「宝物」と呼べる情報、いくつ持っていますか?
「この写真は19〇×年の△△コンサートのやつだね。
持ってるギターが○○で、ピックで弾いてるから、
たぶん、この時、弾いてるのは◇◇◇って曲だよね。。。」
「こんときのアンプは××でしょ?
エフェクター、なにつかってる頃だっけ・・・?」
そんな話でやたらと盛り上がる先輩ミュージシャンたち。
若い頃は「いや〜ん。男の子ってみんなオタクね〜」くらいに思っていたのですが、
実はそれにはわけがあるのだと、数年前に深く理解しました。
1960年代〜1970年代。
まだ海外のアーティストやコンサートの情報は、
ラジオや雑誌からしか手に入らなかった時代です。
しかもテレビは民放だけ。
ビデオデッキなどというものが普及するのは、1980年代の半ばくらい。
プロモーションビデオもない。
当然、ライブの映像などと言うものを見るすべはない。
そこのお若いの、想像できてますか?
それでも日本盤のレコードにはライナーノーツというのがあって、
このアーティストはこんな人で、こんなバックボーンがあって、
今、こんな活動して・・・なんてことが書いてありました。
そこで、はじめて、
そのバンドのメンバーが、元○○というバンドのメンバーだった、とか、
このアルバムのレコーディングを最後に活動休止してる、とか、
ツアー中に△△の事件を起こして、ツアー中止になったことがあるとか、
そんな情報がわかるわけです。
しかし、輸入盤の場合は悲惨です。
ライナーノーツどころか歌詞カードもついていない。
メンバーの顔がずらっと並んだジャケット写真から、
どの人がボーカルやってるのかなぁ?
この声はこの人かなぁ?などと、想像したり、
ジャケットの写真を食い入るように見つめ、
どんな人なんだろう?と想像したり。。。
気になるアーティストの情報が、たとえ一言でもいいから聞けないかと
ラジオの深夜番組に耳をこらし、
一行の情報、1枚の写真を求めて、
音楽雑誌をくまなく立ち読みしたり。(よい子はマネしないでね)
その、たった1枚の写真から、ありとあらゆることを想像し、
仮説を立て、検証し、
音楽雑誌を丁寧に切り抜き、
数少ない情報を、それは、それは大切に扱い、
何度も何度も繰り返し見ました。
そして、音楽事情に詳しい人たちが集うと、
それはもう、さまざまな情報交換で湧きました。
そうやって集めた情報は、宝物です。
後々、それが勘違いだったとわかったときも、
例えば、メンバーの名前を間違えていたり、
使用機材を誤解していたり、
想像していたような経歴じゃなかったりしても・・・
そんなショックと共に、情報はさらに強烈に心に刻まれました。
一方で、現代ではどうでしょう?
若者は最早、アーティストのことを深く調べたりしません。
クリックひとつで、
写真だけでなく、
ライブ映像やメイキングやインタビュー、
来歴や家族構成や私生活のどうでもいいことから、
さまざまなゴシップや、誰と仲がいいとか、誰と印税でもめたとか・・・
ありとあらゆる情報が手に入るのに、
調べたり探したり覚えておいたりする必要がどこにあるでしょう?
情報の価値は一気に下がったのです。
もう情報が宝物だと思う若者はいない・・・
しかし本当にそうでしょうか?
河原の石ころのように情報が転がっていても、
その8割はゴミ、無価値で嘘っぱちなもの。
そこからせいぜい2割の真実を探す。
そして、2割の真実の中から、
さらに今の自分に必要で、価値ある情報を選び取る。
そうした努力をできるものだけが、本当の意味で成長し、
ホンモノになっていく人です。
つまり、時代は変わり、情報を獲得する方法こそ変わったけれど、
結局、貪欲に追求するものだけがホンモノになっていくという、
本質はなんら変わりがない。
そして、そうした本質を理解して、
追求し続けられる、ホンモノのミュージシャンが生まれる確率も、
人口分布がどう変わろうと、実に全然変わっていないのです。
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