きが取れなくなっていたりする。

情報は、あくまでも、経験や体感を補足したり、体系化したりするためのもの。

まず、歌ってみる。
自分自身の力で、歌から情報を拾い集めてみる。
マネしてみる。
うまくいかないのはなぜか、考えてみる。修正してみる。やってみる。

そして、どうしてもわからないことを補うため、できない理由を探すため、必要な情報を、自らの意志で掘り進む。

このプロセスを踏むことなく、情報収集ばかりに励んでも、必要な情報、有益な情報の取捨選択がでず、ただただ、振り回されるだけです。

ネット上にあふれている情報の8割はウソと筆者の思い込みと劣化コピーです。
2割の優良情報を拾い出すためには、自分自身の感性を研ぎ澄ますしかありません。

そして、自分の感性を研ぎ澄ますには、できないことをできるようにするにはどうしたらいいか、試行錯誤を繰り返すしかないんです。

トライ&エラーこそが本当の学習/練習です。
ショートカットはありません。
そのサイクルを高速で回す。回し続ける。

そうやって身につける実力こそ、真の実力です。


月曜10時にアップ予定の無料メルマガでは、『「うまくなる人」の共通点は?“トライ&エラー”を高速で回すコツ』をお届けします。ご登録いただいた方には、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼントしています。バックナンバーも読めます。
ご登録はこちらから>>
月曜の配信をお楽しみに。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 夢を叶える

  関連記事

いい歌、うまい歌、好きな歌。

いい歌、うまい歌、好きな歌。 歌にはこの3種類があると、常日頃感じています。 大 …

no image
「リズム感がない」なんてことばをつかわない!

レッスンの話をもっと書きたいと思っていても、 なんだか、生徒やクライアントさんの …

人には人の、自分には自分の、戦い方がある

チャンスを求めて、日夜、必死にがんばっていると、折に触れ、 「この人に会ってみな …

「歌の練習、どこでしているの?」

昨日のこと、 レッスン中にいきなり「ドドドドドドッ!」という大きな音がしだして、 …

歌に必要なことは、歌の中から学びとる!

人にものを教えるときは、まず真っ先に、 その人が、ゼロ地点にいて、もっと上を目指 …

カラダを楽器に「最適化」する。

「タマゴが手の中にあるように、 そーっと鍵盤の上に指を乗せるのよ。」 中学になっ …

「なに聞いて歌ってんの?」

「なに聞いて歌ってんの?」 ワークショップや授業で生徒たちの歌を聞いた後、 よく …

「音楽やる」ってことと、「音楽を仕事にする」ってことは違うんだ

生まれてはじめて、ライブハウスでライブをやったとき、 自分たちのライブのチケット …

毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない

「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか? おそらく、ほとんどの人は、 …

「エアギター」のススメ

ギターリストになりたくて、 明けても暮れても練習していた時代があります。 今やこ …