大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「おまえ、リズム悪いな」と言われたら、やるべき3つのこと。

   

「おまえ、リズム悪いな」


何気なく、
しかし、わりとよく言われるこのことば。
楽器の人ならいざ知らず、
ヴォーカルを志す人間にとって、
このことばは、
「ピッチ悪いね」と言われるのと同じくらい、
「がーん」とくることばです。


そもそもリズムってなんだかよくわからない。
歌い出しが遅れるとか、
歌詞がハマらないとか、
オケと歌がずれちゃうとか、
・・・そういうこと?

なにより困るのは、
そう言われて、
録音した自分の歌を聞いてみても、
なんで「リズムが悪い」って言われたのか、
正直さっぱりわからないこと。


そんなとき、ヴォーカリストたちは
こう考えます。

あたしはリズム音痴なんだ。
俺、歌の才能ないんだ。。。
これは、きっと遺伝だ・・・etc.etc….

 

しかしです。

これって、
「お腹がいっぱいになればいいいや」という基準で、
その場にあるものでお腹を満たして生きてきた人が、
グルメな(そして、口の悪い)人に手料理を振る舞って、
「これ、うまいって思ってんの?お前、味音痴?」
的なことを言われて傷つくのと、非常によく似ています。


リズムがいいとか、悪いとかいう以前に、
リズムってなんだかわからない、
まともに意識さえしたことがない、
つまり基準がないんだから、
リズムよくなんか歌えるはずがないんです。

だから、ここは、「落ち込む場面」ではなく、
「気づく場面」なんですね。

 

リズムには「点」と「線」と「グルーヴ」という
3つの要素があります。

「リズム悪いな」と言われたときに、真っ先に疑うべきは「点」。
つまりビートです。

複数の音が同時に鳴ったときの「ずれ」は、
音楽を専門としない人でも感じるものですから、
この「ビートをとらえる」をしっかりやることで、
歌の評価は1段あがります。

さて、では、具体的に何をすべきか。

 

  1. リズムの「点」とは何かを、ちゃんと知る。ちゃんと聞く。

    多くのヴォーカリストには、
    「楽器はわからなくてもいいや」
    という甘えが多かれ少なかれあります。しかし、
    楽器の人と一緒にアンサンブルをする以上、
    楽器が何を、どのように、
    演奏しているのかを知るのはあたり前。

    楽器の人たちが、リズムの何に気をつけて、
    他の楽器のどこを意識して演奏しているのか。
    とにかく、耳の穴をかっぽじっちゃってよーく聞くことです。

    それでもわからなかったら、論理で学ぶのです。

    手っ取り早く誰かに聞いちゃおうとか、
    習いに行っちゃおうとかするまえに、まずは工夫。
    パソコンをポポンのポンと叩くだけで、
    洪水のように情報が流れ出してくるこの時代に、
    「リズムとは何か」を学ぶことは、
    そんなに難しいことではないはずです。

  2. 次にすべきことは、自分が歌うべき歌の「点」を確認すること。

    そもそも、自分が歌う曲のビートを正しくカウントできますか?単に ワン ツー スリー フォー じゃなくって、
    8ビートなら、ワンエン ツーエン スリーエン フォーエン
    という、表裏のビート。
    16ビートなら、わああん つううう すりいい ふぉおお
    という細かいビート。
    ワンツーじゃなくて、タカタカでも大丈夫です。

    ことばで言えないテンポなら、
    両手でテーブルを叩いてみるのもオススメです。
    そもそも、テーブルを一定のテンポで叩けないことに気づくだけでも、
    楽器の人にぐっとリスペクトが生まれるでしょう。

    そして、自分の歌う歌のことばが、
    そのカウントのどこに、どんな風に乗っているのか。

    例えば、

    わんえん つーえん すりーえん ふぉーえん
    ど ん  ぐ り  こ  ろ  こ  ろ
    ど ん  ぶ り  こ  ーー
    お い  け に  は  ま  ーっ  て
    さ ー  た い  へん ー

    (イマイチみなさんが知っていそうないい曲が思いつかないので、
    なぜか『どんぐりころころ』で(^^))

    というように、細かくチェックしてみてください。

  3. そして、どんな楽器の、どんなフレーズと、
    自分の歌がシンクロしているか?
    はたまた、していないのか?

楽器と歌には、必ず、アレンジ上の関係性があります。
よほどアヴァンギャルドな音楽でないかぎり、
楽器の演奏する「点」と、歌の「点」とが、
必ず心地よくシンクロしているはずなんです。

例えば、
ハイハットのビートと。
ベースのフレーズと。
ギターのカッティングと。
ピアノの刻むリズムと。

自分の歌がどこに、どんな風に乗っかっているのか。

できれば、リハスタでしっかり見て。
それが難しければ、Youtubeなどで、演奏している様子を見て。
とにかく、研究とくふうです!

極めてオタッキーに聞こえるかも知れませんし、
なんだか気が遠くなっちゃった・・・って人もいるかも知れませんが、

リズムに乗っかるのは自転車に乗るのとおんなじ。
一度乗れるようになると、二度と乗れなくならないので、
まずはヒザ小僧をすりむきながら、
繰り返し、繰り返し、練習するしかありませんね。

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