「自分らしさ」、一回置いておきません?
どんなヴォーカルスタイルが「自分らしい」んだろう?
「自分らしい声」って、どんな声だろう?
「自分らしく歌う」って、どうしたらいいんだろう?
ヴォーカリストのみならず、
プレイヤーなら、誰もが一度は、
アイデンティティ=「らしさ」というものと、向き合うでしょう。
「らしさ」ってなんだろう?
この命題ほど、深淵で、曖昧なものはありません。
「らしさ」を求めるのはなぜなのか?
「らしさ」を定義するのは、なんなのか?
「らしさ」を決めるのは、誰なのか?
いや、そもそも、
「らしさ」って、なんなのか?
「らしさ」への意識は、
多くが、他人からの、何気ない一言によって目覚めます。
「お前、個性ないね。」
「なんか、普通っぽいんだよね。」
「そういう、誰でもやるようなことやっててもダメでしょ?」
「で?キミの”売り”はナニ?」
自分というものを意識する力=自意識は、
人間と、その他、ごく限られた霊長類にしかないと言われています。
言い換えれば、ほとんどの動物には、自意識はないのです。
それでも、個々の動物は、
それぞれのアイデンティティがあり、
一匹一匹がびっくりするほど個性的で、
「らしさ」全開で生きています。
たとえば、小さなこどもたち。
自意識の芽生える前のこどもたちにだって、
驚くほどの個性があります。
「らしさ」って、身につけるものでも、
作り出すものでもないのです。
ただ、そこにあるもの。
見出すものなんですね。
「らしさ」を発揮しようと躍起になれば、
そこに無理が生まれる。
本物の「らしさ」と違う、
それらしい、なにかとすり替わってしまう。
結局、本物の「らしさ」じゃないものを、
強調しようとするばっかりに、
不自然な、稚拙な、安っぽい、
パフォーマンスや作品を披露してしまう。
「らしさ」とは、
「何を選択するか」ということです。
なんでもできる。
でも、自分はこれをやる。
なんでも手に入る。
でも。自分はこれに手を伸ばす。
自由度と選択肢が増えるほど、
人の「らしさ」って際立つものなのではないか。
心のままに。
ドキドキ、ワクワクに身をまかせて。
その瞬間瞬間に、
これだ!と思うものを選び続けられる自由と勇気。
「らしさ」ってそれに尽きると思うのです。
「らしさ」ってワードは一回置いておいて、
そんな自由と勇気を手に入れるために、
まずは今やるべきことに、
集中と努力をすべきだということです。
ロックなみなさんも、そうでもないみなさんも、お申込お待ちしています!
関連記事
-
-
「ハモらない」時の覚え書き
人とコーラスをやっていると、 「あ、気持ちいい!」と思えるときと、 「う〜〜、ハ …
-
-
ヴォイストレーナーという仕事
自分にできないことは教えられない。 いろいろな考え方があるでしょうが、 私は、歌 …
-
-
変化するチカラ
今日、しばらく近づけなかった眼科に、 検診に行ってきました。 質問表、検温、受付 …
-
-
安定させる!~Singer’s Tips#30~
高いところに行くと、やたら声が大きくなる。 低いところに来ると、こもってしまう。 …
-
-
「ピッチが悪い!」を直すロジカルシンキング
「ピッチが悪い!」 年間通して、いや、1週間に、 このことばを、何回口にするでし …
-
-
まず、自分の出音(でおと)をちゃんとせい。
トレーナーズ・メソッド、リズム編のテキスト制作中にて、 古今東西のドラマーの名演 …
-
-
「とにかくやる」
「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」 …
-
-
「クリエイトすること」そのものに愛情を持てるか。
最近、わけあって、 Youtubeをあれこれサーフィンする機会が増えました。 今 …
-
-
リモートはコミュニケーションのハードルを上げた。
最近、連日のように受ける側として、 オンラインセミナーに参加しています。 学ぶと …
-
-
リズムをカラダで感じるための初歩練習~Singer’s Tips#28~
音楽にあわせて足踏みをする。 手を叩く。 小さなこどもが音楽教室に入って、 一番 …
- PREV
- 音楽には「顔」がある。「オケと歌」、じゃないんです。
- NEXT
- どうして、そんなケガをする?