大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌の才能。

   

はじめてトレーナーのお仕事をしてから、
かれこれ20年。

下は小学生から、上は70代、80代の方たちまで。

日本全国津々浦々、
いや、国外に住んでいる人たちもいます。

アーティスト、タレント、育成機関のタマゴたち、
声優、俳優、学生、アナウンサー、DJ、ダンサー、
その他、実にさまざまなお仕事をしている人たち。。。

それはそれは、本当に、
ありとあらゆる方たちのレッスンをさせてもらってきました。

 

こうして、たくさんの人たちのレッスンをしていると、
「歌の才能ってなんだろう」と、
時折、じっと考えます。

 

超絶技巧で正確無比、
4オクターブ、5オクターブの音域を持つことか。

いや。
ピッチもリズムも、
怪しいんだけど、
「ぐっとくる歌」というのだってある。

箱鳴りのするような豊かな声や、
ガツンと胸に突き刺さる声は、
もちろん素晴らしいけど、

耳を凝らさないと聞こえてこないような、
はかない声に心をつかまれる時もある。

何でも歌いこなせる人がいて、
これしかダメって言う人がいて、
すっごい表現力のある人がいて、
棒読みみたいな人もいて、

それでも、
「あぁ、いいな」って、
誰かの心をとらえられたら、
歌としては、それで成立しているわけで。

いい声の人。
ユニークな声の人。
作曲や作詞の才能がある人。
バツグンに存在感のある人。
誰もが振り返るような容姿の人。

それもこれも、ぜんぶひっくるめて、
「才能」と呼ばれたりもする・・・。

でも、です。

最近、
歌の才能って、感性、集中力、そしてエネルギー。
この3つなのだなと、
ハッキリと感じるようになりました。

音楽そのものはもちろん、
自分を取り囲むすべての感情や環境を、
全身で感じ取れる感性を持ち、

そのすべてを
ある瞬間にどーっと集中して、
歌として表現できる、
エネルギーの爆発力を持つ人。

音楽性とか、声質とか、テクニックとか、
すべて越えて、

そんな人たちが「感動」を作り出すのですね。

だから、

好きなことを、集中して、ただただ一所懸命やる。
そうやって、どんどん周波数をあげて、
エネルギー量を増やす。

そうすれば誰だって、
才能を、きっともっと磨ける。
育てられる。

少なくとも私はそう信じています。

MTLのFacebookページでは、今後期間限定でごらんになれるセミナー映像のアーカイブやブログのアーカイブをご紹介していく予定です。よろしければ、「いいね!」をしてくださいね。

 - B面Blog, The プロフェッショナル, 歌を極める

  関連記事

人には、人の「道筋」がある。

学生時代、得意だった科目に『論理学』があります。 一般教養の範囲ですし、 正直、 …

「でもしかコーラス」と「プレイヤー至上主義」

歌の学校に通っているとき、 ある子のトラ(エクストラ=代役)を頼まれたことがきっ …

幸せと。寂しさと。そして嫉妬もちょびっと。

自分の仕事の評価を何で計るか? 稼いでいる金額? メディアで取り上げられた数? …

「なんでも歌える」と言わない勇気

「どんなの歌ってるんですか?」 どんなちっちゃなご縁も仕事に繋げようと躍起になっ …

「いい音」出したいっ!

いいプレイヤーか否かは、1音聴いただけでわかる。 そんな風に言う人がいます。 そ …

選ばれるミュージシャンであるための3つの資質

長年、音楽業界で優れたミュージシャンたちと たくさんのお仕事をさせてもらってきて …

イケてないプレイヤーは弾きすぎる。

イケてないプレイヤーは弾きすぎる。 よく言われることばです。 例えば、 ソロを弾 …

「お客さんに甘やかされたらあかんよ」

「MISUMIちゃん、 こういうお客さんに甘やかされたらあかんよ」 京都でバンド …

準備せよ。そして待て。

道が開けないとき。 ツキがやってこないと感じるとき。 過小評価されていると思える …

声のリハビリ

3月からのライブ・ラッシュに向けて、 朝トレをしているわけですが、 ここ半年あま …