大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「できないことをできるように」から「できることをもっと素晴らしく」

   

先日、ディスカヴァーさんが、メルマガで拙著の紹介をしてくれていました。

「自分も、まわりも、感動するほどうまくなる!」
「これまでになかった「本当に歌がうまくなる」方法」
「歌のうまい人がなぜうまく聴こえるのか、その「理由」が腑に落ちる」

これは、そのまま、執筆に取りかかる前に、編集の方たちと掲げたこの本のコンセプトでもあります。

ヴォイトレの本や教材というと、「できない」を「できる」に変える、つまり、マイナスをゼロに変える系のものがほとんど。
高い声が出ない、大きい声が出ない、呼吸が続かない、音程が取れない、リズムが合わない…etc.etc.

じゃあ、高くて大きい声が出て、音程がちゃんとしていれば、みんな「うまい」のか?というと、あれ?そんなこと、ないですよね?

一般に「へた」と言われる人の歌は、誰が聞いても一聴して、残念な印象があるのに対し、「うまい」と「そうでもない」を聞き分けられる人ってなかなかいない。
「この人、うまいんですか?」「あの人の歌って、どうなんですか?」
そんな質問をしてくる人があとを断ちません。

巷で人気の「歌い方解説動画」で練習を積んで、
ハイテクニックを次々とものにしているはずの人の歌を聴いても、
うーん。。
やっぱり、「この人、うまいんですよね?」となる。

しかし、本当に素晴らしいシンガーの歌を聴いた時、
「うまいのかな?」という疑問は湧かないものです。
いいものはいい。うまいものはいい。

この「うまい」と「そうでもない」の間に横たわる微差を
はっきりと意識できるようになることが、本当の意味での「歌うま」への第一歩です。

新刊では、因数分解よろしく、徹底的に、その微差を、掘り起こして解説しています。

1曲で1微差。
だから101曲になっちゃったんです。
101というと、遠い目になりそうですが、1日1曲ちょいトレすれば3ヶ月あまりで、
1週間に1曲と、丁寧にやれば2年ほどで、「違いのわかる人」になれるように、できています。
もちろん、ちょこちょこ読みかじっても、動画を見かじってもよいのだけど。

まずは手に取って、ぜひ読んでいただきたい。
親バカですが、ほんっっとによくできた、いい本です。

(本に関する熱い語りは、またちょこちょこ書かせてもらいます)

■本気でうまくなりたいと思ったら、迷わず受けて欲しい。
6日間にコミットして、歌に対する自己肯定感を一気にあげてください。
第10期 MTLヴォイス&ヴォーカルトレーニング。11月開講です!

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 歌を極める

  関連記事

自己表現のための”自分アバター化作戦”

かつて、ハワイ出身の日系アメリカ人女性シンガーに、 英詞の提供をしたことがありま …

「もっと心をこめて歌ってよ」!?

「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …

練習の結果が出ない3つの理由

「毎日練習してるんですけどね・・・」 結果の出ない人ほど、 自分がいかに練習に時 …

「なんでも歌える」と言わない勇気

「どんなの歌ってるんですか?」 どんなちっちゃなご縁も仕事に繋げようと躍起になっ …

「切り際」で、歌は素晴らしくも、へったくそにもなる。

昨日、「音の立ち上がり」は、 歌い手の声の印象を大きく左右する、 というお話をし …

アドリブ上達の唯一の方法

「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、 素直にストレートメロディだけ歌って …

理屈は後付け。

先日の『イケてないロック・ヴォーカルは、なぜイケてないのか?』、 たくさんの方に …

頑固な、間違ったプログラムを解除して、「声」を解放する

カラダの構造や、発声のメカニズムを教えて、左脳からアプローチしても、 カラダに触 …

カラダをつくる~Singer’s Tips #23~

どんなに歌を練習しても、 肝心の楽器であるカラダがへなちょこでは、 いい音、いい …

「誰に学ぶか?」vs.「誰が学ぶか?」

中学1年でやっとの思いでピアノを買ってもらって、通い始めた近所のピアノ教室。 2 …