大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「原体験」こそが自分を動かす原動力

   

「どんな音楽が好きなの?」という問いに、
アイドルやV系スターの名前を言うことが、
かっこ悪いと感じさせてしまうのは、
音大生というブランドの悪い側面だと考えています。

ジャズ、ビッグバンドや、
R&B、ROCK、フュージョン・・・

たいした興味もないし、
学校の教材以外に聴いたこともないのに、
思わず、それらしい音楽ジャンルを言ってしまう。

そのくせ、「具体的に誰?」と聴かれると、
ことばに詰まる。
誰でも知ってる王道の名前しか出てこない。

学習の過程にいる若者たちですから、
不案内な音楽こそ、
知ろうと努力したり、
知りたいと追い求める姿勢ももちろん必要不可欠です。

しかし、
気持ちが落ち込んだり、
エネルギー不足と感じた時に、
自分自身を文字通り「上げてくれる」音楽。

イントロが鳴り出したとたんに、
「うぉおおおおお」と叫びたくなるほど、
自分自身にパワーやエネルギーをくれる音楽を、
絶対に手放してはいけない。

そんな音楽に対する愛情やリスペクト、
そしてあふれるほどの欲求が、
今の自分をここまで連れてきてくれたのだということを、
けして忘れてはいけない。

それがたとえ、
アニソンだって、
SMAPだって、
初音ミクだって、
エグザイルだって、

自分にとって大切な音楽を「好き」と胸を張って言えばいい。

 

何をするかじゃない。
どうやるかでもない。
なぜやるか。

それが音楽ってものです。

本当に好きでたまらない音楽を、
どんどん掘り下げる。

たくさんの人を感動させる音楽には、
どんなジャンルの音楽であれ、
さまざまな仕掛けがあります。

クリエイターたちは、
とことんこだわって、
そのひとつひとつを世の中に送り出しています。

ジャンルの卑賤は絶対にありません。

 

音楽のさまざまな可能性を模索することや、
自分自身の興味を広げていくことと同じくらい、
自分の「好き」を追いかけることの大切さを、
絶対に忘れないで欲しい。

人に言われるままに、
よく分からない歌をなんとなく歌う。

そんな、エセ○○歌手になることくらい、
かっこ悪いことはないんですよ。

◆【メルマガ365】『歌の3要素』について連載中。
プロも学んだ、一歩前に出るための歌のトレーニング方法を細かく、オタッキーにお届けしています。「バックナンバーまとめ読み」がお勧めです。ご登録はこちらから。
【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 いよいよ残席1。

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 音楽

  関連記事

「フィルター」をぶっ壊せ

ティーンエイジャーの頃、 とにかくテレビに出ている「タレント」や「アイドル」 そ …

大きな変化は一瞬で起こる

変化はいきなりやってくる。 長年人間をやってきた実感です。   毎日が …

上達するためのプロセス

高い声を出したい。 もっと正確にピッチやリズムを刻みたい。 速いフレーズを的確に …

「マスターベーション」とか言うな!

歌は音程のついたことば。 テクニックがどんなにすぐれていても、どんなに巧みな音楽 …

で?なにがやりたいわけ?

高校時代、多重録音というものへのあこがれが高じ、 ラジカセをふたつ向かい合わせに …

ゆっくりやってもできないことは、速くやったらなおさらできない。

「速くて難しい曲」、どうやって練習していますか?   学生などの練習で …

いい音の楽器と歌うから、いい声になる

子供の頃から生ピアノの音が大好きで、 ピアノ可物件にこだわって引っ越ししてきまし …

『やらなきゃいけないとわかっていても、 なかなか続けられないことを、続けるヒント』

「練習時間、なかなか取れないんですよね〜」 「こういうのって、どこで練習したらい …

条件が不利な人ほど、熱意がある

優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …

カバー曲の歌唱にオリジナリティをプラスする3つの方法

「オリジナリティ」と「クセ」は紙一重です。   「オリジナリティあふれ …